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閑話 とある二人の無駄話

湖底遺跡へ出発した隆一達


夜中の門番二名の無駄話 ←今ここ!

※本編とは関係ない脇道なのでご注意を

「なぁ。リューイチ様って今歳いくつよ?」


 それは今回の遠征に行かずに屋敷に残ることになったある奴隷たちの会話。


 二人は屋敷にいる使用人たちと共に屋敷の保守管理を主な仕事としてこなしているハウスキーパーのような仕事が主業務であった。


 現在隆一達は湖底遺跡へ遠征に出かけているため、屋敷の中にはベテランの使用人とダンケからの紹介で配属されることになった奴隷達とが半々の割合で存在している。


 二人は奴隷に落ちる前の戦闘能力の高さに目をつけられ警備の仕事を行っているが、現在は屋敷の主が不在であり、屋敷内に居住している人間に一人一匹貸し出されている軍隊鼠も全匹遠征の連絡要因として隆一が連れて行ってしまった。


 故に目の届かない場所で二人は少しだけ世間話に時間を割かせている。


 もちろん今現在二人は正門を守っている守衛のため四周には常に目を光らせてはいるのだが。


 他の奴隷達が周囲におらず、二人だけで夜の立哨は暇なのである。


 例え主がいなくても警備は緩めてはいけないのだとメイド長であるアリサから初日に口が酸っぱくなるほど言いくるめられた。


「契約前に試しに聞いてみたら今年で一六歳だとよ」


 ちなみにこの二人の奴隷。一方が身長が極端に高く、隆一から付けられたあだ名がノッポという。


 そして反対側に立っているのは、それとは逆に横に広いガタイの男で隆一からはヨコナガと呼んでいる。


 実際は別のきちんとした名前があるのだが、隆一が奴隷を紹介する時にその名前で皆に紹介したため、他の使用人や奴隷仲間からもそのあだ名で呼ばれるようになった。


 最初こそ嫌なネーミングだと思ったものだが、皆親しみ易く良い名前だと言ってくれているので最近では気にならなくなってきた。


「あれだけの実力でこんな屋敷を持っててしかも竜まで使役しておいて一六歳!? しかもこの屋敷だって手に入れたのは三年前だって聞いたぞ?何者なんだあの人は」


 一六歳だと告げてきたノッポの言葉にヨコナガは大げさに驚く。


「バカ。大声出すなよ仕事中だぞ!奴隷契約時に聞いてみたから間違いない。割と自分の素顔以外はオープンな方だぞ?」


 ノッポの言葉にヨコナガは隆一が普段身につけている仮面を思い出した。


 たまにデザインが変わってたり古プレートの鎧の兜だけ被ってる時もあるが、基本はフルフェイスであのアリサ達古参の使用人でも素顔は知らないらしい。


「どんな顔なんだろ?ものすごくイケメンで素顔見せると顔が輝いてるとか?」


 ヨコナガの言葉に「いやいや、実はとても酷い顔で仮面で隠さないといけないとか」


 二人して隆一の素顔について色々話していると、不意に背後に気配が生まれた。


「ちなみに俺は隆一様は魔力を対価に体の一部を支払った代償説を押している」


 伸びてきた野太い腕に頭を鷲掴みにされ宙に浮かぶ二人。


 振り向けば三年の間、ひたすら森の中で単身ジェノグリズリーと戦い続けて出来た逞しく、心強い筋肉の鎧に包まれた熊族の獣人。使用人になってから屋敷の警備を全般的に任せられているレイモンドが、柔かな笑みで二人を見つめている。


「俺は別に私語をするなとは言わんししっかりと警備できているなら何も言うつもりはないんだがな?」


 大量の脂汗を流しながら、ノッポとヨコナガはこれから起こるであろう結末を予想し涙を流す。


「だからといって俺に気づかないようじゃまた遺跡あそこで修行するしかないなぁ?」


 二人の命乞いに耳を貸さず、隆一が帰ってきたらここから程近い場所に存在する遺跡に、日帰り遠征に行く旨を隆一へ伝えようという腹積もりのレイモンド。


 ちなみに隆一なしで挑む遺跡探索は、ただ単に使用人たちの修行の場としてしか機能せず、倒した魔獣や獣の素材は相手の力量が高いからか綺麗に倒せること自体が希なため意外と高値がついていたりする。


 個人で倒した魔獣の代金は自分のものにしていいということなので、奴隷達は早々に開放金額を達成する事例が増えてきている。


奴隷ギルドとしては利子でコツコツ収益もできるが、一括支払いができるなら自分を買い戻す金額と奴隷を売った金額とで二度おいしい額が一括で手に入る。


ダンケは隆一に奴隷を使い潰すのはどうだろうかと探りを入れたが、帰ってきた内容は奴隷達を激励して自分の意志で働かせただけ。


奴隷はどこか自分の人生を悲観し諦めている所があるので、人身の掌握に長けた隆一の幼いながらも冴えた考えに驚いていた。


 そしてその最たる事例がレイモンド達最初期の奴隷達だった。


 規格外の人物とそれに従う飛竜。次々に隆一の下へ集う異形の姿の者達を見て、幼い日に聴いた英雄譚を各々が思い出した。


『人種に問わず、性別に問わず種族に問わず、英雄は清濁併せ持ち全てを巻き込み内包し、そして全てを導く橋となる。


 それは虹のように鮮やかで、雲のように気まぐれで、そして闇よりも深く光よりも眩しい。


 彼の者は決して正しくはない。


 間違いもある。泣く時もある。くじける時も諦める時もあるだろう。


 故に彼は神ではない。只人なのだ。


 だから彼は英雄成り得る。


 そして彼の者が歩いた軌跡が語りとなり、それが英雄譚として語り継がれる。」


 最初期の奴隷達の中でもレイモンド、アリサ、アリシアなど、直接隆一と接する機会が多かった者は彼の活躍を聞くたびにその英雄譚のフレーズを思い出した。


 そしてそれに続く、『英雄』に続く存在になりたいと日々奮起し、邁進してきたのだ。


 自信を追い込み、血反吐を履きながらそれでも前だけを見て力をつけた先にあったのは奴隷からの開放。


 そして鋼の肉体を手に入れ奴隷からの解放を祝福してくれる隆一の姿。


 英雄に、自分が追ってきた理想の英雄が俺に対して祝福してくれる。


 解放されたその日にレイモンドは隆一への一生の忠誠を誓った。


 一足早く奴隷から解放されたアリサとアリシアのように隆一へ深く頭を下げ、初めて奴隷になった時と同じセリフを口にする。


 そうして正式に屋敷の警備主任として働き始めたレイモンドだ。


 その絶対の忠誠心と仕事の姿勢は隆一が屋敷に長期にわたっていなくても変わることはない。


 隆一もレイモンドがいるから屋敷に不安があるわけもない。


 レイモンドは隆一が口に出さないでも意志を汲み取り動いてくれるので隆一としては警備に関してレイモンドに何か言ったこと等一度もない。


 放任主義と言えばそれまでだが、それで問題があったことなど一度もないのでそれでいいのだ。


 なにかあったらその都度見直せばいいのだから。


「とりあえずこの勤務が終わったら最近出没の話がある熊狩りに行くぞ」


 屋敷に二人の悲鳴と一人の高笑いが聞こえてきたが隆一の屋敷は今日も平和だ。













短い短編です。


こんな隆一のいない屋敷の使用人や奴隷達は主がいない屋敷でどんなことを話しているのか。


二人の門番目線で軽く書いてみました。本編とはちょっと離れた息抜き程度に読んでください

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