プロローグ
ここは一昔前の外国の町だ。
此処に一件の手芸屋がある。
この店ではお直しの依頼も受けている。
どちらかと言うと、メインでやっているのは、お直しの方だ。
店主の『シャルン』が一人で店を営んでいた。
シャルンは今日も朝からミシンに向かって集中していた。
シャルン「よし、出来た!」
お直しの依頼を受けた物が一つ仕上がった。
それを丁寧に畳んで棚に置いた。
その時、入り口のドアに付いている真鍮で出来たドアベルが「カランコロン」となった。
シャルンは手を止めて、ゆっくり入り口の方を見た。
シャルン「あ…」
そして、少しため息をついた。
ドアを開けて入って来たのは20代くらいの若い男で金髪のイケメンだった。
男は爽やかな笑顔でシャルンに話しかけた。
男「やあ」
シャルン「はあ」
男は高級そうな白いスーツを着ていて、有名ブランドの物らしい香水の匂いがした。
男「今日は君に大事な話があって来たんだ」
シャルン「何でしょう?」
男は内ポケットから封筒を出してシャルンに渡した。
男「これを君に渡しに来たんだ、読んでもらえる?」
シャルン「今?」
男「そう、今」
シャルンは封筒から紙を取り出し広げた。
シャルン「えっ!」
それに目を通したシャルンは、何かの間違いじゃないのかと、目を疑った。
シャルン「こ、これって!」
男「そ、此処の家賃を上げさせてもらう事になってね。最近、色々と値上がりしてるだろ?ウチも例外じゃなくてさ」
シャルン「で、でも、これは…」
シャルンは請求書に書かれていた金額が、いつもの倍になっていたことに動揺して、男の話のほとんどが聞こえていなかった。
男「でも一つだけ金額を下げる方法があるんだ」
シャルンはその話だけはしっかりと聞こえた。
シャルン「な、何?」
男「僕と一晩付き合ってくれれば、1ヶ月分だけ家賃をチャラにしてあげてもいい」
シャルン「無理です」
男「…仕方ない、また出直して来るよ。じゃあ家賃の件宜しく」
男は出て行った。
シャルンは請求書を見ながら椅子に座って項垂れた。
シャルン「…どうしよう」




