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めざせ豪華客船!!  作者: たむたむ
第十二章 人魚の国
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27話 アンネマリー王女と一緒?

 女王陛下との報酬の話し合い。女王陛下はケチるつもりが一切ないのか、僕達の要望を最大限叶えてくれようとしてくれている。人魚のメイドさんや兵士、果てはアダリーシア王女までお嫁に貰えそうな勢いだ。


 人魚に変化する神器は海神様との交渉次第ということになった。アダリーシア王女をゲットは、後々問題になりそうなので遠慮したけどね。


 問題は……


「ワタル様。私がご一緒するのはご迷惑ですか?」


 うるうると涙目で僕を見上げているアンネマリー王女だ。


 さすがにまだ幼いアンネマリー王女を女王陛下から引き離すのは……とか、否定的な言葉をオブラードに包んで女王陛下に伝えたら、娘の意思を確認してみましょうとアンネマリー王女が呼ばれた。


 止める暇もなく素早く人魚メイドさんが動き、すぐにアンネマリー王女が連れてこられたので、計画的な犯行の線が濃厚だ。


 口には出さないが、この可愛らしいアンネマリーを悲しませるおつもりですか? 本当に目の前でこの子を拒否するのですか? と女王陛下の目が言っている気がする。人魚と言えど女王は女王、政治では手段を択ばないらしい。被害妄想かな?


「いえ、決してアンネマリー王女のことが迷惑だなんて思ってはいません。ただ、王女はまだ幼いですし……ねえ、アレシアさんもそう思いますよね?」


 アレシアさん、助けてください。僕では上手に幼女を拒否する方法が思い浮かびません。


 ただ、僕の心がロリは駄目だと叫んでいる。僕は母性の象徴が豊かな大人の女性が大好きなんです。アーデルハイト女王陛下とかドストライクです。


 お付きの人魚も一緒だろうけど、それでも幼女を預かるなんて責任が持てないよね。


「えっ? 私? ……そうね……私も親元から離れたのは大きくなってからだし、幼いうちは親と一緒なのが良いと思うわ」


 アレシアさんが恨めしそうに僕を見た後、アンネマリー王女を優しく諭してくれた。


 交渉の席に一緒に居るんだから、巻き込まれるのはあきらめてください。一蓮托生です。


「私は王女です。たとえ幼くても、果たすべき責任があります」


 涙目ながらも意志の強い顔で反論するアンネマリー王女。なかなか手強いけど、アレシアさんならなんとかしてくれるはずだ。アレシアさん、頑張って!


「そうなの? まあそうなのかもしれないわね?」


 弱! アレシアさん弱っ! いつもの仲間を引っ張るリーダーとしてのアレシアさんはどこに行ったの? もっと頑張ってよ。無理だったわって目で僕を見ないで!


 あれ? そもそも、なんで王女を派遣しないといけないんだろう? 責任?


「あの、女王陛下。僕はまだ幼いアンネマリー王女は、親である女王陛下から離れるべきではないと考えています。人魚の方達を派遣して頂くのはこちらからお願いしたいことですので、他の立場のある方を派遣して頂くわけにはいきませんか? 何か、アンネマリー王女が派遣されなければいけない理由があるのですか?」


 涙目で僕を見つめるアンネマリー王女から顔を逸らし、女王陛下に質問する。別に王女じゃなくても、責任がある大人を派遣してくれたらそれで十分だよね?


「海神の神器が奪われる前の話ですが、直系の王女が巫女として海神の神器の傍に控えるのがお役目でした。傍に居られる機会が少しでもあるのであれば、巫女としてのお役目を果たしたく思っております」


 ……元々茶化す気はないけど、茶化してはいけない雰囲気の話が飛び出してきた。伝統とかお役目って、自然に廃れるならしょうがないけど、理不尽に断絶させられると辛いよね。


 あっ、だからアクアマリン王国にも使者としてアンネマリー王女が来ていたのか。少しでも神器の傍に王女を控えさせたかったんだな。わざわざ幼女を派遣しなくてもって思っていたけど、謎は全て解けた!


 ……名探偵気分を味わっている場合じゃないな。しばらくは海神の神器を使わせてもらうつもりだったけど、できるだけ早く返還した方が良さそうだ。


 すぐに神器が手元に戻ってくるなら、無理して王女を派遣することも無いだろう。一緒に来るにしても海神の神器をもってすぐに帰れるよね。


「ダークエルフの島で海神の神器を使った後に、神器をすぐに返還します。再び神器の力が必要になった時には力を貸してもらうのが条件になりますが、どうですか?」


 ダークエルフの島で不具合が出た時に、海神の神器が使えないのは困るから、力を貸してもらう約束は絶対に必要だ。


「いえ、お心遣いはありがたいのですが、海神様がお認めになられたのはワタル様です。海神の神器の力が必要なくなった時に返還して頂けるだけで十分です」


 難しく考えなくてもいいと思うんだけど、海神様の意思とか考えると難しいんだろうな。


 ……なんだか幼女な王女を拒否できない感じになってきた。絶対に無理って言えばあきらめてはくれるだろうけど、すでに泣きそうなアンネマリー王女を強く拒否する心の強さが僕には無い。


 周囲を見渡してみても、イネス、フェリシア、アレシアさん達もあきらめ気味だ。リムやペントは泣きそうなアンネマリー王女の傍に控えている。味方が誰もいない。


 あっ、壁際にレーアさんが立っている。心配そうにアンネマリー王女を見守っているのが、なんだか申し訳ないな。


 僕が駄々をこねているみたいになっているし、もう諦めるか。すべてはお付きの人魚達と、ダークエルフの皆さんに頑張ってもらおう。あっ、これだけは言っておかないとな。勘違いされていたら困る。


「あの、僕達は船で旅をしていますので、ダークエルフの島にはあまり滞在していません。旅には連れていけませんので、アンネマリー王女達は島に残ることになります。それでも構いませんか?」


「……元々が島に派遣する話でしたので問題はありませんが、旅に同行できない理由を教えて頂けますか? 戦闘ができる兵士や旅のお手伝いができるメイドの派遣もできます。人間に変化する神器も持たせますので、地上でも行動可能ですよ?」


 人魚のメイドさん……喉から手が出るほど欲しい。海神様との関係で裏切られない確信もあるし、船召喚についてはダークエルフの島の人達も含めて話すつもりだけど、それとこれとは別問題なんだよね。


 クリス号にサポラビだけじゃなく、人魚のメイドさんにちゃんとメイド服を着て働いてもらえれば最高に幸せなんだけど、そうなるとクリス号を送還できなくなる。


 港なら宿をとってもらって待機もできるけど、外海で船を乗り換えたり複数の船を利用したりしたい時に、船の召喚枠が1つ利用できなくなるのは困る。人魚とはいえ、外海で泳いで待機ってのは無理だよね?


 ……いまさら言ってもしょうがないことなんだけど、キャッスル号の貸し出し、後悔してきたな。


 沢山メイドさんを乗せた自分だけの豪華客船……いずれ叶えたい欲望だ。


「あとで実物を見せながら説明しますが、ユニークスキルの関係で大人数を連れて行動すると不利な点があるからです」


「ユニークスキルですか。創造神様の使徒であるワタル様ですから、私達のワガママで普段の行動にまでご迷惑をお掛けするわけにはいきませんね。承知いたしました」


 こっちはあっさりと納得してくれた。もう全部創造神様に迷惑が掛かるからって言えば解決していた気がするな。天界に呼び出されて怒られそうだから言えないのが辛いところだ。


「……では、よろしくお願いします」


「ありがとうございます、ワタル様。アンネマリー、お世話になるのですから、あなたからもお礼を言うのです」


「はい! ワタル様、ありがとうございます。よろしくお願いします」


 満面の笑みの女王陛下とアンネマリー王女。確実に疲れた顔をしている僕。周囲から見たら交渉に関しての勝敗は歴然としているんだろうな。


「えーっと、準備にどれくらい掛かりますか?」


 悪あがきだけど、準備に時間が掛かるようなら、ベラさん達みたいに後で迎えに来る形にしても良いかもしれない。


「ワタル様にお話を頂いた時に準備は始めましたので、1日頂ければ問題ありません」


 悪あがきは失敗したようだ。


 たぶん、移動や僕達のことも考えて、王女と言えども最低限の荷物で来そうな感じだな。


 ダークエルフの島もまだまだ物資に余裕がある訳じゃないし、船召喚の説明をして物資の持ち運びは余裕があることを教えるか。


 それを踏まえて、準備期間はどれくらい必要になるかな?


 ***


 報酬の財宝をゴムボートに収納しながら船召喚の説明をすると、さすが創造神様の使徒様! っと僕の株が更に上がった。


 予想通り荷物は最小限で済ませる予定だったらしく、荷物や人数制限の大幅緩和に、レーアさんが狂喜乱舞していた。


 それでも3日で準備を済ませますと、人海戦術で準備が進められる。


 ただでさえ海流の結界が張り直された影響で、城の中も外も大忙しなのに、アンネマリー王女達の出発準備も加わり、蜂の巣をつついたような騒ぎになった。


 大きな船で移動ということで付き添いの人数も50人に増え、個人の持ち物の為に1人ゴムボート1艘を提供。アンネマリー王女の持ち物にはゴムボート5艘を提供。


 他にも50人分の大量の食料と、ダークエルフに対するお土産も準備され、提供したゴムボートは100艘以上。しばらくは何もしなくても生活できる準備が整えられた。国の底力って凄い。


 そんなこんなで準備が整い出発の時……なんだけど、女王陛下もアダリーシア王女も海上まで付いてくるって、どうしてそうなるの?


 大きな船が見てみたい? 国中が忙しいんだから、そういうのは次の機会にした方が……創造神様の使徒様と娘を見送るのだから海上まで送るのは当然? なるほど、そういうていで付いてくるんですね。


 といったやり取りが交わされてかなりの大人数で海上に向かうことになった。


 女王陛下達のクリス号見学の時間を考えると、出港するのは明日になると思う。まあ、女王陛下が居る間に海神様と神器の交渉をしておくか。


 女王陛下から神器を受け取った方が、変な誤解が生じることも無くなるよね。


読んでくださってありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
なんか、図々しくなってきたな。人魚達
[気になる点] 船召喚で同時に出してられる数5隻?なのにゴムボートの時に50個とか100個とか使ってますけど、召喚、送還だけでも10回〜20回毎回してるのか気になりますね!
[一言] 母性の象徴が豊かな大人の女性が大好きなんです。アーデルハイト女王陛下とかドストライクです。 ちゃんと伝えないとダメ。 女王をさっさと退役してついてきてくれます。 女王たちには船の秘密厳守で公…
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