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テスタ

「売り売り買い・・・売りっと」


 FMLのサービスが開始され数日が経った今日も株の売買を終え、僕は「ん〜っ!」と身体を伸ばすと、早速ベッドへ向けて歩き出した。


「さて、今日は何をして過ごそうかな?」


 僕はニマニマと笑いながらベッドに置いてあるVRギアを手に取り、被った。


「起動」


 そしてVRギアを起動させ、今日も僕は『フリーダムマーセナリーライフ』へとログインするのだった。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



プレイヤー『ルクス』がログインしました。


「取り敢えず、これまでの戦闘とかギルドクエストでGとか素材は集まったし、そろそろ『召喚本』を買うべきだよね」


 僕はそう呟くと、魔道具専門のNPCショップへと向かうのだった。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「ごめん下さーい」


 扉をギィィイ・・・ッと、開くと、店の中からカビ臭いような臭いが鼻へと来る。


「おや、ルク坊かい?いらっしゃい」


 店内から声を掛けてきたのは白い髪をした、緑のNPCカーソルを頭上に浮かべるお婆さんがいた。頭の上には先の折れ曲がった三角帽子、纏う衣は黒いローブ。その出で立ちは正に魔法使い・・・いや、魔女と言った方が適切だった。


「やっほーテスタさん」


 NPCテスタ。彼女はこの魔道具専門のNPCショップ『魔道具屋』の店長だ。僕とは、過去のギルドクエストで何度かお世話になった間柄で、街でたまに会った時にも話したりする。


(しかし、FMLって本当にNPCのAIも凄いなぁ)


 しみじみとそんな事を思いながら店内に入り、僕はテスタさんに微笑んだ。


「今日は何の用だい?何か、ギルドからの依頼があったかねぇ?」

「ううん、今日は僕の買い物に来たの」

「おや?て事は、今日のルク坊はお客さんかい?」

「うん」


 テスタさんに頷くと、僕は今日来た目的を伝えた。


「テスタさん。何かオススメの『召喚本』を下さい」

「おやおや?ルク坊は召喚術師だったかね?」

「まだ見習いどころか、スキルを持っているだけなんだけどね」


 「たはは・・・」と笑うと、テスタさんもヒェッヒェッヒェッ・・・と笑った。・・・うん、魔女っぽい笑い方だ。


「そうなると・・・『初心者の召喚本』が良いかもしれないねぇ。けど、ルク坊にはこれまでに何度かお世話になったし、オマケに『下級魔法薬(ローポーション)』を付けてあげるよ」

「本当!?それで何G!?」

「勿論適正価格の2000Gさね」

「なら3冊下さい!!」


 僕は身を乗り出すようにそう言った。すると、テスタさんは驚いたように目を見開くとまたもや笑った。


「ルク坊は欲張りさんだねぇ。ま、いいさね。6000Gになるよ」

「はい!」


 テスタさんに6000Gを支払うと、『初心者の召喚本』とオマケの『下級魔法薬』を受け取った。


「またいつでもおいで。歓迎するよ」

「ありがとう。テスタさん!」


 僕はテスタさんにお礼を言うと、ショップを後にしたのだった。

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