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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
原初の魔族達の暗躍編

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2487.遅くなった報告

 ヒノエと会話を交わした後、直ぐにソフィは先程行おうとしていた『念話(テレパシー)』でレルバノンにエイルとの対談の結果を知らせるのだった。


 レルバノンはすでにソフィと円滑に『念話』での会話が行えるように波長を合わせていたようであり、ソフィの『念話』に数秒も掛からず反応を返してくれたのだった。


 エイルは最初からラルグ魔国やレイズ魔国を無視してトウジン魔国に話を持っていこうとしていたわけではなく、何度もラルグ魔国に使者を送っていた筈だというのに、全く返事がなかった為に仕方なくトウジンに伝えていた事、そして派遣に送ろうとしていたのは間違いなく『ルードリヒ』王国側の冒険者ギルドに所属している『人間』で、身元も確かであった事を伝えるのだった。


(そ、そのような事が……。ソフィ様、エイル国王は何者かに操られている様子ではなかったのでしょうか?)


(もちろん我も直に確かめて見たが、あやつは『魔瞳』で操られていたり、脅されている様子なども全く見受けられなかった。話を聞いている内にあやつがというよりは、使者が操られていないかなどを詳しく調べ直した方が良いかもしれぬな。これが第三者の介入だとすればこれまで通りのやり方は危ないと考えた方が良い)


(た、助かりました。直ぐに調べ直しておきます)


 当然これまでも何も調べていなかったわけではないが、それでも先入観が邪魔をしてあまり国交がなかったルードリヒ王国の印象から、全てはエイル国王の指示で最初から自国がないがしろにされているものだと思い込んでしまっていたようである。


(しかしそうなると、こちらの使者がルードリヒ王国へ正確に伝えられていなかったという事になります。ミールガルド大陸側の人間がラルグ魔国を襲う事は、現時点の国力の観点から考えても有り得ないと断言が出来る程ですが、もしかするとソフィ様が仰られていた例の別世界の魔族達が関係しているのではないでしょうか……)


 リディアやラルフといった一部の者達を除けば、ミールガルド大陸の冒険者は勲章ランクがAであっても戦力値が100万には到底届かない。そしてそれなりにミールガルド大陸では暗躍が目立つ『殺し屋』であっても、大半が10万から20万の者が多く、中には白金貨から依頼を受けるという『二つ名』持ちの()うての暗殺者や殺し屋も居るが、それでもせいぜい50万前後で頭打ちである。


 そんな者達であってもヴェルマー大陸の使者、それも三大魔国に数えられる程のラルグ魔国の使者を襲撃しようとしても勝ち目などなく、逆に返り討ちに遭うのが関の山だろう。


 それもラルグのレルバノン魔国王が、ルードリヒ王国に送る程の使者を葬る程となると、この現代のリラリオのミールガルド大陸では探す事すら非常に困難と言わざるを得ない。


 そこに前回の話に出てきたような魔族達の存在であれば、いくらラルグ程の大国の使者であろうと手に掛ける事は先程とは打って変わって容易くなる事だろう。


 レルバノンがその事を考えてソフィに質問したくなるのは、当然と言えば当然であった。


(どうだろうな……。確かにその可能性も否定は出来ぬ。屋敷に戻った後に一度、詳しい話を襲撃者と同じ組織に居たという者達に聞いてみておくとしよう)


(えっ!? ど、どういう事でしょうか! そ、ソフィ様のお屋敷に襲撃者の魔族と同じ組織に属している者達が居るのですか!?)


 レルバノンはソフィの言葉に、まさに寝耳に水とばかりに驚いた声を上げ始める。その驚いた様子が『念話』からでも容易に見て取れる程であった。


(む……そう言えば、まだお主には言ってなかったか)


(は、はい、三体の魔族の件とはまた異なる話でしたら今回が初耳です……)


 ソフィはレルバノンには起きた出来事を逐一報告していた筈だがと思ったが、そこでリーネとのやり取りが頭をよぎり、彼女にレルバノンさんに迷惑ばかりかけるのはどうかと思うと告げられて、リカルド達をラルグ魔国で匿ってもらう話をしなかったのを思い出すのだった。


(ああ、うむ……。実は少し前にな……)


 そこでソフィはヒノエが魔法を使いたいと口にした事から始まり、ラルグ管轄の森に居る精霊女王『ミューテリア』に一から指導してもらおうと考えた事、そしてその為に森に出向いた先で『煌聖の教団』の残党達と出会った事などを事細かくレルバノンに話し始めたのだった。


 …………


(成程、そのような事があったのですか。しかしソフィ様、前にも言いましたが我々はソフィ様に頼られる事を迷惑などとは一度も考えた事はございません。むしろどうやってこれまでの感謝をお返ししようかと悩んでいる程ですので、この先何かまたございましたら、迷惑などとは思わずにいつでも仰ってください。情報も共有出来ますし、色々とこちらも助かる事も増えると思いますので……)


(うむ、すまぬがまた何かあればよろしく頼む。ひとまず、一度屋敷に戻って色々と話を整理してからまたお主に伝えさせてもらうとしよう。実はまだ我達はセグンスの門の外に居るのでな。ヒノエ殿たちも居る事であるし、一度切らせて欲しい)


(そ、そうだったのですね……! そうとも知らず、色々と話を長引かせてしまい、申し訳ありませんでした)


(いやいや、何を言うか。というかエイルの話が途中であったが、ひとまず無事にエイルとは話は出来たのでな。詳しくはまた後ほど言うが、お主らにはエイルと直接話を行ってやって欲しいのだ。冒険者を派遣するという話もだが、ケビン王国とのギルド間対抗戦の話にもエイル達を加わらせてやって欲しいと考えておる)


(……分かりました。対抗戦の話はラルグ魔国だけで決めるわけには参りませんが、その点も含めて直接エイル国王と対談させて頂こうと思います)


(うむ、すまぬがよろしく頼む。本題をいつまでも話さずに時間を取らせてすまなかった。また屋敷で一息ついた後に連絡する)


(はい、お待ちしております)


 そのレルバノンの言葉を最後に『念話』を切るソフィであった。


 そしてそんなソフィの顔をずっと見ていたヒノエと六阿狐は、ソフィが『念話』を終えたという事を悟った様子で笑顔を向けてくれるのであった。


 その笑顔に癒されるのを感じながらソフィは、二人に待たせてすまなかったと一言告げて、そのまま屋敷へと歩き始めていくのだった。


 ……

 ……

 ……

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