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第2話 彼女の「3ヶ月後の告白」と、俺の役


彼女が


「好きな人に、3ヶ月後に告白するつもりなんだ」


と言った瞬間――




俺の思考は、完全に止まった。




3ヶ月後。




たった90日。




その短さが、妙に現実味を持って胸に落ちてくる。




「……本気、なのか?」




「もう気持ちは決まってるってことなのか?」




頭の中で同じ疑問だけが何度も回る。




俺が黙っていると、ノドカが少しだけ不安そうに首をかしげた。




「アキラ? どうしたの?」




どうしたのはこっちだ。




その“好きな人”って誰なんだよ。




だが、その言葉は喉の奥で止まったまま出てこない。




代わりに、俺は無理やり別の話を持ち出した。




「……恋愛相談、してほしいって話だったよな」




「うん。してくれるって言ったよね?」




「言ったけどさ……」




あまりにも当然のように返されて、逃げ道が消える。




ノドカはぱっと笑った。




「じゃあ、よろしくね!」




その笑顔が、なぜか少しだけ胸に引っかかった。




そのまま校門をくぐると、朝の喧騒が広がっていた。




生徒たちの会話、靴音、笑い声。




いつも通りの朝のはずなのに、どこか違って感じる。




「ノドカちゃーん、おはよー!」




少し派手めな女子が手を振る。




「おはよう!」




ノドカはすぐに振り返って笑顔で応じる。




そのまま軽く会話が始まる。




「昨日のテストどうだった?」




「まあまあかな」




「やっぱノドカちゃん余裕だよね〜」




そんな他愛もないやり取りなのに、空気が自然に明るくなる。




そこへ別の女子グループも合流する。




「トーヤマさん、おはようございます」




「おはようございます!」




今度は少し落ち着いたタイプの女子だ。




ノドカは相手に合わせて、ちゃんとトーンを変える。




明るい相手には明るく。




落ち着いた相手には落ち着いて。




誰とでも自然に会話が成立する。




さらに後ろから、別の男子グループまで声をかけてくる。




「トーヤマ、またクラス一位取るんじゃね?」




「そんなことないよ」




軽く笑って流す。




誰に対しても距離が近くて、誰に対しても同じように優しい。




……なのに。




その中心にいるはずのノドカは、なぜか俺の隣に戻ってくる。




当たり前のように。




まるでそこが“定位置”みたいに。




「アキラ、行こ」




何事もなかったように、俺の袖を軽く引く。




その瞬間、胸の奥が一瞬だけざわついた。




――なんだこれ。




さっきまで普通の朝だったはずなのに。




たった一言で、世界の色が少しだけ変わった気がした。




そして俺の頭には、また同じ言葉が浮かぶ。




――3ヶ月後、告白。




その“相手”が誰なのかも分からないまま。




なぜか俺だけが、その期限を意識し続けていた。

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