2500.魔神級最上位すら、歯牙にもかけない呪法師
その大魔王レキの一言で場の空気が一変するのだった。
「俺が……?」
「ああ。お前が直にフルーフをここまで攫ってこい。お前が奴の呪法の事を知りたいってんなら、直接戦って色々と確かめて来ればいいだろ? 俺は乗っ取れる身体さえ残せば、奴の命や魂の有無はどうでもいいからよ」
「それは良いな。身体さえ残せば本当に何をしても良いのか? 例えばそいつの『力』の一部を俺が奪うといった事も受け入れるか?」
「ほう……? お前も俺と似たような『特異』を持っているのか? しかしそれは度合いにもよるな……。俺の目的はお前も知っての通り、代替身体から元の身体に戻る事だ。奴ほどの『呪法師』なら、俺の『魔力』の行使を阻害する病という名の『魔』の概念である『梗桎梏病』を打ち消す、又は解呪が行える可能性がある。だから狙ってるんだからな。だがその能力をお前が奪い取っちまえば、俺にはもう奴の身体を奪う事に何のメリットもなくなっちまう」
「安心しろ。厳密に言えば、その能力者の能力の発動羅列を含めた概念そのものを、俺の知識の一部に落とし込むだけだ。発動羅列や『理』を理解出来るようになれば、後は俺のやり方で構築し直して新たな『魔』の概念技法として生み出し直せるからな」
「なるほど、つまりフルーフから直接能力を奪うわけじゃなく、フルーフの編み出した『魔』の概念技法や、能力をお前が理解出来るように知識に置き換えた後、そこから新たにお前自身の手で構築し直すわけか。クカカカッ! まるでこの身体の本来の持ち主みてぇな『特異』じゃねぇか! 今の言葉でお前の事をさらに気に入った! なら好きにしていい。だが、必ず俺の元に奴の身体を持って来いよ?」
「ああ、殺していいなら何も問題はな――……」
「お、お待ちください、レキ様! こいつはまだレキ様の配下となって日が浅すぎます。腕は確かなのかもしれませんが、まだ何を考えているか分かりません。レキ様の本当の身体を取り戻せる機会はこの先いつ再び訪れるか分からないのですから、そのようにあっさりとお決めになられる事はお控え下さい!」
どうやら同じレキの側近の立場となった『ロプトウス』であっても、まだエグゼは『ロプトウス』の事を完全には信用しきれていない様子であり、今回フルーフを逃せば今後はいつ再び本体に戻れる機会が巡ってくるか分からないと強調して、彼の主に『ロプトウス』に任せる話を撤回させようとするのだった。
「どうする? お前の信頼する右腕はこう言っているが……。俺は別にどっちでもいいぞ? ただ、俺に任せないという結論なら、悪いが契約を白紙に戻してもらい、このまま組織ごと抜けさせてもらうがな」
ロプトの発言は本音であり、レキを相手に何一つ駆け引きを行おうとしているわけではなかった。
彼にとって大魔王フルーフは、確かに大きな興味の対象である事は間違いないが、別にレキのように何が何でも必要なモノといったわけでもなく、今回フルーフの知識が手に入らなかったとしても、ただ『縁がなかっただけ』で済ませられる程度の代物である。
そして組織を抜ける事でレキ達に追手を差し向けられる可能性も否定は出来ないが、それでもロプトウス以外の『煌聖の教団』の残党達とは異なり、実際に狙われたとしてもロプトウスは返り討ちに出来ると、絶大な自信を抱いている。
大魔王レキにしても、大魔王エグゼにしても今はまだ『代替身体』の身であり、今の『魔神級』最上位程度の彼らであれば、呪法師『ロプトウス』の相手ではない。
前回のレキの『直接命令』の召集の際、ロプトウスに姿を見せなかった『メナス』を除き、他の『魔神級』最上位である『シェイディ』と『イングラム』の双方が追跡者となって彼を襲ってきたとしても、ロプトウスは何も問題なく返り討ちにしてしまえるだろう。
――それ程までに呪法師『ロプトウス』は、規格外の『力』を保有しているのであった。
……
……
……
『ブックマークの登録』や『いいね』また、ページの一番下から『評価点』を付けていただけると作者のモチベーションが上がります。宜しければお願いします!




