第45話 勇者育成計画
僕は偉いんだぞ!冒険者風情がガガガガガガ!
さぁ教育の時間だ! ←今ここ!
凶悪、いや強烈な一日だった……。
グレイラット・ヒースクリフの一日の感想はそれに尽きた。
見た目はまだ少年。実年齢も未だに7歳だ。
身の丈の剣を振り回すだけの膂力とてまだ発達しきっていない。
しかし自尊心からナイフや飛び道具の類は卑怯という自覚があったため、隆一が目の前にワザとばらまいた小道具(投げナイフや手裏剣、クナイなど)を取ることはせず、ひたすら身の丈に合わない剣を振り回して相対していた。
一方の隆一は、ある種遠心力を利用した一撃を軽く口笛を吹きながら片手間に処理し、ナイフを持つ片手と軸足のみで相対していた。
途中から片手片足しか使ってないのに気づいて憤慨したが、その程度で充分と言われたのが悔しくて最後は意地になって剣の振りも我武者羅になった。
もちろんそんな適当な攻撃が当たるわけもなく、最後は無様に地面に打ち倒されて土に塗れてしまう。
子供相手に大人げないと誰かが言うと思っていただけに、他の冒険者が何も口出ししてこないのには驚いた。
後で聞いた話だが、隆一は過去も奴隷を手に入れてはこの訓練場を借りて稽古を付けていたそうだ。
僕はその奴隷と同じ扱いを受けた事になる。
しかもその奴隷達は今までも父の商会で見かけたメイドや使用人達だというではないか。
今までそんな素振りを見せず、僕が笑えば微笑み返してくれたあの人たちが、裏ではこんな事をしていたなんて。
倒れている僕の傍らに一人の男が近づいてくる。
隆一に連れられて冒険者ギルドに入った際最初にあしらった男だ。
へらへらと軽薄そうな顔をしていた男だったはずだが、今はその成りをひそめて呆れた顔をしている。
「笑いに来たのか?僕にあしらわれた程度の男が…」
かすれた声で精いっぱいの虚勢を張ってみるが、土まみれの顔ではそれも無駄というものだ。
男は言われた言葉に目を丸くしたと思ったら小さく笑いだした。
「クックク。いやすまないね。それだけの虚勢が張れるならまだ旦那のしごきには耐えられそうだ。旦那に頼まれてしばらくの間、君の世話を担当する事になった者で仲間にはノッポで通っている。もう一人、君が真人間になるまでの間はヨコナガという相棒と一緒に君を鍛える事になるからそのつもりで」
話についていけない僕を他所に、ノッポという男が隆一と話をし始める
力なく横たわる僕に新たに影が近寄ってきた。
さっきのノッポという男の言っていたヨコナガであろうか?
確かに横に長い印象の体躯をしている。
「君がグレイラット君だね?私はヨコナガと呼ばれている者だ。ノッポと同じで本名は別にあるが仲間内ではそれで通じている。先ほど軽く言われただろうが、今日から僕達二人が君専属の指導官として教育にあたらせてもらう。旦那から話は聞いているが今日から教育が終わるまではノイマン商会には帰れないものと思ってもらうし、場合によっては命もかけてもらう。それだけは肝に銘じてもらうからね?」
返事もろくにできない状態の僕に言うだけ言った二人は、まだ立つことすらできない僕を背負って訓練場を後にした。
耳だけがまともな状態の僕に聞こえてきたのは外野でこの訓練という名のいじめを見ていた冒険者達の言葉。
「見てたかよ?子供相手に容赦ねえな。さすが主殺しはエゲツねえ」
「あの子、ノイマン商会の御曹司よね?助ければ金一封とかもらえるかしら?」
「やめとけ。相手があの畏怖の館の守衛二人にあの主人だろ?Aランクが最低4人はいねぇと話すらならねえよ」
「タテナガとヨコナガだっけ?守衛二人でさえAランクなのにメイド長の二人はSランク。主人に至っては宮廷魔術師兼姫騎士団剣術指南役だろ?雲の上だよあの人は…」
とんでもない内容が耳に入ってきたが、どうやら疲労がピークの様で
「なんでもミリアリア王女と婚姻を結んだ逆玉らしいじゃねぇか?力ある者には全てが集まるのかねぇ?」
その言葉を最後に僕の意識は闇に落ちた。
さてっと。
隆一の手から赤い雫が零れ、瞬時に魔力が形をなす。
「おい訓練場の入り口が!」
「だれの仕業だ!」
訓練場の入り口が分厚い氷で塞がれ、更に刺々しい氷柱が道を阻むかのように地面から生えてくる。
さすがに中級の冒険者は避けられたみたいだが、訓練場で野次馬に徹していた初級冒険者は足や身体の一部を氷漬けにされて痛がっている。
「おい外野。子供が訓練してるのに見てただけの貴様等に一手指南を付けてやろう。お前らの言う畏怖の館の主様が、姫騎士様の剣術指南役が、宮廷魔術師様が直々にナ?」
言葉の節々に棘があるように感じられるのは未だにその呼び名が気に入らないからだろうか?
この場から逃げ出せたのは危機管理能力に優れていた上級冒険者の一部や斥候役を専門に活動している人間だけだった。
「お前達はさっきの子供と違って死線を抜けてるんだ。手加減はするが容赦はしないから覚悟しろ!」
放たれた魔力と殺気に一番初めに膝を屈したのは初級の冒険者達だ。
目の前の青年がまるで火竜を相手にしているかのような大きさに見え、膝が笑いとっさに構えた剣や盾が地に落ちる。
戦う前から敗北を悟った圧倒的弱者の姿がそこにあった。
それに比べ、幾度も死線を越えてきた中級の冒険者達は、即座に相手の力量を見極め撤退するための作戦を考える。
「パーティ単位では敵わない。遺跡や大型の飛竜を相手取るものと考えてレイド単位でかかるぞ!後衛魔法職は魔術の準備をしつつ退路の確保に当たれ!」
動けない初級冒険者たちを庇うように数十人の冒険者が隆一と相対するように立ちふさがる。
各々が即席でも連携しており、これなら6年前の湖底遺跡でも十分にやっていけるだけの実力があっただろう。
しかしすでにあの時から6年。
地震と遺跡の暴走は続き、各国は連名で一つの告知を行った。
『魔王の誕生』
その発表は一般の国民に恐怖を与え、冒険者には危機感を煽らせた。
遺跡の難易度はすでにAランクの冒険者でも命を落とす危険性があるとして各国で軍を派遣し警備にあたり、赤縁の魔術師を複数動員しての殲滅戦を行う形で対処を取る事になっていた。
冒険者の質もそれに合わせて向上はしていた。
先ほど述べたように湖底遺跡の暴走なら生き残れるであろうレベルには。
しかしそれでは足りない。絶望を体験した事のない者にこの先の歴史は荷が重いであろうから。
「お前らが潜り抜けた死線がそよ風と感じるぐらい派手に行くからあっさりと死ぬんじゃないぞ?」
腰から抜き放った一振りの剣。
「まったくマスターは相変わらずだな」
知識ある武具である草薙を地面に突き刺し先ほどとは違ってジワリジワリと魔力を移す。
「さぁ生き残れこの先の歴史の為に。凍えし煉獄ニブルヘイム!」
先ほどの氷のように刺々しくはない。だが急速に周囲の気温が下がり始めたのを全員が感じた。
吐く息も白くなり、瞬時に凍りつく。
激しく動く冒険者は総じて薄着で局所をプロテクターなどで防護している場合が多く、中には素肌に直接着込んでる冒険者もいる。
そんな中、叫び声を挙げたのは数人の冒険者だ。
「いてぇ!剣と防具の鉄が凍って皮膚が!」
周囲も似たような状態で、寒冷地戦闘の経験はほぼないとみていいだろう。
そもそもエインズワーグを含めて大陸の上と下で日本の四季のように気温が移り変わるのではなく、大陸の真ん中にそびえたつ山脈を隔てて気温が極端に変わり、そしてその山のせいで他の国との交流もほとんど断たれている事になる。
山を迂回するように国々を繋ぐ道は存在するが、それだと迅速に情報を伝えることはできず、今回の魔王の情報を共有するのにも時間がかかった。
そして気温差が激しい為に冒険者たちは己の国から外へ出ることはめったになく、出る前にその国の情報を仕入れて準備を整えてから出発する。
つまり今回のように突発的な気象や事象の変化に迅速に対応できる人材や装備はないということだ。
滑り止めとして皮のグローブを装備していた冒険者は持っていた武器に手の皮を持っていかれなくて済んだみたいだが、まだ装備が整っていなかった初級の冒険者たちは一様に手にしていた武器を落としていた。
口端を吊り上げながら悪魔のように笑う隆一の姿を見て冒険者たちは寒さとは違う恐怖からくる悪寒を身に抱く。
「さぁ、この先冒険者として生きたいのなら力を見せろ。先の世は今の俺よりも絶望を与えるかもしれないぞ?」
どう見ても絶望の側に立っている魔王の様な男に対し、対峙している冒険者達は戦意を喪失していく。
膝をつき、寒さで震え、涙も吐息も凍りつく閉鎖された空間。誰もが死を覚悟するような極限の状態。
そんな中、一人駈け出す若者がいた。
持っていた布で巻いたのであろう柄を持ち寒さでかじかむ中、短期決戦に持ち込もうと最短距離で駆けてくる冒険者。
小柄な身から少年かと思ったが、長い髪を編んでいる姿から恐らくは少女であろう。動物の耳を生やしている事から獣人。恐らくはネコ科の種族だとうかがえる。
手に持っているのはナックルガードの付いた細身のレイピア。
非力な身でも扱いやすく重鎧の隙間をうがてる技能があれば自身よりも強者を倒せるであろう。
あくまで相手がただ人ならば。
「にゃっ!」
鋭く突きこまれる剣身に対して隆一はあくまでアクションを起こさない。
剣を持ち無防備に佇む隆一に対し、ネコ族の女冒険者は寒さで思考を失った状態で無心でレイピアを突き込んだ。
巨大なガラスが割れる音。
そして一気に訓練場内に暖気が流れ込んでくる。
いきなりの気温の変化に戸惑う冒険者も多いが、呆気にとられたのはレイピアを突き込んだ女冒険者だ。
「いニャい?」
手ごたえはあった。突き刺した感触もあったし一矢報いたという気持ちもある。
しかし現実はあの魔王の様な男が罅割れて砕け散ったという事実。
そしてそれに合わせて出入り口の氷が壊れたという事。
「あの男はどこ!?」
ネコ族の女冒険者の言葉に、他の冒険者も周囲を見回す。
するとようやく開いた出入り口から何人かのギルド職員が良い匂いをさせながら降りてきた。
むろんその中にはギルドマスターと元凶である畏怖の館の主もいる。
「最終的に合格と呼べるのはあの女だけだな。指示を出してた奴らも良い線いってたが気圧されるようじゃ喰われるだけだ」
隆一の言葉に訓練場にいた冒険者達はいきり立つが、言われた言葉は事実なため口を出す事ができない。そもそも喰われるという言葉の意味が解らない。
「お前ら。今回の一件は冒険者ギルドが依頼した。突発的災害における事態対処の訓練と、圧倒的強者に対する心構えを見る為にリューイチに依頼したものだ」
アーカードは、今回の訓練の主旨として、限られた空間内で発生した突発的事象。つまりは訓練場内を遺跡内部と仮定し、そこで起こりえる可能性に対しての対応能力の向上を図りたい。そして遺跡で不意に主に遭遇した場合の心構えをしてほしかったそうだ。
もちろん隆一はニブルヘイムを使用後、即座に別に設けた脱出路を使い外へと退避。
攻撃を当てれば破壊されるように術式を組んだ案山子を置いてきた。
グレイラットを矯正させていたのは完全に別件だったのだが、それが功をそうして大量の冒険者を巻き込むことに成功した。
「わかったか?魔王復活のお触れが出たのは知っているかと思うが、俺の魔力如きに膝を屈するようなやつらが遺跡に向かっても良くて三日持つかどうかといったレベルだ。少なくとも気合だけでもそこのネコ族の冒険者にようになってもらわなくては命がいくつあっても足りないぞ」
隆一の言葉に俯く冒険者達と、反抗的な態度でこちらを睨みつける冒険者、そして深く考えるように眼を瞑る冒険者など、皆一様に違った反応を見せる。
「もちろん今の女冒険者。あー名前はなんていうんだ?」
「リリスですにゃ…」
「リリスのように立ち向かうのも勇気がいる事だと思う。今回は攻撃を当てれば砕けるようになっていたが、遺跡の主や魔王復活の影響で凶暴化した魔獣の中には知恵のある存在もいる事だろうし。リリスの行為が蛮勇で終わる事になるかもしれない。しかし膝を屈していた冒険者、お前達がリリスの走る姿を見て動かなかったのにはがっかりだ。」
隆一は言葉を区切り、全員を見回した。
「俺は湖底遺跡の大暴走鎮圧で大勢の冒険者達が戦っているのを見ていた。彼等は多くが死んだが誰一人として背中を見せた者はいなかった」
アリサやアリシアの報告では王子と王女の激の元、一つの生き物のように戦ったという。
圧倒的実力差の前に膝を屈するのは悪いとは言ない。しかしそれは全てを出し切りそれでも届かないとわかった時でいい。
戦いもせずにほんの一手や二手先んじられたくらいで戦意を喪失するなど危険と隣り合わせの冒険者としては愚の骨頂である。
隆一が放つ辛らつな言葉に、肩を落としていた冒険者達も早々にあきらめていた自分に気づき恥じていた。
「あー、まぁそういうことでだ。とりあえずお前らの今後は戦闘能力ではなく精神面の鍛錬が必要だという事が解っただろう。それに話が長くなったが冷えたお前らの為に今度は暖まる飴をくれてやろう」
アーカードは隆一の話をまとめると背後に控えていた職員に手に持った寸胴鍋を前に運ばせる。
先ほどから訓練場に漂うおいしそうな匂いの正体がようやく冒険者達に知られることになる。
「昨日仕留めたボアピッグの肉で作った俺の故郷の伝統料理で豚汁という。好みでトウガラシなんかを入れて食べるのも良いし〆に麺類を入れて食べるのも旨いもんだ」
遠慮せずに喰えと隆一が手ずからお椀によそってフォークを添えて冒険者達に手渡していく。
最初はいぶかしんでいた冒険者達も、一口食べてからはひたすら口に運ぶ機械になっていた。
その間も職員達が料理を配り皆が行渡ったところで隆一は席を立つ。
「そろそろグレイラットも起きた頃だろうしいったん屋敷に帰るわ」
アーカードの返事も待たずに隆一はとっととその場から消えてしまう。
「まったく、この料理にしても上まで響くような魔力の波動にしても6年前までとはかなり変わったな。あいつもこの国も」
以前なら隆一は力で圧倒するスタンスを取っていたが、最近では技術を重視して相手と対等な立場で戦闘をすることが多くなった。
相手からしたら上から目線でイラッと来るだろうが、それでも隆一が相手の技術を盗もうとしているのが解ると自然と相手も隆一の技術を盗もうとして結果的に切磋琢磨した戦闘になっている。
無論相手に突出した実力がなければすぐさま戦闘を終わらせるのだが。
それにここ6年の間に市場に出回り始めた調味料も、元をたどれば隆一が開発者だ。
この豚汁に使われているミソや最近の料理に多く使われているショウユというのも元はと言えば大豆を加工した食品だという。
どこから知識を得ているのかは知らないが形にして売り出している時点で只者ではない。
アーカードは知らないが、宮廷魔術師になった後に論文を書くのがメンドくさいという理由だけで現物を納めるスタンスを取っているのが真相なのだ。
そして日本の味を再現したいという気持ちがあるのも否定できない。
この6年の間に大豆を元にした調味料や加工食品の特許を持って成果報告としてエインズワーグの食文化に一役買っていたのだ。
「おかえりなさいませご主人様」
門の前で待機していた新しく教育中である新米奴隷達の挨拶を受けて屋敷へと戻る。
新米達の背後では先輩の使用人であるメイドがその様子を監督し、俺のいなくなったところで駄目だしをしている。
正直大所帯となった隆一の屋敷では冒険者としての肩書とメイドとしての肩書を捨てたアリサとアリシアの抜けた穴を埋めるべく次代のメイド長と補佐を決める熾烈な使用人争いが起きていたらしい。
なぜアリサとアリシアが隆一のメイドと冒険者としての肩書を捨てたのかと言われれば、やはり6年前の湖龍の乱と呼ばれる湖底遺跡の大暴走までさかのぼる事になる。
簡単にいえばあの時の二人の功績と俺の功績の全てを持って王子経由で国王に二人の御家再興を願い出たのだ。
見目麗しい二人を手放すのは正直もったいないが、あの湖底遺跡戦の後、信頼できる奴隷達には俺の素顔と目的を伝えてそれでもなお揺るがない忠誠心を見せてもらったので、それならと対外的にもやっかみの多い俺の手元から放した勢力を作ってしまおうと考えたのだ。
元々爵位持ちだった二人に加え、今回の二人の戦果、そして俺の成した功績の全てを条件にせまった所、国王は二つ返事で再興を許可したのだ。
無論貴族の派閥などが邪魔をしようと考えていたので、そこはわざわざ出向いて魔力による威圧で黙らせ、それでも邪魔する奴らは、昔のように綺麗に折りたたんで軒に吊るすことにした。
最近また増長し始めた貴族が増えたみたいなので、またO・HA・NA・SI☆が必要な時期なのだろうな。
国王も以前よりもやつれた様子を見せていたので、貴族の相手や魔王復活のお触れのせいで回ってくる面倒な書類仕事にでも追われているのであろう。
二人の屋敷の再興に伴い、俺の屋敷で比較的初期から働いていた奴隷達の半分を二人の屋敷の使用人として送り、二人の抜けた穴には中堅のメイドと執事をしていた者が治まった。
屋敷へ入り、俺の部屋まで来ると使用人の一人にグレイラットの様子を確認するように事付け中へと入る。
6年間の間に集めた恐らくこの世界でも希少といえる品の数々が、以前はスカスカだった壁の棚に収められている。
「昔は銀龍皇の鱗に草薙のレプリカだけだったのにな」
金貨の貯蓄量だけなら一線級の冒険者なら稼いでいる額ではあるが、遺跡に潜り続けていた隆一にとって、金額では測れない遺跡のアイテム自体がとてつもない価値を持つのだ。
「明らかなオーバーテクロノジー。オーパーツって言うんだっけか?」
時代錯誤なSFチックな剣に、明らかに銃とおぼしき形状の杖。果てにはパワードスーツのようなモノまで発見した。
明らかに時代と世界を間違えている代物もあれば
「こっちはこの世界に存在しない歴史書に神話体系。オカルト臭溢れる品々と来たもんだ」
エインズワーグの他、魔術国家ステイメン。湖底遺跡スピネルから一番近い国ステイン。そしてついこの間行ってきた秘境の中にある古代都市『ブレイン』。大陸内でも海沿いに存在するこの古代都市からは日本食の源である味噌と醤油、そして白米、それもジャポニカ米の品種が冷凍保存された状態で存在し、それらを作るための製造工程表も入手できた。
そのおかげでその年のレポートは丸映しで提出が可能となり、俺の食生活も和食に近づける事ができた。
世界変われど食は変わらず。食べ物とは偉大だな。
しみじみと一人頷いている俺の横では最近常に側にいるようになったラトが同じようにモフモフと同じ動作をしている。
「ご主人様。ノイマン商会ご子息が眼を覚まされました。ノッポが対応中です」
ノックと共に扉の向こう側からヨコナガの声が聞こえてくる。
ようやく目を覚ましたか。治癒魔法が使える医療スタッフを養成する必要があるかもしれないな。
「わかった。軽く食事を与えてやれ。粥かスープで良い。また激しい運動が続くからな」
隆一の激しいが一般の人にとってどれだけ激しいのか知っているヨコナガは苦笑しながら「かしこまりました」と部屋の前から去っていく。
「さて、勇者殿があと数年でどれだけ成長できるのかね?」
この世界に来て10年が経とうとする中、隆一は勇者グレイラットを育てる為に動き出す。
一月ぶり?です。仕事が忙しくなかなか更新頻度を上げられません。
元々不定期更新ですが読んでくださっている方々にはご迷惑をおかけしています。
こんな私のつたない作品ですが今後も楽しんでくださると幸いです。
PS最近新しく作品を執筆(入力ですが)中です。近いうちに載せられたらと思います。
不定期更新なのは変わらないと思いますが(汗




