2505.レパートの世界の移り変わり
――幕間。
現在このレパートの世界を治めているのは、再びこの世界に戻ってきた大魔王フルーフである。
長年『煌聖の教団』の総帥にして大賢者のミラや、アレルバレルの支配者を狙う大魔王ヌーによって拉致されてしまい、挙句に洗脳を施されてしまっていたこの世界の支配者フルーフだが、古くからの親友であった大魔王ソフィやその仲間達の尽力により、無事にレアと共に彼はこの世界に帰還を果たす事が出来たのであった。
この世界もアレルバレルやリラリオのように、魔族だけではなく人間達も数多く暮らしている世界ではあるが、他の世界とは異なり、大陸間で別々の種族が暮らしているというわけではなく、魔族も人間も種別など関係がないといった風に、数多くある大陸に魔族と人間は同じ種族のように暮らしている。
昔から今のような体制であったというわけではないが、この世界の支配者となったフルーフは魔族も人間も分け隔てなく扱う事で人間達も魔族を信用し、また魔族達も人間を見下すような真似をしなかった事から、互いの種族は徐々に手を取り合う世界となっていったのである。
もちろん魔族と人間の寿命の違いが異なる為、どうしても魔族の方が『魔力』が高い者が多く存在する事は否めないが、そんな魔族から魔法の知識や研鑽方法等を共有されているが故に、人間達もアレルバレルや現代のリラリオとは比べ物にならない程に『魔』の概念理解は進んでいるのであった。
ソフィ達が居るリラリオの世界では最近、ヒノエが精霊女王のミューテリアから精霊族の『四元素』の『理』から生み出された『魔法』を学び始めて、現在では『風』属性の加護が付与された事も相まって浮遊を行うに至るまでとなったが、このレパートの世界ではすでに人間の子供が五歳を迎える頃には、各家庭の親から『魔』を教わり、二桁の年齢になる頃には、例外なく普段の生活で当たり前のように、自由自在に空を飛翔出来る程までに『魔』の概念理解度が進む事になる程である。
それ程までにこの世界では『魔』の概念というものが、何より身近にあるものとして扱われているのであった。
それだけ数多くの者達が『魔』に着手する機会があるという事は、当然『魔』の概念を更に研究しようという者が多く現れる事は必然であり、学びを得る為の場としてこの世界では、学堂と呼ばれる学び舎が大陸の至る所に存在する程である。
その学堂に属する生徒たちは、例外なく全員がフルーフの『理』を学ぶ機会を得る為、卒業する頃には『超越魔法』を扱う事を可能とする者達も出て来る程であり、そのまま学堂を卒業した暁には魔王軍を紹介される生徒も多い。
身近に『魔法』が溢れるこの世界では、誰もが幼少期の頃から魔力を高める機会がある為、この辺が『ノックス』の世界とは対極にあるとも言えるのであった。
そんなレパートの世界の中央大陸では、大魔王フルーフが居を構える魔王城が存在している。
アレルバレルの世界の大魔王ソフィの魔王城とは異なり、このフルーフの魔王城の近くには驚く事に前述した『学堂』も多く立ち並んでおり、如何に大魔王フルーフがこの世界の支配者として『親しまれている』かが窺い知れるというものであった。
もちろん大魔王ヴァルテンがこの世界を支配しようと活動を行い始めた頃は、この中央大陸から多くの者達が大陸を離れて別大陸の地方の方へと移り住んで行っていた過去も存在するが、フルーフの娘であるレアが支配者として後を継いだ後、必ず親であるフルーフをこの世界に連れ戻すと宣言を行った後、大魔王ヴァルテンから軍事司令権等々を奪い返して大魔王レインドリヒを『軍事司令』に据えた後は、再びこの中央大陸に魔族や人間といった人々が戻り始めていき、そして数千年が経った今日、そんなレパートの世界にレアの宣言通り、数千年ぶりに大魔王フルーフが戻って来た事は、中央大陸の活気を完全に取り戻す事に繋がり、大魔王フルーフは大変な歓迎を受けたのであった。
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