イベントに向けて
始まりの町近くの森に来た僕は、早速ブラッドグリズリー狩りを始めていた。・・・が、
「全然見つからない・・・!!」
そう、全くと言っていいほど、見つからないのだ。
(もう少し奥の方に居るのかな?)
僕は『魔鉄鋼熊の杖』を握り直すと、前に来た時の様に、森の奥へと向かうのだった。
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「これで・・・4匹目っ!」
森の奥へと入ると、やはり予想した通り、結構な頻度でブラッドグリズリーに遭遇した。
「LVも上がったしスキルも増えたから、以前戦った時より楽に戦えているかも」
僕は嬉しくなり、フンスと鼻を鳴らした。
「それに、プチラビットの上位種のラビットのドロップ品もかなり手に入ったから、ヴォーパルとスノウもかなりレベルを上げれたなぁ」
そう言いつつ僕は、召喚本を腰のベルトから取り出し、開いた。
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『緑の召喚本+2』
登録数4/9
チャージ中
・ブラッドグリズリー:24%
解放済
・アインス:リトルレッサープチラットLV2
・ヴォーパル:プチラビットLV6
・スノウ:プチラビット・アルビノLV4
・シズク:ブルースライムLV1
解説:改良された召喚本。癒しの力が宿っており、登録されたモンスターの成長に影響を与える。
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「けど、まだまだブラッドグリズリー解放までは遠いなぁ」
と、呟きながら歩いていると、不思議な感覚を持った。何か、薄い膜を通った様な・・・。
それでも奥へと進んでいくと、木々が途絶え、ちょっとした広場のようになった場所の中心に、ポツンとログハウスが建っていた。
「あれ?エリアが変わってる?・・・『魔女の隠れ家』?」
ふとマップを見ると、そこには『初心者の森:奥』と先程までのエリアではなく、『魔女の隠れ家』と出ていた。どうやら、歩いているうちに別エリアまで来たようだった。しかしこんな場所、掲示板やらwikiに載ってたかな?
「それに、なんか誰かの私有地っぽいし、早めに出た方がいいよね」
首を捻りながらも、探索する。という考えにもなれなかったので、取り敢えずこのエリアから出る事にした。
と、その時、
「あー!!ちょっと!ちょっと待って!!」
と、ログハウスから若い女の人の声が聞こえてきた。振り返ると、縁を金糸で刺繍された黒いローブを纏い、頭には宝石が少しついた三角帽子を被った赤い髪の女性がいた。
(・・・なんか、テスタさんみたいな格好だな)
僕はつい、魔道具店のNPCおばあちゃんを思い浮かべながら、頭の上のカーソルを見た。緑色・・・この人もNPCのようだ。
「もしかして・・・魔女様ですか?」
ぽろっと思い浮かんだことを尋ねると、ログハウスの窓から身体を伸ばしたお姉さんはびっくりした顔で固まった。
「なんで分かったのっ!?」
・・・やはり、魔女だったようです。