第3話 思い出は川の向こうに
シャルン「ううん、何だったろうなぁ」
いくら考えても思い出せない。
何の夢だったのか気になるが。
分からないものは分からない。
もう、キリがないから、この辺で仕事を進める事にした。
シャルン「さてと」
歩きながら手を頭の上に組んで伸びをした。
そして作業台の席に着いた。
作業台の横に積んである依頼品を一つ取って、作業を始めようとした。
しかし、そのタイミングでドアのベルが鳴った。
カランコロン
シャルン「いらっしゃい」
客は30代くらいくらいの母親と小さい二人の女の子だった。
母親「前に頼んだの出来てる?」
シャルン「はい、お待ち下さい」
シャルンは後ろの棚から商品を取り出して手渡した。
母親は畳んであった子供服を広げて確認した。
母親「綺麗に直ってるわ」
女の子姉「見せて見せて」
母親は子供服を長女に渡した。
女の子姉「私の服直った、これメルムにあげる」
そう言って隣にいる妹に渡す。
妹は目を輝かせて大声で言った。
妹「ねえ、着ていい?」
母親「いいかしら?」
シャルン「そちらでどうぞ」
シャルンは試着コーナーの方に手を向けて案内した。
母親と妹はカーテンの向こうに入って、妹の着替えをした。
そしてカーテンを開けて出てきた。
母親「丁度いいわね、去年のお姉ちゃんと同じサイズね、ピッタリだわ」
姉「私のお下がりよ、ありがとうは?」
その時、妹は、少し離れた斜め上辺りに浮かぶ光景を見た。
驚きながら、それを指差した。
妹「あ!」
姉「うちの中だ!」
母親「あれって、どっちの思い出?」
シャルンは答えた。
シャルン「前の持ち主の記憶なので、お姉ちゃんの方だと思います」
母親「お姉ちゃんのだって」
姉は子供部屋で遊んでいる。
妹は同じ部屋のベッドで眠っている。
沢山の玩具で遊んでいる。
今持っている玩具に飽きて、妹の枕元にある、茶色の熊の縫いぐるみを手に取った。
妹「あ、私の熊!」
その光景を見ている姉の方は、落ち着きが無くなってきた。
キョロキョロ妹の方を見ている。
そして、熊の縫いぐるみで遊んでいた姉は、自分のベッドに上がって窓際に熊を立て掛けた。
姉はベッドの上で飛び跳ねて遊んでいた。
すると、開いていた窓から縫いぐるみは落ちた。
慌てて窓の外に顔を出して確認した。
その瞬間、熊の縫いぐるみは、家の横を流れる川に落ちたのだった。
その光景はそこまでで終わった。
妹「お姉ちゃん!」
姉は母親の後ろに隠れた。
母親「あの縫いぐるみ探したのよね、出てこない筈だわ」
そう言うと母親はシャルンにお直しの代金を支払った。
シャルン「すみません」
シャルンは申し訳無さそうに言った。
母親「貴女が謝る事じゃないのよ、ありがとうね、またお願いするわね」
シャルン「ありがとうございました」
親子は帰って行った。
シャルン「ふう…」
シャルン「続けて二件…」
水を飲む為、台所に行った。




