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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
原初の魔族達の暗躍編

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2496.変わる関係性

 ルードリヒ王国の城内に強引に『空間』を繋げてここに来たメナスは、その『次元の狭間』の内側で目の前に居るレルピルの処遇をどうするかで悩んでいたが、やがて静かに口を開いた。


「ひとまず君の処遇に関しては一時保留にするよ。その代わり、これまで通りにルーヴァンスの指示に従うようにね。君がルーヴァンスの指示に逆らったり、殺そうとしたら今度こそ僕が相手になる。それを努々忘れないようにしなよ? 次はどんな言い訳を用意しようと、僕はもう聞かずに真っ先に君を殺すからね」


「……肝に銘じておきます」


 ここでこの返答以外の言葉を用意すれば、今度こそ何の躊躇もなしに襲って来るという感覚を覚えたレルピルは、言葉遊びじみた言い訳をせず、素直に了承の意を示すのだった。


 そして話は終わりとばかりにメナスが『結界』を解除を行い始める。


 すでに先程の一連のやり取りで『次元の狭間』の空間から城の一室に戻されてはいたが、この場所に向けられる『探知』や『感知』を阻害する働きを持つ『結界』は、その後も現在まで継続して行われていたようである。


 そこには先程までの通り、魔族に『金色の目(ゴールド・アイ)』を使われてまだ洗脳状態にある『エイル』の姿があった。


 メナスはそちらは目もくれず、僅かに魔力を高め始めるが、その様子に直ぐに気づいたレルピルは、自衛を行う為に自らもオーラを纏い始める。


 だが、メナスは先程の言葉通りにレルピルに手を出すつもりはないようで、どうやら攻撃を行う為に魔力を高めたわけではないとレルピルも気づいて手を下ろすのであった。


 そして次の瞬間、部屋の中の誰も居ない場所に突如として『ルーヴァンス』が現れ始めるのだった。


「「!?」」


 どうやらルーヴァンスが自らの意志で姿を現したのではなく、メナスの逆転移によってこの場に強引に呼び出されたようで、レルピルと同じような驚いた顔を浮かべながら、慌てて辺りを見回していた。


「ルーヴァンス。この子と喋ってみたけど、君から言われた内容と話が全く違っていたよ? どっちが正しい言い分なのかは分からないし、今は早くダールの世界に戻りたいから不問にしておくけど、今度僕を呼び出す時はこんなことがないようにしなよ! 僕に面倒をかけるなら君も殺すからね!」


「えっ……!? あ、は、はい! も、申し訳ありませんでした、以後気を付けます!」


 この場でどういう話が行われていたかが全く分からないルーヴァンスは、何の説明もないままにメナスに怒鳴られてしまい、理不尽だと思いながらも逆らえば殺される事が分かっている為に素直に謝るのだった。


「……君とはまた話をする機会がありそうだ。じゃ、またね?」


 大魔王メナスは意味あり気に『チャント・レルピル』に視線を送ると、最後に一言そう残してこの場から消え去るのだった。


 呆然としながらメナスを見送った後、ルーヴァンスはようやく我に返り、レルピルに向けて口を開いた。


「お前、よく生き残れたな……」


「良く言うぜ……。てめぇ、よくも俺を()()しようとしやがったな」


 先程の『念話(テレパシー)』でもう自分の正体がバレているのだと判断したレルピルは、これまでのようなへつらう態度をルーヴァンスに見せず、代わりに彼は本性を見せながら苛立ちをぶつけ始めるのであった。


「お前が俺……いや、レキ様やメナス様たちをも利用しようとしていたのが分かったからだ。だが、どうやったかは知らないが、上手くメナス様を懐柔して見せたようだな? 全く、面倒ごとを増やしやがって……!」


 まるで明確な『敵』を前にしたような態度でそう告げるルーヴァンスに、レルピルも舌打ちを行って睨みつける。


「お前、俺がヨールゲルバの支配者だって知って、良くそんな口を利けるもんだな? 俺が怖くないのか?」


 これまでルーヴァンスに従っていた時とは、まるで別人のような言葉を喋るレルピルだが、こちらが本性だという事を存じている様子のルーヴァンスは、全く驚いた様子もなく笑みを浮かべ始める。


「もっと怖い方々が()()に居るからな。そんな事よりメナス様と話していた内容を全て話してもらおうか? どういう結論になったかしっかりと聞いておく必要がある。お前もまだこの組織に居るつもりなら、俺の言う通りにしておかないとどうにもならない事は理解してるだろ」


「ちっ、どいつもこいつも鬱陶しい! 仕方ないから説明してやるが、今後俺はお前の指示には従うが、敬語を使うつもりはないからな! これっぽっちも敬いたくねぇし」


「ごちゃごちゃ言ってねぇで、さっさと話せよビビリの逃亡者」


「……てめぇ」


 これまでと明らかに関係性が変わってしまい、大魔王メナスのせいでルーヴァンスと歪な上下関係を結び直す事となったレルピルは、態度を明らかに変えながらも先程言われた通り、メナスを敵に回すのを避けるかの如く、ルーヴァンスに一つ一つあった事を順番に説明していくのであった。


 ……

 ……

 ……

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