2392.レキの魔王城に集められた新たな呪法師たち
メナスがルーヴァンスと共にこのダールの世界からリラリオの世界へと向かった頃、大魔王レキによって集落跡に居た『シェイディ』と『イングラム』達の元に召集の声が掛かる。
そして再び魔王城へ集められたシェイディ達だが、その場には見慣れぬ顔の者達が集まっていたのだった。どうやら『煌聖の教団』の残党達が、今回も新たに他世界に居る『呪法師』を集めて戻って来たのだろう。
…………
こうして『呪法師』達が集められて来るのは今回が初めてというわけではなく、これまでも幾度となくレキ達の元に集められてきていたのだが、実際にそのままレキ達の組織に残る人数は限られる。
その理由として煌聖の教団が集めてくる『呪法師』の大半が、とりあえず最低限の『呪法』を扱える者達ばかりであり、レキの『梗桎梏病』を『呪い』で打ち消したり、彼の側近や部下達を蘇らせる事を条件付きでも可能とする者が皆無と言っていい程なのが要因として挙げられるのだ。
しかしこれは仕方がない事であり、レキ達の望みをそのまま叶えられる程の者ならば、すでに『魔神級』以上に達している筈である。
前回、シェイディ達と仲違いを行った時にイングラムの手によって、胴体を真っ二つに斬られて絶命をしてしまった『包帯男』は、そんな集った呪法師達の中でも類まれなる『魔神級』の呪法師の一体だった。
確かにレキの病を治す事まではいかなかったが、彼であれば時間をかける事と『条件』を能力発動に付ける事で希望に限りなく近い形で復活を果たさせる事を可能に出来ていた。
それでもレキの当時の側近達を蘇らせる程までには至らず、彼の目から見ても使えるだろうと思える程の『呪法師』を探し出す事を条件にレキの組織への所属が認められていたというわけである。
思惑通り、リラリオの世界で彼のお眼鏡に適う『呪法師』の存在を見つけ出す事に成功した。だが、実際にはその『呪法師』たちをレキ達の前に連れて来る前に彼は絶命してしまったが故に、レキの条件には見事に応えられたが、彼は目的通りに組織に所属する事が適わなかった。
そしてまた、今回も多くの世界から呪法師たちが集められてこの魔王城に姿を見せたという事である。
…………
「よく来たな」
シェイディとイングラムがレキ達の前に姿を現すと、直ぐにレキはシェイディに声を掛け始める。
「「はっ!」」
シェイディとイングラムは、直ぐに主である大魔王レキに跪いて頭を下げる。
「お前らだけか? メナスはどうした」
きっと訊ねられるだろうと予想していたシェイディとイングラムは、跪いた状態のままで互いに顔を見舞わせるのだった。
やがてイングラムが『お前の口から説明しろ』とばかりに、顎を前に出して合図を行うのだった。
シェイディは玉座に居るレキには聴こえない程度に軽く舌打ちをしたが、待たせる訳にもいかないとばかりに口を開き始めるのであった。
「それが……、俺達も奴が何処に行ったのか把握しておりません。気がついた時には姿がなくなっていて、直ぐに戻って来るだろうと判断していたのですが……」
「ふんっ、どうやら数日前にお前らが争っていた事が原因の一つみたいだな。お前らいい加減にしろよ? じゃれ合うくらいのものなら俺も別に何も言うつもりはないが、些かここ最近はやりすぎだ。部下共が世界を巡って苦労して探し出してきた『呪法師』は勝手に殺しやがるわ、この大陸を吹き飛ばす程の激しい交戦をしやがるわ、俺もお前らの勝手気ままを許すのにも限度ってもんがあるぞ?」
「「も、申し訳ありません……!」」
眼光を鋭くさせながらシェイディ達を睨みつけるレキに、彼ら以外のこの場に居る呪法師たちも震え上がる。
どうやら想像以上に大魔王レキが恐ろしい存在なのだと、ある程度の実力を持つ彼らは直ぐに感じ取ったようであった。
「まぁいい、次に来る時はメナスもしっかりと連れてこい。それでも来ねぇようなら俺が直々に手を下す。分かったな?」
「はっ! 必ず連れてきます!」
「申し訳ありませんでした!」
許されたと判断したシェイディとイングラムは、ほっと胸を撫で下ろしながら自分達の主にそう答えるのだった。
「それじゃ、早速いつものように試してもらうとするか。おい、始めさせろ」
シェイディ達から視線を外したレキは、後方に控えている最側近の『エグゼ』に視線を向けながらそう告げる。
「はっ! では早速お前達の能力を見させてもらう。これから俺達の仲間が眠っている場所へ移動を行う。そこにお前達もついて来てくれ。もう聞かされているとは思うが、こちらの願い通りの働きをした者には、この組織でそれなりの地位を用意し、お前達が居た元々の世界の支配者にしてやる。更に今後何不自由なく暮らせる……いや、望むだけの分の金もお前達の居た世界の通貨の単位で用意すると約束しよう」
「「おお!」」
この場に集められた呪法師の大半の者達が、エグゼの言葉に嬉しそうな表情を見せるのだった。
じっとレキはその間も呪法師たちの顔を、一人一人確かめるように視線を向けていた。
エグゼの言葉に直ぐに喜びを露わにする者、報酬の件をつまらなさそうに聞く者、表情すら変えずに無言のままで居る者。
多種多様な呪法師たちの様子を見たレキは、今回はそれなりに役に立ちそうな連中も居ると判断するのであった。
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