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第13話 当たれ! 俺のコスモ!

青いお空白い雲! そして私は鳥になる! 


空の旅って暇なんだな…


デカ! 怖! あっち行けよもー! ←今ここ!

 銀龍と対峙してはや数分、隆一は風に乗るスライム号に揺られて徐々に銀龍から遠ざかろうと画策している。

 

 無論銀龍もこちらの後ろを追随する形で追ってきているので彼我の距離は縮むことがない。むしろ銀龍が徐々に迫って来るのをひたすら待っている状態とも言える。


 ファルシナの記憶にある風の魔法を使用して速度を上げようと考えたが、何故か風が生まれない。


 どうやらあの銀龍が一定の距離にいる限り魔術の行使ができなくなるようだ。


「どこのマジックキャンセラーだ!」


 逃げきれずにいる焦燥感と僅かな苛立ちの声に草薙はため息をつく。


「あの銀龍煌の龍鱗は全てが高密度の抗魔術物質で生成されていてな。

 銀龍煌は魔力が使えない代わりにそれ以外のすべてを鍛えて今の位に君臨している実力派の龍だ」


 草薙の言葉に隆一は先程見銀龍煌が緑色の光のオーラを纏っていたのを思い出す。

 

 あれは確かに魔力が可視化された状態で出現したものだった。

 

 体全体を抗魔術物質とやらで覆われているなら何故あのオーラが発生した?


 隆一の疑問に草薙は


「鱗自体は抗魔術物質でできちゃいるが、銀龍煌自身は戦闘能力の高いただの龍種だ。当然体内に魔力を持っている。マスターの見たオーラは自身の実力を見せるために銀龍煌が普段溜め込んでいる魔力を鱗の隙間から抗魔術物質で分解できないほどの質と量で吹き出したに過ぎないのさ。元々はエンターテイナーみたいな龍だからな。喧嘩早いが」


 色々と破天荒な性格の龍らしいがどうやって俺はこいつを相手にしたんだろうか?


 隆一のつぶやきは強風に煽られてゆらゆら揺れるスライム号の中に掻き消えてゆく。


 銀龍煌も楽しんでいるのか様子見なのかつかず離れずこちらを追いすがってくる。


 少しでも力を加えればこちらが吹き飛ぶのを察しているのか、それとも危険物扱いされて遠巻きに観察しているのか。こちらとしては何もせずに何もさせずにお帰りいただくのが救いなのだが、先程の戦略級魔術のせいかこちらに対して敵意なのか興味なのか視線を全くそらさない。


 ゆえに先程から銀龍煌と隆一は真正面から見つめ合っている状態だ。


「前のマスターは魔力無効化範囲外から高出力一点突破型の魔術を作り出して鱗ごと吹き飛ばしてたけど、結局決着は神が横から4大竜王をかすめとる形でこの世から消し去ったから真相は闇の中だな」


 高出力一点突破の魔術か。考えるなら太陽光をレンズのような術式で溜めて細く高出力状態にしたものをぶつけるソーラーレイの様な魔術だろうか。


 無論光魔法に似た魔術は存在するようで、それは考えていた魔術を簡素化したライトの魔術だ。


 周囲の光の力を一点に集めて凝縮させ、周囲を眩く照らす据置型の術式らしい。あらかじめ日光を蓄積させた輝石と呼ばれる石を用いた照明器具もこの時代にはすでに存在するようだ。


 と話がそれた。


 肝心なのは、この術式を使うためには最低でも銀龍煌の魔力無効化領域から外れていなくてはいけないことだ。


 先程の銀龍煌との距離から大体半径1km程の距離が無効化領域みたいだ。スライム号と銀龍煌との距離は現在徐々に狭まり正直な話700mを切っているのではなかろうか?


 銀龍煌のサイズが大きいので遠近感が狂ってくる。


 先程の戦略級術式は銀龍の半径100m圏内で減衰し、消滅したのは確認した。そう考えるとあの龍の魔力無効化領域はある程度自分の意志でコントロールできるものなのだろうか?


 あの戦略級術式は幾多の転移術式を複合して魔術を遠隔地から発射する方式だった。


 この山脈のどこかにおそらくは観測所か何かがあり、それを目にして照準をつけて遥か離れた場所から狙いを定めて魔術を使っているのだろう。


 その術式を応用して地上に魔法陣を描き、遠隔操作で魔術を発動させ自身の注意を別にそらし、その隙に全力で逃げる。


 これしかない。というよりも全力で逃げるためにも銀龍にはある程度動けない状態までダメージを与えなくてはいけない気がする。


 だがどうやる? 近接戦しか考えられないが、あんな馬鹿でかい龍にガチンコで勝負挑んで勝てるかと言われたら間違いなくNOと言える。


 ビビリとか言いたい奴がいるなら何とでも言え!


 命あっての物種なのだからこんな体になっても命は惜しいのだ。


 故に俺は体内で魔力を貯める。


 先程の草薙の言葉にヒントを得た。


 体内で造る魔力は分解されないのだ。


 先程風魔法で風力を得ようとしたときは、体外に魔力を放出し大気をと混ぜようとしたところで霧散し形にできなかった。


 しかし、体内に意識を向ければ魔力は滞りなく循環しているのを感じられる。


 ならばと体の外に漏れ出るのを防ぎながらファルシナの赤い光を体内に巡らせその力を充満させる。


 漏れ出る魔力はすぐにあの銀龍の鱗によってかき消されるので無駄になってしまう、例え無尽蔵にある魔力だとしてもその力を無駄にしないために体の表皮よりも内側、貯めた力で体がはちきれそうな感覚を得るがそれを我慢して限界まで魔力を練り上げる。


 例え龍族でも練り上げた魔力量は銀龍が放出したそれを遥かに凌駕する出力だ。


 魔法陣が魔力で編まれている以上、この銀龍戦では使いようがない。


 ゆえに練り上げた魔力は銀龍を魔力無効化の範囲外へ吹き飛ばすために活用する。


 では実際にどうするかというと、事を運ぶのは至極簡単なことである。


 高出力の一点突破を魔法陣によるアシストなしで成せば良い。


 先ほどあげたソーラーレイのようなやり方は魔法陣よって低出力の魔法を凝縮させることにより低コストで威力のある魔術を行使するためのものだ。


 今回はあの銀龍が鱗の隙間から吹き出した魔力の高さを参考に、ある程度ダメージが入るよう強力に調整された魔力そのものを射出して銀龍を押し出し、その隙に

地面に広域の転送魔法陣を展開させ、銀龍が怯んでいる隙に銀龍自身を龍族のいる大陸に飛ばしてしまおうというわけだ。


 なるべく高高度に押し上げて魔力無効化の範囲より外へ、そして銀龍よりも大きく高出力な転送魔法陣を敷く。


 それだけでいくつかの国が総力を挙げて取り組むレベルの計画なのだが、隆一はこの世界の基準をファルシナと目の前の銀龍、そして草薙から口頭で聴かされた知識でのみ判断しているため、集団魔術レベルはこの時代ではそこまで大規模なものではないのかもしれないと考えていた。


 故に今回、銀龍煌は哀れと言わざるを得ない。


 物見遊山で様子を見に来た挙句、これから起こるであろう悲劇にいまだ気づかないのだから。


 成功するかどうかはわからないが、うまく決まれば後顧の憂いも晴れるというものだろう。


 先程の集団魔術の件でも近くに人がいるのは間違いがないので、なるべくなら悟られずに居場所を把握したいのもある。


 人がいるということは国が近いということだ。

 

 なぜかファルシナの記憶には地図はあったが国の場所までは入っていなかった。


 広大すぎる世界にファルシナが覚えきれていなかったのか、それともあえて記憶に残さなかったのか?


 そこまで細かいことは分からないが、とにかく国が近くにあると信じて行動を起こすしかないと改めて決意、行動に移す。


「スライム。悪いが今からデカイのぶっぱなすから俺の合図で俺を外へ出して地上へ全力で加工してくれ。なるべく距離を取りたいからある程度の速度を出して構わない」


 隆一の言葉に、スライムは未だ張り付いている霜を落としながら震える事で肯定の意思を伝えてきた。ほんとによくできたスライムである。


「後でお前も名前つけないとな」


 隆一のつぶやきにスライムは大きく一度震えると再び静かになった。


 どうやら嬉しいらしい。


「じゃあはじめるか。ぶつけるのは純粋な魔力弾だけど俺の世界の概念でいう圧縮のイメージで打ち出すから超高濃度の魔力弾だ。銀龍の魔力無効化の鱗だろうが無理なく押し出せるぐらいの出力を出せるはずだ。てかこれで無理なら詰むわ」


 隆一の若干頼りない言葉に草薙は嘆息するが、感じられる体内の魔力が、手のひらに集まっているのを威圧として感じ取れた。


 無論体の全魔力ではなく、一旦体に満ちた魔力を手の平に圧縮、もしくは凝縮といった表現があっているだろうか? をすることで体の外へは漏れていないはずの魔力が隆一の手を赤く染め上げているのを感じとる。


 隆一が右手に凝縮された魔力を野球のピッチャーフォームで振りかぶり、スライムに閉じていた空間を開けるように指示。


 上空の気流に体がややふらつくが、それでも銀龍の巨体からすればどこへ投げてもまぁ当たるだろうと判断。


 そして隆一は足を高く上げての全力投球を敢行した!















久々の更新です。


待っていてくださった方々にはお待たせしました。

初めて連続して見てくださった方々はありがとうございます。

仕事がひと段落しましたので投稿させてもらいました。

新年度の目標としましては痩せる!です。

毎年同じ目標ですが達成できたことがまだありません。

夏で痩せ冬で肥えを繰り返しているので痩せにくい肥満ボデーになってしまいました・゜・(ノД`)・゜・

タイピングに費やす時間を運動に変えろという話ですねわかります。

だがことわる!!


誤字脱字他感想などありましたら連絡いただけると幸いです。

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