第11話 帰る場所へ
引っ越しの為の手続きや荷馬車の手配などは院長の計らいで簡単に済ませる事が出来た。
後は、実家の母親へ速達で手紙を送る事と、実家へ持ち帰る物の荷造りだけだった。
ドタバタと店の中で引っ越し準備をしていたが、荷馬車が到着する日迄になんとか終わった。
そして引っ越しの当日、業者の男性二人と一緒に荷物を荷馬車に積み込んだ。
業者「じゃあ後ろに乗って」
シャルン「はい」
シャルンは猫達の入ったバスケットを荷台に積んで、その後自分も乗り込んだ。
馬車は走り出した。
いつもの町と、これでお別れだった。
もう、あの店の扉を開く事もないのだと思うと、少し胸が痛んだ。
馬車に揺られながら、楽しかった思い出を思い出すのだった。
あの奥さんの幸せそうなクリスマスの光景。
修道院の友達と暮らした日々。
ガタガタ揺られ、馬車で実家には約半日で着くのだった。
夕方になり、実家に到着した。
家の前で馬車は止まり、業者の男性が荷台に乗っているシャルンに言った。
業者「着きましたよ」
荷台の荷物の上で眠っていたシャルンは、その声で起きた。
シャルン「ふがっ」
荷馬車の外から女性の声がした。
シャルンの母親「ご苦労様」
業者「どうも」
シャルンの母親は荷馬車の中を見て笑った。
母親「あんた寝てたでしょ。よだれ拭きなよ、凄い事になってるわよ」
シャルン「ふぇ?」
寝ぼけたシャルンは慌てて手で拭いた。
夜になる前には、全ての荷物を下ろし終わった。
業者が帰った後、シャルンは改めて実家の空気を感じた。
シャルンは懐かしい匂いに少しだけ安心した。
母親「良し、じゃあこの辺にして、後はゆっくりお風呂とご飯にしよう、いっぱい作ったからいっぱい食べるのよ、いい?」
シャルン「うん」
母親「じゃあお風呂入っておいで、早く早く」




