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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
フルーフの世界編

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2525/2535

2507.大魔王フルーフの想像の埒外に居る者

 そして、ヌーとレアがレパートの世界に帰還してから更に時が経ち――。


 現在、大魔王フルーフは魔王城の自分の部屋で『魔』の研鑽に集中を行っていた。


 すでにレパートの世界全体の統治に関しては、過去にリラリオの世界を支配して見せたレアがフルーフの代わりを行い、統治面では上手く行っている中央大陸はそのままに、別大陸を中心とした上手く機能していない地方再生に尽力を行い、更には軍備面でもユファが担当していた軍の『魔法部隊』の再編成までをレアが担当を果たしていた。


 最初レアがフルーフに『大魔王ヌーとの一戦を終えるまでは私が代わりにこの世界の統治を行う』と言い出した時は、彼も感動と不安が半々といった様子で少しばかりの懸念も覚えていたが、この短期間で一気に成果を上げ始めたところをみて、如何にこれまで自分が愛娘の事をよく分かっていなかったかを父であるフルーフは知るのであった。


 そしていつしか統治面に関してレアの事を『愛娘を見る父』という視線で見るのではなく、完全に一つの世界の支配者としての目線から、しっかりと彼女の事を見るようになった。


 その目線から省みても『魔王』レアはあまりにも優秀過ぎる程であり、更には彼女は自分の事だけではなく、過去の経験から優秀な部下を選び抜いては指導を施し、それも仕事量を偏らないように見事に振り分けを行ってみせていた。


 この辺はフルーフの知らない過去の『リラリオ』でのラルグ魔国、レイズ魔国、トウジン魔国の支配者たちを上手く活用していた時の経験が活きているのだろう。


 そして彼女は大事な者を失った経験、頼りにしていた部下の裏切りなど、上手く行っているところばかりではなく、失敗を含めた数多く経験も同時に果たしている事もあり、あらゆるケースを考慮しつつ、上手く行っている場所であっても、過度な安心をせずに予備のプランを並行的に考え進めていき、何かあった時に直ぐにサブプランに移行できる枠組みや体制を築き上げていった。


 特にこの辺は自分だけで全てをやるのではなく、上記に挙げた選び抜いた優秀な部下達数人にも、しっかりと説明を行いながら、何かあった時に自分の代わりに進められる者の育成も並行して行っていく。


 過去のジーヌの件の失敗を踏まえて特定の優秀な部下に任せきりにするのではなく、予め数人に同等の知識を植え付けながら、仕事量と責任を分散させつつ情報を共有させていき、グループ全体での思考力の向上を進めていった。


 リラリオの時は大陸の統治に加えて、あらゆる種族からの襲撃や報復戦争などがあり、結果として世界の支配に凡そで十年程かかるに至ったが、それらの心配がないこの世界では、更にそれらの年月をかける事無く統治をする事を可能に出来るだろう。


 こうしてレアは、父であるフルーフに『例の大事な一戦』に集中して欲しいという願いから、必死に自分の出来る事を懸命に行い続けていくのだった。


 そしてそんな思いは父であるフルーフだけではなく、彼女が指導する部下や魔王軍の者達にも伝播するように伝わっていき、気が付けば『魔王』レアは見事に、世界の支配者としてフルーフの代わりを務めてみせるのであった。


 このまま何事もなければ、この先も問題なく上手く行く事だろう。


 そしてこうなる事こそが、まさにフルーフが愛娘のレアをリラリオへと送り出す前から抱いていた構想であり、まさに今のレアが構想通りの後継者としての姿だった。


 ――そう。何もフルーフは『概念跳躍(アルム・ノーティア)』の実験や酔狂で、大事な娘をリラリオへ跳躍させたわけではない。


 然るべき対応力を身につけさせるため、そして支配者としての器を確立させるために別世界の支配者の道程を歩ませていたのである。


 煌聖の教団の総帥ミラや、大魔王ヌーによって少しばかり自分自身の思惑通りとはならなかったが、それでも娘のレアに関してのみで言えば、想定通りに進んだと言える。


 後は大魔王ヌーとの勝負に勝利を収めれば、万事全てが解決となるとフルーフは確信する。


 ――だが、ここまで思い通りに至った大魔王フルーフではあるが、この先に待ち受ける出来事に関しては想定通りとは行かなくなるのだった。


 それこそが、魔族レキというこれまで予想だにする事が出来なかった大魔王の存在である。


 ――大魔王ヌー、そして大賢者ミラ。


 フルーフが頭を悩ませたこの大物たちとは別の想像の埒外に居た大魔王の存在こそが、今後前述した者達以上に彼を悩ませる事になるのだが、この段階ではまだ知る由もなかった。


 ……

 ……

 ……

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