errorスキル
久し振りに神父服を脱いで盗賊スタイルになった。しっくり来るのが悲しい。
「どっか襲撃しにいくの?」
「しにいかねーよ」
どんな言葉掛だ。
ジキルはアイリとお留守番してもらうことになった。
何故なら、ちょっと俺は軽く情報を探りにいくからだ。
もちろん神父服の方が何かと都合が良いが、なんせこれからいくのは表ではなく裏である。
木を隠すなら森の中の要領で、柄の悪い世界には柄の悪いやつの方が馴染みやすい。
嫌ではあるが、十字架を鞭へと変えて装着。
髪もある程度乱してから必要なモノだけを持つ。
「あれ?それ」
ジキルが指差す。
俺の修復した銀の卵だった。
「ああ、これか?何らかの金になるかと思って直した」
お陰で《彫刻》スキルが上がった。
ラッキーだ。
「しんぷしゃま、おなかすいたあ」
アイリがやって来て脚に抱き付いてくる。
またあの魔力吸いされるのか…。でも、これで食費が浮くと思えば。
「ほれ」
「あーー」
バクンとアイリが俺の指を口に含み、またしても魔力をゴクゴクと勢いよく飲まれる。
てか、今更だけど食事これで大丈夫か?
人間ではなく魔物というのは分かっているつもりだが、何せ姿が幼女だ。本当に大丈夫か?
「ふぅー、ケプ」
「もういいのか」
「うん」
ウィンドウで確認すると半分近く減っていた。
「………」
二回目にして半分近くもっていかれるとなると、次の食事の時間が恐ろしくて仕方がない。
表情に出さなくても内心恐怖しながら魔力補給薬を飲み干した。
それを見てジキル。
「まこっちゃんの魔力美味しいの?」
とち狂った発言をかます。
「やめろよ!?」
素材屋に来た。
「…雑貨屋?」
それくらい明るい感じの店だった。
しまった。服装のチョイスを間違えたが。
でもこれが神父服しかないし、仕方がない。
「こんにちは、失礼します」
扉を開ける。
すると店員であろう女性が俺を見て「ひぃっ!?」みたいな声をあげて怯えられた。すまん。
「申し訳ありません。少しお尋ねしたいことがありまして」
俺の選択ミスだったので、出来る限り神父モードで接するよう努める。今のスタイル盗賊だけど。
「な、な、なんでしょう?」
すると、俺の振る舞いが予想外だったようで、声を震わせながらも定位置に戻った。
「この卵を見てもらっても良いですか?」
「たまご?」
目をぱちくりさせて固まる。
取り出した卵を見て、女性は「わぁ!」と声を上げた。
「綺麗ですね」
「中身はないんですけど、結構綺麗なので売れませんかね?」
「そうですねー」
卵をあちこち確かめて、頷く。
「目立った傷もありませんし、これなら加工がしやすいと思います。ところで、中身はないと仰りましたが?」
「孵化した卵を直しただけなので、殻だけなんです」
「え!本当ですか!こんなに綺麗にできるなんて、すごいですね!」
「いや、まあ」
嬉しい。
十字架のレプリカでレベルアップしまくっていたからな。
「これうちで買い取らせて貰えませんか?」
「どのくらいですか?」
「えっと、このくらいで」
三万か。
【《鑑定(裏ルートの物資)》が起動しました。三万ですと平均よりやや下の額です】
ダリルのスキルだ。
そうか、やや下か。
ふーん。
女性を見る。そこで気付いた、この女性は俺がこういうのに無知な人間なんだと見抜いている。なるほど、日本にいるときはあんまり気にしたこともなかったし、金額固定で言われるままにお金を出していたからな。
交渉だな。
女性の前から卵を取り上げる。
「そうか、じゃあちょっと別の所に行ってみるか」
卵を仕舞い、出ていこうとする。すると、女性が慌てたように立ち上がり待ってください!!と引き留めた。
「四万!いえ!五万で!!」
乗ってきた。
「八万」
「うっ、ろ、六万!!」
「七万五千。これ以上は下げられない」
「~~っ!わかりました!その値段で買い取ります!」
卵を女性に手渡す。
「ありがとうございます」
女性から受け取ったお金を数える。
よし、誤魔化されていない。
しかし、あんな大人しそうな女性が吹っ掛けてくるとはな。気を付けないと。
「これでしばらく持つ」
お礼と、ジキルとアイリ用に髪飾りをあの店で買った。儲けさせて貰った分お礼としてだ。
「さて、次だ」
魔物屋。そこで、error起こしまくっている《賢者》の代わりに生態を聞かなくては。
【《賢者》が起動しました。】
また勝手に起動した。
そしてまたerror出して終了するんだろう。
だが、今回はちょっと違っていた。
【《賢者》から申請があります。】
「申請?」
【受けとりますか?】
全く意味がわからないが、承諾した。すると。
【図書館に行ってください。】
とでた。
いよいよ《賢者》が壊れた。
【図書館に行ってください。】
行ってどうするんだよ。時間の無駄だし行かない。
【図書館に行ってください。】
あーもー!うるさい。わかったわかった!後でな。
あまりにも耳元でピコピコ煩いのでそう返答した。どうせerror起こしているスキルだ。特に変わらずまた図書館いけと出るだろうが。
【了解しました。楽しみにしています。】
と、表示されて終了した。
「………え?」




