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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
原初の魔族達の暗躍編

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2495.魔に於ける、魔神級最上位同士の思考

「まぁ、君から今しっかりと話を聞いてみて、色々と良からぬ考え自体は抱いてはいそうだけど、今すぐに僕や主様を罠にハメて首を取ろうとしているわけじゃないっていうのはよく分かったよ」


「も、もちろんですよ、それなりに私も自分が居た世界では力を持っている側ではあったでしょうが、レキ様に刃を向けよう等とは、これまで一度も考えた事もございません!」


 ――このレルピルの言葉もまた嘘ではない。


 ダールの世界のあのレキの城の玉座の間で大魔王レキを最初に見た時、レルピルはこの魔王と戦うのは割に合わないと、一目で判断したのも事実であった。


 ヨールゲルバの世界でも『代替身体』という概念技法は魔族の間で広まっており、レキがその『代替身体』の身だという事はレルピルも直ぐに分かったが、それでも『代替身体』だからとレキを侮る真似はしなかった。


 一度も戦っているところをみておらず、また何らかの能力を使っていたわけでもないのだが、レルピルはレキの目を見た時に『これは敵に回してはいけない』と本能で理解したのだった。


 それはこの世界に来るキッカケとなった大魔王ソフィの配下の魔族たちとは、全く厄介さの種類が全く異なっていると言えた。


 ヨールゲルバに現れた大魔王達に関しての厄介さというのは、あくまで戦闘に於ける戦術面で二対一の状態では不利になるという『チャント・レルピル』としての視点から出来た判断であったが、ダールの世界で支配者だけが座る事の出来る玉座から、品定めをするようにこちらを眺めていた大魔王レキはそんな次元の相手ではなかった。


 あの時はあくまで本能に従って大魔王レキを敵に回すのはやばいと感じただけのレルピルだったが、大魔王ソフィと会った時にも同様のものを感じ取る事が出来て、その時にようやく理由を理解した。


 ――これが『魔神級』最上位である自分と、彼ら『超越者』という()()()()()()()()なのだと。


 先程も言ったが、別にレキと戦ったわけでも能力を見たからというわけではない。そして当然に大魔王ソフィと会った時も戦闘とは無縁のルードリヒ国王との面会の際に、少し会話を交わしただけに過ぎないのだ。


 だが、それでもヨールゲルバで大魔王ソフィの配下の魔族達に、勝つことは困難だと思わされたあの時よりも、よっぽどレルピルは、彼らとの強さの差を感じて更なる絶望感を抱いた。


 確かに使える『魔法』や『能力』などに関して言えば、自分の到達している『魔神級』最上位のクラスの者達と、彼ら『超越者』の間にそこまでの差はないのかもしれない。


 しかし『魔神級』最上位の高みに立った身だからこそ、自分の居る高みの更に上に居る『超越者』達が、如何に馬鹿げた存在であるかを理解出来たのだ。


 これが『魔神級』下位や中位。――否、上位クラスに辿り着いた者達であっても『超越者』達に何処が及ばないのかを理解する事は出来ないだろう。それは最上位である自分でさえ、二体の『超越者』を目の当たりにした事で理解出来た事だからである。


 ダールの世界で初めて会った時の大魔王レキは、間違いなく『代替身体』であったが、その魂に宿る本質は間違いなく『超越者』としての強さであり、ガワが『代替身体』の身であろうが何だろうが全く関係なかった。


 何より『魔』に於ける『魔神級』最上位である自分が、少しも彼らと戦おうと思えない事自体が、全てと言えるだろう。


 …………


 大魔王メナスは先程のレルピルの返答を聞いた時、自分の名が出てこなかった事に少しだけ思うところがあったが、直ぐにこの目の前の人間もまた、大魔王レキという『超越者』に対して、全くの勝ち目がないと理解に及んでいるのだと分かり、これまで彼から感じてきた苛立ちなどは、今回は一切感じられなかった。 


 それはやはり、大魔王メナスもまた『超越者』には勝ち目がないと、同様の結論を抱いているからに他ならないからだろう。


 そしてその事を考えたメナスは、やはりこの目の前の人間は狸だなと感じた。


(こいつ、やっぱり本当は僕と同じ『魔神級』最上位なのかもしれないな。何故だか分かんないけど、そう思えるんだよね。さっきまでコイツが話していた事は、やっぱり話半分で聞いておかないと駄目だな。こいつ、今僕が本気で手を出したとしても、彼らと……『シェイディ』や『イングラム』達と同じように、僕の攻撃を難なく防いできそうだ。僕がそう思えた時点で間違いは有り得ないしね。あーあ、やっぱりコイツは信用出来ないな。どうしようかな……? 今この場で殺しておかないと、後になって後悔しそうな気がするしなぁ)


 普段何事も直ぐにピンときたら実行を行うメナスは、この自分と同じ領域に居るであろう『魔神級』最上位の人間を相手に、僅かとはいえ考えに迷いが生じてしまうのであった。


 こんな事は本当に稀なケースであり、間違った判断を下せば後悔すると分かっているから迷いが生じているわけであり、メナスは咄嗟には動かずに思案に暮れるのだった。


 ……

 ……

 ……

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