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第20話 鍛冶とテンプレと決闘じゃ(#゜Д゜)ゴルァ!!

今日から冒険者としての初仕事だ!


やべぇ素面で名台詞言えねぇ超恥ずい!⇒決闘じゃ(#゜Д゜)ゴルァ!! ←今ここ!

28.1.11 建築ギルド⇒木工ギルドへ変更 文章追加しました。

「うわぁ恥ずかしい!」


 比較的速いペースで人の間を縫うように隆一は赤くなった顔を見られないように荷車を押していく。


「マスターもよく意味不明なことを言っては同じように赤くなって悶えてたな?なんでも名台詞を素面で言えれば厨二病としては末期だとか」


 マスターはまだその域には達してねぇってことだな。


 大剣の言葉に「まだ俺は大丈夫まだ俺は大丈夫……」と呟きながら深呼吸して調子を取り戻していく。


「まぁ前のマスターも死亡フラグとやらを連発しては『ジンクスなんて吹き飛ばしてやる』なんて叫んで意気揚々と戦場に飛び出して行ってたな」


 それから送り先である加工場までの間、ひたすら昔の自身の恥ずかしい話を聞かされることになった。


「おう!お前さんがギルドの配達人だな? 小せぇ癖に力持ちな坊主だなぁ!」


 製錬場内には鉄鉱石から純鉄を取り出すための巨大な炉が煌々と熱を上げて稼働していてとても暑い。


 さらにそれを加工するための火事場が隣に隣接しているため煩いと誰得?な作業環境だった。


それゆえ会話の全てが大声で話す必要があり、精神がガリガリと削られる。


「ギルドに依頼を出した納品数に問題はねえな?」


帳簿と実際に品を確認しつつ、もう一人の職人は隆一と話をしていた職人に頷きを返した。


「若い身空で冒険者なんてやってんだから色々とワケアリなんだろ?深い詮索はしねぇがもう少し局所を守る防具を身に付けねぇといざという時身を守れねぇぞ?」


 対応してくれていた髭面の職人(名をゲイルというらしい)がこちらの容姿を見てひ弱そうな外見を指摘してくる。


 今二人がいるのは書類にサインするために加工場から少し離れた職人達の休憩所兼事務室におじゃましている。


「確かに軽装なんですが、これは魔力付加された品なので見た目に反して物理耐性もそれなりにありますし、こう見えても力だってそれなりにあるんですよ?」


 苦笑いしながらサインをしてくれた書類を手持ちの書類入れ(ギルドがくれた)に仕舞う。


「お前さん見たところ大剣を背負っているようだが修理する気はねぇのかよ?」


 背負われている草薙を指差しながらゲイルはさりげなく直してやろうかと提案してきてくれるが、草薙は過去の俺が制作した装備らしく、製法や材質は不明で草薙本体すら砕けた刀身を修復することはできないと言っていた。


「見たところ失われた刀身が無い分打ち直すにしても新規に手に入れたほうが安上がりなのは否定しねぇがよ?俺たち職人にとって砕け壊れたモノを見せられると修理したくなっちまうもんなんだ」


「ありがたい申し出ですが、これは我が家の始祖から受け継がれてきた剣でして、既に失われた製法で作成された剣で名を草薙。東方の神剣の名を関する銘を与えられたモノなのです。製法が解明されれば修理の手立てもあるのですが、魔術的付与もされており一種の『知識ある武具インテリジェンス・ウエポン』になっております。この国にやってきたのも一つはこの剣の修復と路銀を稼ぐためでもあるのです。冒険者ギルドに入ればそういった情報にも目端が行き届くと考えましたので」


 まぁ嘘ではないけどな。先祖代々の俺が所有していた由緒正しい剣だし草薙は会話できるし、うん間違はない。


 知識ある武具と言われたことで、新米冒険者をみる優しい目つきだったゲイルが眉根を寄せて背負われた大剣を凝視する。


「済まないが少しだけでいい。その大剣、銘をクサナギと言ったか?刀身を晒して机の上に置いてもらえないだろうか?」


 もとより草薙の製作者の中にはゲイルの子孫も含まれていたのは草薙の知識で知ってはいる。こういう過去において歴史のつながりを持つためにもこの時代における人間関係の構築というのは重大な要素の一つともいえよう。


「構いません。もしも修復が可能ならお願いしたいことでもありますし」


 少しだけ戸惑いながらも大剣をゆっくりと鞘から出して机の上へ置いてみる。無論演技だが、これ以上大剣の破損を避けるように慎重かつ丁寧な動作を心がける。


「これが本当に知識ある武具だという証拠はあるのか?」


 ゲイルの最もな質問に対し


「マスターの言葉に嘘はねぇよ?ゲイルとか言ったな?俺を治せるのか?」


 草薙から実際に柄頭を鳴らして喋ってもらうことで質問への返答とする。


「っ!? 確かに間違いないようだな。少し触らしてもらうぞ」


 壊れ物を扱うかのような慎重な手で、刀身を布の上から手を添える形で慎重に持ち上げて刀身や折れた場所から剣の内部構造、柄頭や装飾の細部に至るまで慎重に目線を走らせていく。


 その動きはプロの鑑定士のように真剣で、無意識に呼吸を忘れてその動作一つ一つに見入っている自分がいた。


 しばらくして懐にあるスプーン程度の大きさの何に使用するのか全く検討のつかないハンマーを取り出して鍔にあたる部分から刀身の先まで一定間隔でハンマーで小さく叩いて音を反響させていく。


 そして最後に睨むようにして刀身を凝視してから深いため息をついて草薙を机の上に身長に戻して一息つく。


 そこまでしてようやく隆一も呼吸を無意識に止めていたことに気づいて一息つく。


「何かわかりましたか?」


 期待しているかのように問いかける隆一に静かに首を横に振ることでゲイルは答えとした。


 無論分かっていたことだ。これより先の子孫でようやく理論が完成して作り上げたと思われる大剣をこの時代で直せと言われて簡単に直せてしまったら子孫の面子がない。


「全く見たことのない製法で鍛造された逸品だということはわかった。恐らく知識ある武具と呼ばれるモノの中では最上級の一品だろう。しかも世間で呼ばれている知識ある武具のように簡単な応答ではなく会話が成立している上に自ら考えて喋ることも可能だというともはや価値のつけようがないと思われる。長年鍛冶師をしてきたがここまで興味のある素材はとんと見たことがなかったから眼福ってもんだ。現在のこの工房の技術じゃ修復はできないが、もう少し調べさせてもらえればいずれ修復とまではいかないが知識ある武具の状態で形状を整えさせることぐらいはできると思う。」


 ゲイルの子孫が長年の研究で培ったと思われる知識をご先祖が早速解明しようとしています。もしかしなくても子孫の知識の源ってゲイルなんじゃね?


「早速で悪いがお前さん。その剣が先祖代々の家宝だってのは重々承知しているが、依頼料も出そう。この工房で週一ペースでいいんだ。構造解明に協力してはくれねぇか?」


 いきなりすぎるが、週一ペースならその日を休日として考えれば別に悪い提案ではないだろう。こちらとしても草薙の材質や必要物資の買い出しやその他諸々etcやらなければならないことがあるのだ。報酬も出るなら双方にとって悪い提案ではないだろう。


「別に構いませんが、こちらから条件がいくつか。まず一つが草薙の情報の完全な秘匿。外へ出ると余計な輩に付きまとわれる可能性が非常に高い。というよりも絶対に狙われるでしょう。二つ目にもしも製法が分かってもそれを外部へ漏洩しないこと。これは市場の同じアイテムの値崩れやいたずらに市場を刺激させないためですね。利益独占という考えもありますが、そうするとこちらへも一つ目と同じく余計な輩が来る可能性がありますので。とりあえずはこの二点と草薙の出処が私だと絶対に漏らさないことの条件を飲んでくださればこちらからもお願いしたいと思います」


 隆一の言葉に、ゲイルは勿論と力強く答えてここに契約は成立した。


 書面として契約内容を起こし、双方合意の元魔術刻印と言われている工房専用の印鑑があるらしいが、ゲイルと隆一の魔力を交互に込めることによって契約が完了する仕組みとなっているようだ。


「これで契約は成立。次は来週の今日にまた来ます。もしくは配達のクエストを張り出してもらえるか指名依頼を出してもらえれば空いてる時間帯なら応じることが可能ですので」


 隆一の言葉にゲイルは頷いて契約書類を引き出しにへと仕舞い込む。


「こちらこそ急にこんなこと申し込むのも非常識なんだが鍛冶師ってのは未知の技術や鉱物なんぞを見ちまうと解明したくてしょうがない性分なんでな」


 頭を掻きながら済まなそうに謝るゲイルだが、これからの草薙の製法解明にすでに貪欲に頭を動かし始めているようだ。


「ともあれ次来るまでに魔術的な製法と鍛造における魔術付与の観点の調査をしたいからそれ専用の設備を新規にこさえておくわ。次来るまでにクサナギを奪われたりするんじゃねぇぞ?」


 ゲイルの忠告に元気よく返事を返して空になった荷車を押して工業区を後にする。


「まったく。大抵の新米冒険者は俺らの場所に来るとへりくだるか横柄な顔して武器作れとか抜かして叩き出されるのが通例なのに、全く物怖じせずに会話してやがったな。しかしあのクサナギという剣はどうにも馴染みがある気がする。製法は全くの未知、材質すら判別できない。挙げ句の果てに知性ある武具なんて神話の時代の遺物だぞ。それを解っていてこちらへ預けたのだとしたら相当な精神力の持ち主だな」


 心臓に毛でも生えてんじゃねぇか?と口に仕掛けて苦笑いとともにその言葉を飲み込む。


 今はその知識ある武具を調べられる機会を手にしたことを幸運に思いながら来週の調査に向けて設備の新築に急がなければなるまい。


「オマエら!大口の仕事が入ったから今から木工ギルドと魔術ギルド行って資材調達かけてこい!俺らの人生変わるくらいの大仕事だ!」


 背後で聞き耳を立てていた他の従業員がその言葉で慌てて駆け出していくのが見えた。


 あいつら。正確な図面も資材も用意してねぇのにどこに向かうんだか。


 頭の中には必要な資材のリストと魔術ギルドへ注文する術式測定の器材のリストが既に出来上がっているのでそれを紙に起こすだけだ。


 隆一は知らなかったが、ゲイルこそ工業区画に存在する鍛冶師達の総元締、鍛冶ギルドのギルドマスターで、ノイマン商会とも懇意にしている間柄の人間である。


 草薙は無論その事は把握しているが、細かい人間関係は隆一自身に知ってもらいためファルシナと同じで必要な知識だけ教えるスタンスで動いている。そのため隆一がゲイルとノイマンの二人が知り合いであると知るのはもうしばらく後になるのであった。


 特に意識せずにゲイルとつながりを持つことができた隆一は、配達を全て終えた完了報告書を持ってギルドまで戻ってきた。


 早朝に賑わいを見せていたギルド本部も、今は現代社会で言う通勤ラッシュのピークも過ぎたようで人もまばらになっている。


 その成果とも言えるクエストボードも、朝大量に張り出されていたクエストがほぼ消えている状態だ。


 ちなみにコノカが貼りだそうとしていた討伐系クエストはレッサーバジリスクの討伐クエストだけが消えていた。


「いらっしゃいませ。クエスト完了報告ですか?」


 対応してくれたのは知らない顔の猫族と思われる女性の受付だった。


 この世界でも窓口業務は女性が看板なのだろうか?


「はい。配達が終了したので完了報告にきました。書類の確認をお願いします」


 身長よりもやや高いカウンターに書類を提出し、受付が確認します。と告げて提出された書類に目を通していく。


 しばらくは書類を何度も見返すように確認していたが、やがて軽く頷いて書類の下におそらくは自分の名前であろう署名と受付に備えてあった巨大なスタンプを押し当てて完了済みと書かれている引き出しへとしまいこんだ。


「確認しました。クエスト完了です。ギルドカードの更新手続きを行いますのでギルドカードの提出をお願いします」


 言われたとおりにギルドカードを取り出そうとした祭、いきなり横から人が割り込んできて隆一の小さな体ははじき出された。


 ぶつかってきた男はニヤニヤしながら横目に隆一を見ながら自分のギルドカードを受付に提出した。


「そこの餓鬼のクエスト完了の依頼料はパーティーリーダーの俺が一括して受け取る事にしてんだ。姉ちゃん手続き頼むぜ!」


 男の言葉に受付嬢は怪しむ目つきでこちらを見るが、下卑た男はこちらが反抗するわけないとタカをくくっているのか下卑た笑いを引っ込めることをせずに「なぁそういう決まりだったよなぁ?」とこちらに話しかけてくる。


 テンプレのお約束にしてももっと最初にギルドカードを発行する時とかに起きて欲しかったイベントなのだが、子供が配達クエストをやってきたと知ればそりゃ小遣い稼ぎと思われるはなぁ。


 しかし人が努力して稼いだ金を横から掠め取るのはイラつくしむしろ悪は即斬でいいのではないかという最近の持論としてはこういうタイミングで引っ込むのは昨日殺したチンピラ三人に申し訳がない。


 よって隆一がとる行動はただ一つ。


「だれだあんた? こっちが手続きしてんだから後ろに並べ」


 とりあえずは謙虚な日本人らしく見知らぬ他人に順番を守るように諭す。しかし敬語は用いないし敬意を払う必要もない。


 なぜならすでに隆一の目には目の前の男は討伐対象と同じただの獲物でしかないからだ。


 目の前の男はまさか小さな子供が大人相手に強気に出るとは思ってなかったのかあっけにとられた顔をして、受付嬢は先程までの丁寧な口調とは違う隆一の態度の豹変に目を点にしている。


「これがギルドカードです。更新手続きをお願いします」


 隆一が男を無視して受付にギルドカードを提示すると、受付も我に返ったのか手渡されたギルドカードを慌ててカードリーダのような機器に差し込んで手続き業務を行っていく。


 そこまで来てようやく自分が無視されていることに気がついた男は顔を真っ赤にして隆一に突っかかってきた。


「おいてめぇ! 餓鬼が調子づきやがって!」


 男は背中に背負っていた見るからにしょぼそうな剣を抜き放って俺を威嚇し始める。


「ギルド内では原則殺し合いは厳禁なんですが。それにあなたには詐欺罪の疑いがあります。抵抗せずにギルドカードの即時提出と事情聴取に付き合ってもらいます」


 事務処理をしながら受付嬢は冷えた目で男を見ながら口を出すが、男は聞こえていないのかうるせぇ!と怒鳴り散らすだけで話を聞こうともしない。


 隆一は昨日コノカに聞いたギルドの決まりごとの中にあった決闘システムを思い出した。


「お前がうるさい。すみませんが殺し合いの例外である決闘システムの適用申請をお願いします。訓練場がそこでしたよね?」


 話ではギルドが出来てすぐの頃、日夜喧嘩や殺し合いが絶えない冒険者たちにストレス発散の場として適用されたのが訓練場を利用した決闘システムの発端だったそうだ。


 しかもギルド側もそこで賭け事をするのを禁止せずに、どちらに賭けても恨まないという暗黙の了解の元、ギルド公認でコロシアムのような制度が生まれたのだ。


 本来なら仲違いしたパーティーメンバーを気の済むまで殴り合わせるのが一般的とは言わないまでも最近の利用法としてあるのだが、殺し有りの決闘システムの使用は恐らく何十年かぶりではないだろうか?


「わかりました。そこの冒険者もギルドカードの提出が済んだ後訓練場へ移動してください。隆一く…さんは本当によろしいのですね?」


 こちらを君付で呼ぼうとした受付嬢に苦笑しつつ問題ないと告げる。


「さて、これでお前はもう逃げられない」


 隆一の言葉に男は鼻息荒く怒鳴り散らす。


「そいつぁこっちのセリフだ! おとなしく俺にたかられてりゃよかったのに死んだぜテメェはよ!」


 子供に負けるワケがないという根拠のない自信と先ほど提出した際に見ているはずのギルドカードの色に気づかないあたり目の前の男の実力は下の下よりも下の最下層レベルの雑魚だろう。


 おそらくギルド側としては決闘システムで金を集めるために人を集めて賭けをする。そこで上手く事が運べば楽して金を稼ぐことができる。


 冒険者稼業初めて初日の新人がクズの先輩冒険者をこの世から散らす。


 ある意味英雄譚の一節になりそうな物語じゃないか。


「マスターは自重という言葉を知ってるか?」


 草薙の呟きに笑いながら「自重はするが遠慮はしない」とだけ答える。


 さぁ、上手く踊ってくれよ先輩?





休暇期間中ということで更新間隔が比較的も短くて済みました。


テンプレという名のお約束を今後も展開できたらいいなと思います。


次回も見てください(`・ω・´)

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