表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/58

第14話 銀龍煌

今回は銀龍煌の視点が主な内容です。

※ 銀龍煌視点


 魔力を分解する銀龍の龍鱗は銀龍自身の魔力すら体外へ排出しようとすると分解させてしまう。


 これのせいで銀龍自身は魔力による攻撃をほぼ使用することができないでいる。それをあざ笑うかのように周りの同族はこれみよがしに魔術を使用し悦に浸ろうとするのだ。


 他者よりも劣った存在なのだと銀龍は生まれてしばらくの間、劣等感に苛まれながら過ごしていたが、ある時古代竜であるミドガルズオルムに言われたのだ。


「銀の龍よ、最強種なればそれくらいのハンデを乗り越えんで龍種を名乗るべからず。他者が嘲笑うならばそれを嘲笑うまで自分を磨き、龍の鱗を使いこなしてみせるが良い」


 お前もまた、儂の子なのだから。とミドガルズオルムは巨体を揺らして笑ったのだ。

 

 その言葉を胸に秘め、銀龍は自分を磨き、他の嘲笑っていた龍種を見返すべく世界各地を渡り、武者修行に明け暮れた。


 魔族、エルフ、ドワーフ、人間、その他の種族に至るまで時に龍の姿で出向き、ある時は人族の容姿に変化し、魔力の使えないなりの戦い方というのを模索し、幾百の時が流れ、そして気がついたら銀龍の後に煌の文字が追加されていた。


 その昔こちらを嘲笑っていた龍種は、ことごとく他種族に殺され、または生存競争に負けて他の大陸に追いやられていった。


 自らの龍鱗をある程度制御できる姿をミドガルズオルムに見せたとき、古代竜は微笑みながら小さく一つ頷いた。


 それからまた幾許の時が流れ、銀龍は面白い存在と出会った。



 目の前の人間は一目見たときは不思議な奴という印象であった。


 内包されている魔力は恐らく自分より高い、これだけの魔力の保有量は龍種の祖である古代竜ミドガルズオルムか魔族の最強種である魔皇紀ぐらいのものだろう。こちらを警戒して魔力を用いて離脱しようとしたみたいだが、あいにく私の龍鱗は魔力の構成を分解してしまう。


 今はまだ遠目からこちらを伺いつつ逃げようとしているみたいだがこちらが移動するたびに発生する気流に飲まれ、遅々として逃げ出せていないようだ。


 無論まってやる必要もないし最強種たるこの銀の名のもとに目の前の人間にはお仕置きが必要だ。だって赤竜の眷属を泣かせたんだし。


 止めをさしたのは自分だということを棚に上げて、銀龍煌は飛行形態のスライムを取り押さえるべく徐々に速度を上げて近づいていく。


 気づいたのは偶然だった。


 目の前の人間が不意に何かを投げるように腕を振りかぶったのだ。それと同じくして人間を包んでいたスライムが開き、人間を外へと押し出した。人間は下降していくスライムの上に立ち、こちらへ何かを投げつけようとしているのだ。


 ゾクリ、と背筋に悪寒が走った。


 よく見ればその腕は一瞬で赤く染まりそれが球の形状で手のひらから打ち出されたのだ。


 魔力量だけならば自分よりも遥かに多い人間、そして打ち出された赤い球、瞬時に自身の纏っている鱗のいくつかを巨体の揺れと同時に散らして防護に回す。


 体からから剥がれた龍鱗はそれでも魔力を分解する力を持ったチャフになる。

そして自身も鱗の隙間から強大な魔力を放出させて防御に回す。


 そしてそれは来た。


 撒いた龍鱗は赤い球が近づくと分解しきれずにその身を砕けて散らしていく。


 球速はすこし弱まったように見えるが、込められた魔力量は依然として衰えを知らずこちらへと押し寄せてくる。


 そもそも魔力無効化圏内にいるにもかかわらず魔力が形を持って迫ってくるのが問題なのだ。


 どれだけ高密度な魔力を内包しているのか考えたくもない。


 噴出された魔力に赤い球が触れた。


 瞬間脳裏に浮かんだのは生まれてから今までの人生。


 これが以前、人族が言っていた走馬灯というやつか。


 だが吹き出た魔力の質と量をあげ、わざと自身の身を傷つけて龍鱗を赤い球にぶつける。それにより徐々にではあるものの赤い球の威力が弱くなっていくのを感じる。


 銀龍自身も少なくない枚数の鱗を失い、綺麗だった銀色の体もその色を多く失っている。


 そしてダメ押しとばかりに鱗の密集している尾を赤い球に一当てして散らそうと行動に移す。


『それがいけなかった』と銀龍は後悔した。


 尻尾に触れた瞬間、千切れこそしなかったものの、その身を大きく吹き飛ばされた。


 遥か上方、押し込まれるように尻尾に張り付いて離れない赤い球のせいで銀龍はほぼ目の前にいたはずの人間から遥か上空へと追いやられてしまったのだ。


 ようやく赤い球が消え、一息ついたところに今度は下方から巨大な魔法陣が浮かび上がるのが見えた。


 先程の赤球と同じかそれ以上の魔力量が銀龍を取り囲むように魔法陣に走っていくのを感じた。


 咄嗟に魔法陣の範囲から離れようとしたのだが、まさに鼻先で魔法陣の効果が発動した。


 銀龍は眼下にいた人間の小さい姿を必死に目に焼き付ける事しかできなかった。


 幼い少年だっただろうか? 巨大な魔力量に不釣合なほど小さな体。しかしその身は半ば透けて見え、着ている衣類の方が存在感があるほどだった。


「あんな子供にしてやられるとは…」


 強大な光に飲まれ、銀龍煌はその身を消した。


 後に残るのは細かく砕かれた銀龍煌の龍鱗が雪のように太陽に反射し降り注ぐ光景、そしてその光景を生み出した規格外の魔力を放つ魔法陣を発動させた半透明の少年と不定形のスライムだけだ。


 それもすぐに森の中へと消え、全ては静寂に包まれたのだった。

 

 確認するものもおらず、その場の詳細を知る者もおらず、結果的に銀龍は自身で大陸へ戻ったのだと監視していた部隊は国元へ報告するしかなかった。


※ 隆一視点


「危なかった!」


 銀龍煌を転移魔法陣で龍族の生息している大陸に飛ばし、誰の目に触れるかわからないため、そそくさとその場を離脱し、現在は近場にあった洞窟へと避難している。

 

 中にはやたら大きな熊がおり焦ったものの、大剣の草薙のひと振りで絶命してしまった。先程の一声はいきなりいた熊に食い殺されると思ったからだ。別に銀龍煌に魔法陣で展開した転移魔法の行使がうまくいったから叫んだわけではない。


 動物を殺すという行動に嫌悪感が生まれたが、そうしなければこちらが殺されて餌になっていたと思うと割り切るしかないのだと感じた。


 現在は草薙の指導のもと、解体のレクチャーを受けている最中である。


 武御雷からもらった袋の中にあった解体新書なる、この世界の生物の食べられる部位や解体の手順などが網羅してある本で、何故かページはない。


 開いたところ、視認できた動物の解体手順などが図式で浮かび上がってくる。


 変なところでタブレットを彷彿させてくれる。間違いなくこの時代におけるOパーツではなかろうか?


 それをいうなら隆一の身につけている装備品は全て最先端の魔導技術を集めて制作された一点物であり、値段がつけられない装備品なのだが、隆一本人はその事を知らないし、草薙もあえて何も言わない。


 売りさばこうものなら全力で阻止するが。


 血生臭さを乗り越えて毛皮や肉に切り分け、水を生み出す魔法で体についている血を洗い流す。


 ファルシナの記憶にある魔法は生活魔法が多く、こういった魔法が数多く存在し役に立っている。


 草薙曰く、魔術とは魔法陣を介して魔力を効率よく運用するやり方で、魔法とは魔力をそのまま現象として再現する方法らしい。


 まぁよくわからないが、魔術は魔法陣を描くところから始まるから効率が悪いそうだし、魔法は魔力量が高くないと発動が難しく、すぐに魔力欠乏症なる状態になる。まぁ貧血みたいなものなのだろう。度が過ぎるほどに魔力を消耗すると寿命を削り、最悪ミイラのように干からびるらしい。


 俺の体が崩れていったのは体の組織すら魔力に変換していった体と思う。


 まぁ、ファルシナの考えもわかったし、武御雷の助力も得られたし、俺はこのままこの世界でまったりと過ごしていけばいいだけのことだ。


 とりあえず先ほど遠目からだが国と思われる城壁を発見することができた。


 この熊肉を食って一休みしたらその方向へ歩き出してみよう。


 生活魔法で出した火に炙られる熊肉を見つつこれからの目標を再確認していく隆一であった。








久しぶりです。


ええ、久しぶりでした。


ようやく更新お待たせしました。もっと早く更新したいのですが仕事があるものでと逃げに走ります!


連休とか何してたかって? 実家で友人と遊んで食って寝てましたよ!


なるべく早く更新できるように心がけます。


次回はようやく隆一が人のいる国にたどり着きます。


これで大剣に話しかけるぼっち少年じゃなくなるはずです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ