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お直し屋シャルンの思い出の服  作者: まりちゃんとだんな


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第1話 かつての居場所

シャルン「ちょっと待ってよ、倍って、何それ…」


シャルンは作業台の椅子に座って、背もたれに寄りかかりながら考えていた。


シャルン「いくらかは蓄えもあるけどそんなに長くは持たないし…」


男の声「…僕と付き合ってくれれば、1ヶ月分だけ家賃をチャラにしてあげてもいい…」


シャルン「ああいうのはちょっとなあ…」


そう言いながら体を起こす。


そして腕はミシンを動かし始めた。


カタカタとミシンの音が鳴り響く。


シャルンは作業を進めたが、しばらくするとミシンの音が止まった。


シャルン「はぁ、集中出来ない」


椅子から立ち上がると窓際に近寄って外を眺めた。


空は心が洗われるように澄み切っていた。何処からか小鳥の声が聞こえてきて和やかな雰囲気だった。


シャルン「納品の時間か」


シャルンは棚の脇に置いてあった大きな紙袋に入った荷物を、袋のまま両手に一袋ずつ持った。


それを持って入り口のドアを開けて外に出た。


店の横に立てかけてあった自転車の後ろ側に紙袋を乗せて紐で括り付けた。


もう一度店に戻り中から帽子を持って来て、自転車の所でその帽子を被った。


シャルンは自転車を動かして店の前に移動させるとサドルに跨った。


シャルンはペダルを漕ぎ出して、そこから走り出した。


自転車は爽快に走って行く。


人と行き交い、景色が次々と移り変わり、やがて目的地に辿り着いた。


シャルン「ふぅ」


一呼吸してシャルンは自転車から降りた。


後ろの荷台に積んであった紙袋を持って、辿り着いた修道院の長い塀にある受付で要件を話した。


シャルン「どうも、いつもの納品に来ました」


受付「どうぞ中へ」


シャルンは面会室へと入って行った。


格子の奥で係の修道女がこちらを見ている。


その若い修道女が懐っこくシャルンに話し出した。


修道女「シャルンが作ってくれたこの修道服、凄く着心地が良くてなんだか落ち着くの、何でだろう」


シャルン「それはナーノが毎日お祈りして心が清らかになってる証拠だよ。これからも毎日感謝と奉仕の力をお祈りするんだよ」


ナーノは清々しい笑顔で言った。


ナーノ「勿論よ、心得てるわ。私のお仕事は生涯を神に捧げるという、とても大事な役目」


シャルン「私には荷が重いから、もうそれはいいや」


ナーノ「でもシャルンの方が素質があるのに勿体ない、もう此処には戻って来ないの?」


シャルン「私には裁縫の方があってるし、それに外に出られないなんて私にはもう無理。やっぱり自由が無いとね」


ナーノの奥の扉を開け、一人格子の向こう側に現れた。


声「貴女は自ら此処を離れた身、それでも元修道女という優遇措置を受けて、この修道院に関わる仕事が出来ているのです。その事に深く感謝をする事です。良いですねシャルン」


シャルンはその声を聞くと背筋が伸びる感覚がある。


シャルン「ありがとうございます院長」


院長「用事が済んだのなら、お帰りなさい」


シャルン「はい」


シャルンは一礼して退室した。

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