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第23話 その家買った!

ようやく話が終わった!


次は家を見てみよう! ←今ここ

 無事に木工ギルドへ依頼を済ませた隆一は、冒険者ギルドへ行ってコノカへ報告を行い今度こそ賭け金を受け取る。


 その後は、なにか言われる前に冒険者ギルドを後にし、もうやみ亭に戻って部屋へと篭る。たった一日外で活動しただけなのになぜこんなに疲労がたまるのか。


 しかも肉体的な疲労ではなく精神的な方向でである。


「やりすぎたか? でもメンドクサイし後で闇討ちとか面倒だし」


 ラノベ的な見解では、こうしておけば周囲が壁を作ってくれるのである程度面倒事は避けられるはずなのだが、実際に行動に移すとこんなにも面倒で厄介なイベントなのだろうか。


 ギルドカードに貯蓄されている金額は金貨50枚、銀貨45枚、銅貨90枚に銭貨が60枚と割と全てがキリの良い数で表示されている。


 白金貨は残念ながらないが、初日で稼いだ額で考えればある種法外な金額と言えるだろう。


「少なくともデビューしたての新人が一日で稼ぐ額じゃぁないよな」


 背負っていた草薙をベッドの脇に立てかけて着ていたローブと仮面を外す。


 ある程度服を脱いでラフになったその姿は以前とは違い色がある。


 正確には透明だったはずの体に何かがまとわりついているかのような変な違和感が存在する。


「餅。もう離れて大丈夫だ」


 隆一の言葉に、体を薄く覆っていたスライムの餅はその身を地面へと降ろしてプルプルと震える。


 今日は一日、餅を体に張り付かせたまま行動していた。


 餅を連れて歩くと移動速度の差が出てしまい餅との距離が離れてしまう。かといって抱えて運ぶわけにも行かず、妥協案として生体アーマーのように餅を体に纏わせてみることにした。


 なるべく質感や色で違和感が出ないように色を生活魔法のライトで色彩をごまかし、もしも背後から攻撃をされた場合は餅が教えてくれるようにしておいた。


 今回はあまり活躍がなかったが、行動に不具合はなく餅もまんざらでもなかったようだし今後も頼むとしよう。


 しかし仮面の下を餅で覆う事はできないため、先程のは少し危なかった。流石にあのハプニングが頻繁に発生するようなら人付き合いも考えなければならないかもしれない。やはり早々に一軒家を探して手に入れたほうが良いのかも。


「とりあえず明日は不動産関係の店を回って手持ちの資金で手に入れることができる家を探すとこから始めよう」


 流石に白金貨が出てくるような物件はないはずなのだが、なるべく立地や設備は良いほうがいい。


 最悪、曰くつきの物件でもあれば安値で手に入れられそうではあるが、流石にこの世界に来てまで肝試し紛いのことはしたくはないな。











「ありますよ。そういった物件!」


 結論。ありました。そういった物件。しかも豪邸。


「世界の悪意を感じるよ」


 別に幽霊が怖いとか、こんな体になって異世界に行って魔法使えてとかなったらね?


 今更たかが幽霊とかポルターガイストとかでピーピー言うわけないじゃないですか?


 仮にも前の日に一人、一昨日に三人仕留めている訳ですし、呪いの一つや二つこちらから手招きしてやるってもんです。


 一つだけ言いたいのは


「どうして王城近辺にある上流貴族の邸宅なんだよ! せめて中層商業区の曰くつき店舗にしろよ!?」


 確かに上流階級になれば謀に巻き込まれるパターンなやつだということはわかるが、少なくとも下層の一不動産屋が取り扱うようなレベルの物件ではないはずだ。


 思い切ってその話を振ると


「以前は上層の不動産で取り扱われていた物件だったんですが、住む人皆変死するとかで、中層の不動産に下ろされてそれが巡り巡ってうちの取り扱いに。購入費なんて雀の涙で十分です!とりあえず一旦手放せば二度とうちの取り扱いにはならないようになっているので今回だけでいいですから何卒ご購入を!家族を路頭に迷わせたくないんです!」


 そんな不穏そうな話を客の前で堂々と話した上に死にたくないから引き取れたぁいい根性だなおい?


「購入費は金貨1枚。もしも住めるようになったら家具と修繕費用はそっち持ちでならその話受けてやる」


 俺の言葉に不動産は青くなりながらせめて金貨30枚とほざくので


「金貨30枚だと家具や窓なんかの修繕と家の規模が大きいなら改修工事も必要になるからその費用もあるし近所に引っ越した際に高級な菓子折りも配りたいし、曰くつきなら教会の司祭とか光魔術に明るい赤縁の冒険者とかでお祓いも必要だからそれの費用もそっちの持ちでなら……」


「是非金貨1枚でお受けいたします!」


 うむ、よっぽど手放したいんだな。


「では俺のものになるに従って契約書類の作成に移ろうか?」


 ここで口約束だけだと相手が逃げるかもしれない。ここはガッチリと捉えて離さないようにしなければ。


「草薙、契約書類の内容と文面に違和感があれば教えてくれ」


 ぼそりと草薙にだけ聞こえるようにつぶやいてから店主と共に魔法陣を利用した契約書類の作成に入る。


「なぜこんなに厳重な魔術刻印の契約書類を必要で?」


 店主の訝しむ表情に


「もしもその家を住める環境に整えた後に返せと他の上級貴族が押しかけてきても厄介なので。こういった契約書類は一度発動すると解除に相当な技術と金がかかると聞いている。私も魔術には明るい方でこの契約書類の変更には最低でも赤縁レベルの魔術量がなければ変更できないようにさせてもらう」


 隆一の言葉に、店主は赤縁、最高レベルの魔術保有量を持つ人間が身近にいるわけがないとタカをくくって景気よく書類にサインを行う。


「では赤縁の魔術師殿に契約書類に魔力供給を行わせてもらいに行きましょうか?」


 ギルドにでも依頼を出しに行くのだろう店主の肩を押さえて懐から自身が持つ赤縁のギルドカードを取り出して店主に見せる。


 たかが金持ちの子供が興味半分で手を出してきたのであろうと足元を見ていた店主の顔が、差し出された赤縁のギルドカードを見た途端に驚愕に変わる。


「ギルドへの以来は不要だ。その家を手に入れるだけの力を示せる実力はあると自負している」


 呆気にとられている店主を尻目に凶悪なまでに赤いファルシナが纏っていた色と同じ色の魔力の雫を魔法陣が刻まれた契約書類に垂らす。


 魔力の雫が契約書類に触れると魔法陣が輝き書類の縁がギルドカードのように真っ赤に染まる。


唯一違うのは今回はギルドカードとは違い穴を開けなかったことだろう。昨日、一昨日で少しは魔力の量を調節できるようになったのだと思いたい。


「これで契約は完了した。契約に従いあの家が手に入ったなら交わした内容は絶対に遵守してもらうぞ」


 その邸宅に入るためにはまず上層の関所を通過しなければならない。


 通称貴族区と呼ばれるだけあって警備は厳重なのだが、あの屋敷の引き取り手が見つかったという店主の言葉に、兵士たちの視線が一斉に子供姿の俺に向いた。


 それは哀れみか好奇心か、はてまた憐憫の視線なのか?


 二人は兵士達の視線にさらされながら王城が目視できるくらいの位置まで歩き続ける。


 こうやって見るとこの国の大きさを改めて体感できるな。


 中世ヨーロッパのような古城よりも大きく、明らかに東京ドームが4つは入るのではないかというくらい城自体が大きい。


 これだけの規模の城と国が千五百年後には無くなっているなんて現時点では考えられないな。


 そんな感想を抱いているのをただ城のスケールのデカさに驚いているのだろうと思っているのか店主はこちらですと、城を左手に見ながらある一点を指差した。


 そこはこれでもかというくらい塀に蔦が生い茂り、建物自体も見た目こそきれいだが所々生い茂っている蔦が恐怖の館という雰囲気を出すのに一役買っている。


 時折聞こえてくる雄叫びにも似た音が聞こえてくるのはきっと風の音だろう。


「この館が数代前の国王陛下が建てたとされる静養所になります。以降その国王陛下がこの屋敷でお亡くなりになられてからこの屋敷では不思議な出来事がたて続きに起こり、幾度か解体作業を行おうとしたのですが、なぜか事故が相次ぎ作業員不足で頓挫、以来賃貸を行うものの次々と謎の死を遂げるものがあとを立たず」


 店主が今からでも思いなおせとばかりに訴えてくるが、とりあえず内部を調査しないことにはわからないな・


「とりあえず内部を調査してもしも魔物や野盗の類が住み着いてるなら排除してそれ以外なら、まぁなんとかなるでしょう」


 隆一は気軽に告げて蔦の生い茂る門を強引にこじ開けて屋敷の中へと足を踏み入れていった。


 置いてかれた店主も、一人は寂しいのか怖いのか、慌てて隆一の後を追って屋敷の中へと足を踏み入れていった。


 とりあえず踏み入れた屋敷の内部、少し湿気が強い気がしたので手近にある窓を次々と前回にしていく。


 光が差し込む屋敷の内部は、所々手入れが行き届いておらずパッと見ただけでも相当な改装が必要だというのが見て取れた。


「これだけの規模の改装工事だと治るまで住むのは無理そうだな」


 既に住むことを前提に行動している隆一を奇異の目で見ながら店主は後ろをついて行く。


 しかし、歩いている最中からなにか違和感を感じ始めている。


 見た目は完全な左右対称な屋敷なのだが、老朽化に伴って歪んでいるのか体が少し斜めになっているようにも感じる。


「店主。この屋敷なにか違和感を感じないか?」


 隆一の言葉に、ビクついていた店主は恐怖を貼り付けた顔でこちらを見る。


 いや、いい大人がどんだけ怖がってんだよ?


「い、いいえ。私は全然」


 どこかで聞いたことがあるんだよな?


「この屋敷に住んでいた人達は短い間隔で変死したのか?」


「い、いいえ。しばらくは迷信だなんだと言って笑っていましたが、徐々に体調を崩していって、気がついたときにはもう自殺を」


 精神的な軽度の苦痛を長期に渡って行い続ける。心と体を長期にわたって犯し続けるなら呪術的な内容になるが、あくまでこの家に住んでいる人間を対象にするならそれ以外の接点が存在しない。


 ふと後ろを振り返る。そして違和感の正体に気づいた。


「なるほど。魔術的でも呪術的な行いでもない」


 つぶやく龍一の言葉に、店主は藁にもすがる思いで泣きついてくる。


 しかし、解決策を行うならばこの屋敷は取り壊さなければならない。


「せっかくの豪邸を潰すのは気が引けるな」


 せっかくだし、影響が体に現れる前に全てを調べ終えて金目のものは動かしておこう。


 声量を上げる生活魔法の改良『音波反響エコーロケーション』では数箇所に隠し部屋があるのがわかっている。


 もしも建築技術が生んだデッドスペースでないのなら数代前の国王の遺産が存在するはずである。


 なにもない可能性もなるが、それなら壊すのに手加減はいらない。


「謎が解けたのでこれからこの家の探索に入ります」


 隆一はそれだけ告げると手近の隠し部屋がある部屋へと足を踏み入れる。


 店主も、一人にされては堪らないと後ろにぴったりとくっついて部屋へと入る。


 その室内は応接間のようで、所々古びてはいるが置かれている調度品は品がよく、この屋敷の元々の持ち主であった者のセンスの良さが伺える。


 周囲を見渡し、音波反響で反応があった部分を調べ始める。


 見た限りでは壁一面に巨大な絵画が飾られていて、その絵がこの部屋の主のような存在感を出している。


 絵の内容はオーソドックスなおそらくは創造主とファルシナ、それともう一柱の女神を模した三人の神が世界に降り立った姿を映し出しているなんとも現実離れした壮大な絵画である。


「その絵は、当時国で一番と呼ばれていた小人族の青年が描いたとされる絵画で、屋敷を建築する際、当時の国王が命じて描かせた品だと言われています」


 怖がっていてもセールストークに回す余力はあるみたいで流暢に絵画に関しての情報を教えてくれる。


 よく見れば絵画の下に小さく作者と思しき青年の銘が刻まれていた。


「まぁそれはどうでもいいんだけど。多分これかな?」


絵画に触れながらゆっくりと視線を動かし、ある所に溝があることを発見する。


それは三人のうち女神と思しき二柱の胸の辺り、別段立体感のある絵ではないはずなのにそこの所だけ他とは違い厚みを感じられる。


 しばらくその付近を探っていくうちに、指が触れていた一角が突如奥へと引っ込み、自動的に扉の取手のようになる。


「この形からすると引き戸か?」


 試しに横へとスライドさせると、長年動かしていなかったせいかギシギシと音を立てて絵画が二つに割れていく。


 不動産屋の店主は開いた口が塞がらない様だ。


 しばらくして人一人が入れる程度の通路が絵画の奥から現れた。


「なんでこんな所に隠し通路が?」


 店主は当然疑問を口にするが、ここが元国王の静養所ならば無論外敵に対する避難経路や迎撃用の仕掛けの一つや二つはあってしかるべきだろう。


「とにかく中に入って何処に繋がっているか確認しないといけないな」


 何年も人が入った形跡のない通路からは湿気からくるカビの匂いが立ち込めるが、別段気にした様子もなく隆一は足を通路の中へと踏み入れる。


 先へ進むにつれ、所々光が指す所を見ると、この通路は緊急時用の避難路としてではなく、いわゆる隠し通路の役割も果たしているようだ。


 光の指す場所から向こうを覗いてみれば、各部屋の絵画や模様の隙間からそれとなく内部の部屋の様子を伺えるようにされていた。


 元の世界で言うところのマジックミラーの技術はないようなので、覗き穴が一般的に普及していたのだろう。


 道中他の部屋に通じる出入口も発見したので、逐次店主から貰った見取り図に追記していく。


 店主と二人、くまなくマッピングして回ること一時間、いい加減狭い通路に嫌気がさしてきたところに、更に一階分下へと下るハシゴが現れた。


 現在地は調理場の裏側、近くの覗き穴からは大食堂と思しき光景が見える。


「この先へ向かうんですか?」


 店主もいい加減に帰りたいのだろうが、個人的にはこの先に何があるのか非常に気になるし、何より調理場のすぐ先には王城が見えるのだ。


 いやでも先の展開が予測できてしまう。


「一旦屋敷内に戻るか。この先は個人で調べるから店主は気にしなくていい。なによりもこの内容は他言無用で頼む。お互いに命は惜しいだろう?」


 言外に話したら殺すぞ?と脅しをかけて二人は屋敷の入口へと戻ってきた。


「まずはじめにこの屋敷の不審死の原因から説明するか」


 隆一の言葉に、店主はこの屋敷を調べ始めた主目的を思い出した。


「おそらくだが、この屋敷自体が数代前の国王が設置したトラップだろうな。屋敷の内部を見ているうちに気づいたことだが、この屋敷自体絶妙な間隔で平衡感覚が狂わされるように設計されている」


 それこそ玉を転がしてようやく気づくかといった形に非常に小さな角度で。


「それに一見して落ち着いた色合いの壁の模様だが、ある一定のパターンで視界に入れ続けると視神経に少しずつ不可が蓄積されるように配色されている。この屋敷を設計した人間はよほど性格が捻じ曲がっているか奇天烈な人間だったに違いない」


 隆一の言葉に店主は国王も無事では済まなかったのでないかと指摘する。


「国王が静養所として使うつもりだったのならそうだろうな」


 隆一の言葉に店主はピンと来ないようだったが、その内容を明かしてしまうと下手すると面倒事に巻き込んでしまうかもしれない。


 大事なリフォームをしてもらう予定なので内容についてはここまでにしておこう。


「まぁとにかくこの屋敷の謎は解けたし、俺自身は住む分には申し分ない広さを持っているし、その屋敷の歪みを均せば十分に居住可能だ」


 後日不要な調度品は処分し、店主に頼んで必要分だけの家具類を発注することで話がついた。


 とりあえず屋敷の掃除をしなければならないため、店主に別途費用でハウスキーパーを派遣してもらい、調度品を処分した後に一斉清掃してもらうようにした。


 金は足りるかな? これから忙しくなるぞ。


 

 

ようやっと更新ができました。


職場が変わって雰囲気に慣れるまで時間がかかるのと畑違いの職場なので現状弱くてニューゲームのパターンなやつやぁ!


不定期なのを申し訳なく思いますが多めにニヤニヤしながらお待ちください

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