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まずは視察

目の前に半透明のウィンドウが出現した。


「うおっ!?」

「わっ、ビックリしたどしたの?」


ジキルには見えていない?


《はーい!お手元のウィンドウを御覧ください!

今回の聖戦内容は聖杯の欠片の奪い合いです!》


「聖杯の欠片?」


《そうです!今回は聖杯本体の奪い合いでもなく!ファムルス同士での殺し合いでもありません!なので、前回のファムルスさんには特に注意な事なんですけどー!とにかくファムルスぶっ殺して奪えば良いんだろ?って発想は駄目です!頭悪いし楽しくありません!

なーのーで!》


ブンと音を立ててウィンドウにプレゼントマークが表示された。


《お手元のウィンドウからプレゼントを受け取ってください!大丈夫、コンピューターウイルスみたいなのは仕込んでませんから!》


「……」


怪しさしかないが、アイコンに触れる。すると、指先から魔力のようなものが侵入してきた。


【女神からの祝福スキルを受け取りました。《聖杯強奪》スキルと《聖杯修復》スキルが発現しました。カウントが発現しました。】


「強奪って、物騒だな」


《皆さん受け取りましたね?

それではプレゼントスキルの説明をいたします!前回のファムルスはご存じのカウント。これはファムルスの残数を示しています!ファムルス探知機能等は既に備わっているので、どのくらいのファムルスが残っているのかの確認の為のものです!


え?減ったらどうなるのかって?ふふふ、それは減ってからのお楽しみです!

女神的には減って欲しくはないものですが、あえて減らすのも醍醐味というもの、あ!でも減ったら減った分欠片探すのが大変になるので減らさない方がいいですよ!》


いつの間にか視界の左上に残り7柱と表示されている。

これか、源本がカウントなんなら言ってたのは。

気になるゲージ等も増えてる。


《各地で魔物が大量発生していると思います!それで練習出来ましたね?そう!なんと聖杯の欠片は魔物の中に隠してあります!ただの魔物だと楽しくないので、ボス級の中に隠してます!勿論ボスも盗られたら死んじゃうので全力で抵抗しますよー!頑張ってくださーい!

ちーなーみーにー!その聖杯の欠片、なんと自分の強化に使えるので!たくさん持ってたら有利かも?でも使っちゃったら消滅して新しいボス発生するので気を付けてくださーい!

で!これ凄く重要なんですけど!なんと他のファムルスから聖杯の強奪が出来るんです!

殺しちゃったら消えちゃうんだけど!生きたまま強奪スキル使えば欠片を回収できます!上手く活用してください!

今説明した内容は目の前のウィンドウにさらに詳しい説明とかと一緒に転写するので、後でちゃんと見てくださいね!

では初回の大出血サービス!!ファムルスの皆さん!!上を御覧ください!!》


言われるままに上を向く。


すると、立方体が赤く光り、複数の光の玉が一斉に放たれた。

近くに落ちたもの、遠くに落ちたもの。

落ちた瞬間に赤い光の柱が天高く伸びた。


《こちらが聖杯の欠片を持つボスの居場所です!近くにいるかなー?いたらチャンスチャンス!光っているうちに捜し出して回収しちゃいましょう!


さて!これにて説明は終了!

この世界の皆さん!そしてファムルスの皆さん!

聖戦を全力で楽しみましょう!!》



バシュン!!!と音を立てて、全てが元に戻った。


立方体も雲も、何も無かったのように元に戻っている。

夢の様だったが、それでも現実だったのだと思い知らせるように、赤い光の柱が近くの山から伸びていた。





「……なんか、すごかったね」


ジキルが感動している。

だが、俺は今付属されたスキルの説明を見るのに忙しかった。

最近気付いた事だが、よくわからないスキルを《賢者》に解析させると使い方を教えてくれるのだ。


《賢者》に解析させた結果、《聖杯強奪》スキルは、ファムルスかバディのどっちかが隠し持っている聖杯の欠片を強制的に剥き出し状態にして奪えるというもの。

強制的に剥き出し状態にしての意味がわからん。聖杯の欠片を手に入れれば新しいスキルでも増えるのか?


《聖杯修復》スキルは、文字通りのスキルだった。

回収した欠片が複数になったとき、これを使えば繋げることができるというもの。ただしデメリットとして、能力向上の時に使える力は上がるが、繋げてから使うと全て消費されるというもの。

これも手に入れないとなんとも言えん。


その他カウントも解析したが、今のところ本当に人数を教えるだけで、居場所などは表記されなかった。


「とにかく、集めるしかないか」


ウィンドウを閉じ、ふと視線を感じてそちらを向くとジキルが体育座りでこちらを待っていた。


「終わった?」

「終わった」


ジキルが立ち上がる。


「行き先変更するの?」


スカートを叩きながらジキルが言う。


「ああ、まずボスってのを確認してからだ」


いきなり倒せるとは思っていない。

近くに消えかけている赤い光の方向を確認した。


「おーけー!んじゃ行こっか!」















赤い光の柱が立っていた山へと向かう。既に光は消えていて、何の変哲もない山が残されている。


その山の方向から何人もの人が慌てた様子で荷車を引いて走り下りてくる。


なんだろうか。

やはりボスがいると分かったから降りてきたのだろうか?


「あんたら!何しとる!早く逃げんと!」


笠を被ったおっさんが怒鳴るように話し掛けてきた。


「あの、俺達は──」

「神父さんも見てたろ!?あの光!!もうすぐファムルスが来る!!この山はおしまいだ!!死にたくなかったら早く逃げろ!!」


こちらが発言する隙もなく話終え、おっさんはまた凄い早さで駆けていった。


「…ボスから逃げてるのじゃないのか」


様子から見てファムルスから逃げていると見た方がいいな。

一体前回の聖戦はどんなだったんだ。


「いこいこ!まこっちゃん」

「ああ」


もう一度だけ逃げていく人達の背中を見て、前を向き直した。















《気配探知》を発動して進んでいく。

幸いにも俺達以外のファムルスは近くに居ないらしい。


「ジキル、分かるか?」


そんな中、ズンズン進んでいくジキル。


「んー、多分こっちだけど。戦えるかなこんなところで」

「確かに」


酷く足場が悪い。

気を付けなければ滑り落ちそうだ。


「いた」


ジキルが身を隠す。俺も同じく身を隠しながらジキルの視線を追うと、アナコンダに蜥蜴の手足とコウモリの羽を腕に生やして、更に尻尾が燃えてる変な魔物がいた。


【アイトヴァラス。レベル53(欠片の効果により全ての能力が向上中)。俊敏、獰猛。尻尾の炎に気を付けてください】


「レベルがヤバイな」


前のモザイク彪レベルなんだっけ?

あ、レベル12じゃねーか。余裕で死ぬ。


「どうする?」

「…………………………、出直そう」


完全に予想外だった。

これはレベル上げてから来た方が良いな。


ゆっくりと戻ろうとした。

だが、その瞬間、アイトヴァラスの視線が突き刺さった。

ヤバイ!!!

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