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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
原初の魔族達の暗躍編

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2520/2535

2502.大魔王レキ視点の日常

 メナスに連絡がつかない事に苛立ちを募らせたマルクスだが、このままいつまでもメナスの帰りを待っていれば、表向きはまだ忠実な片腕としてレキに仕えている自分の印象が悪くなると判断し、慌てて休憩所で休んでいた部下の一人を連れて玉座の間に戻るのだった。


「お、お待たせしました! 『レパート』の世界に転移出来る部下を連れて参りました!」


「おう、遅かったな」


 玉座の間には返事を行ったレキと、すでにレパートへと行く準備を終えて腕を組んで待っていたエグゼと、その隣で前回彼がエグゼの攻撃を受ける際に使っていたものと同じ形代人形のチェックを行っていたロプトウスが同時に部屋に入ってきたマルクスに視線を向けるのであった。


「も、申し訳ありません……!」


「まぁいい。それで無事にレパートに行ける奴を連れてきたんだろうな? 向こうからこっちへ戻って来るのは俺もエグゼも可能だが、こっちから向こうへはエグゼは行けねぇぞ?」


「は、はい……! 煌聖の教団の任務で『ダール』や『レパート』にも渡っていた者を連れて参りましたので!」


「よ、よろしく、お、お願い致します!」


 煌聖の教団の頃から総帥のミラや、幹部達には口を利く事すら出来なかった分隊の下っ端である彼は、この組織の長であるレキとそのレキの片腕であるエグゼを前にして、ガチガチに緊張している様子であった。


「おいおい、そんなに緊張していて本当に大丈夫なんだろうな? 発動と同時に『次元の狭間』に閉じ込められるような事態だけは勘弁しろよ?」


 レキが冗談交じりにそう告げるが、普段のようにノリ良く笑うメナスやシェイディが居ない為、レキに視線を向けたまま沈黙が流れるのだった(※ロプトに至っては完全にレキを無視である)。


「ちっ! 堅物に何を考えているか分からねぇ奴、それにガチガチに緊張してる奴とは喋っていてもつまらねぇな」


 どうやら堅物というのはエグゼの事で、何を考えているのか分からないというのは『ロプトウス』の事だろう。


 そうレキに嫌味を言われても全く動じず、ロプトは自分の形代人形に問題がないかを点検し続けていた。


 ここに相槌が打てる人材と呼べる『シェイディ』や、一緒になって笑ってくれる『メナス』が居ればまた違ったのだろうが、レキは無表情のまま見つめてくる者達に、徐々に苛立ちが募り始めるのだった。


「大魔王フルーフは『呪法師』でもあるからよ、身柄を押さえる時にはよく気を付けとけよ? 下手すりゃ、自分の身が危ないと判断した時に、てめぇらの身体に何か仕掛けてくるかもしれねぇからな!」


「問題ない。むしろその類の『呪法』は俺もあまり見たことがない。使ってくれるならむしろ有難いところだな」


「全く! 普段は俺の話を無視しやがる癖に、呪法の事になったら()()反応してきやがる。ああもういい、てめぇらさっさとここから消えて居なくなれや! めざわりだ」


 そう言ってレキは邪魔だとばかりに手で追い払う仕草を行い、この場からエグゼ達を去らせようとするのであった。


「……それでは我々は任務を遂行する為に、レパートの世界へと向かいます。何もないとは思いますが、何かあれば直ぐにシェイディ達に連絡を行ってください」


「ああ。まぁ、何かあった方が、俺も暇をしなくて助かるがな」


 まだ少し苛立ちを募らせているのか、レキは普段エグゼに対してはあまり悪態をつく事もないのだが、今回ばかりはいつもより余計にエグゼ達の言葉に噛みつくレキであった。


「それでは、失礼致します……。おい、直ぐに始めろ」


「は、はいっ!」


 ――神域『()』魔法、『概念跳躍(アルム・ノーティア)』。


 煌聖の教団の残党の魔族は、すでに魔力を『スタック』させていた様子であり、あっという間にエグゼ達を連れてこの世界から『レパート』の世界へと消え去るのであった。


 そしてこの場に残されたマルクスが戦々恐々としながらレキを見つめていると、その視線に気づいたレキが笑みを浮かべ始める。


「お前、最近メナスと仲が良いらしいな?」


「え!? い、いや、と、特別親しいわけではございませんが……!」


「そうか? 何やら俺に内緒でコソコソと会っているんじゃねぇのか?」


「い、いえ……、本当に……」


 マルクスは何処まで知られているのかが分からず、下手な事が言えずにそのまま黙り込んでしまうのであった。


「ふんっ、まぁいい。後からサプライズを楽しませてもらうとしようか。さて、俺はそろそろ寝るからよ。どうせエグゼ共が戻って来るまで何もねぇんだ。お前もさっさと消えろ」


「は、はい! そ、それでは、これで失礼を致します!」


 願ったり叶ったりとばかりに、立ち去れと言われて一目散に部屋から出ていくマルクスであった。


「クカカカッ! あれは俺に相当な隠し事をしてやがるなぁ? 全く揶揄い甲斐のある野郎だ」


 レキはそう言って玉座の間で一人、邪悪な笑いを浮かべるのであった。


 ……

 ……

 ……

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