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開戦宣言

「エドワード神父、色々お世話になりました」

「先生ありがとね!」


ジキルがブンブンと手を大きく振っている。


「変な人には付いていかないようにしてくださいね」

「もー!子供じゃないんだから付いていかないよー!」


俺達は今日旅立つ。

わらわらと子供に服を掴まれ引っ張られながら「まこっちゃん神父行かないで」とせがまれているが、ここは心を鬼にするしかない。


「ほらほら、ずっと会えない訳じゃないんですから」

「そーだよ!近くに来たらまた来るからさ!」

「ほんと?」

「ほんとほんと」


エドワード神父とジキルが何とか宥めてくれた。助かる。

その後、子供達に土産話や絶対に顔を出すことを約束され、旅立つことができた。


子供達は俺たちの姿が見えなくなるまでずっと手を振っていた。

そのまま幸せになってくれ。


「ふーんふふふんふーんふん♪」


ジキルは鼻歌を歌って楽しそうだ。


「機嫌が良いな」

「だぁって、まこっちゃんっと一緒なんだよ?遠足みたいでワクワクするじゃん」

「ははは。そりゃ良かった」


遠足か。

そういう意味なら俺はこいつの保護者か。

こりゃますます気が抜けないぞ。


「で?で?まずは何処行くの?」

「ああ、そうだな」


地図を開く。


そこにはアルシオル地区と掛かれていた。現在地はそのアルシオル地区の南の端、国境近くのホロンという町の端っこにいたのだが、そこから北のループロという町を目指す。


「此処だ」

「ループロ?」

「行ったことあるか?」

「ない。どんな所なの?」

「エドワード神父によると、ここにこの付近での魔物討伐の依頼が集められる場所があるらしい。物資も豊富で、ここで良い装備を揃えられるんだと」

「ふーん装備。まこっちゃんの?」

「お前だよ。軽装過ぎにも程がある」


細部は違うがどっからどう見てもセーラー服のジキルは戦っているとき正直ハラハラする。せめてスカートの丈をなんとか出来ないのかといったら、「嫌」と一蹴されたのだ。


「それいったらまこっちゃんだって神父服じゃん」

「俺のは内部に着てるし、何重にも魔法を張ってる」

「えー、ずるい」

「体がむず痒くなるっていったのそっちじゃないか」


前に魔法陣で防御魔法掛けたら合わなくてずっとモゾモゾしていた。合わないならやらない方がいいと思ったのだ。


「そだっけ?」

「そーだ」


本人は忘れてるが。


「とにかく、魔法具は色々見てみたい。あと聖杯を探す情報も集めないといけないしな」

「そだね。あー、聖杯ってどんなのかな?楽しみー」

「楽しみって…」


争奪戦なんだけどな。












──  ザワッ











「!」


突然空気がざわつき、一気に冷えきった。


「なに?」


ジキルも銃を構えて正体を探っている。


俺もスキルを駆使して何なのかを探しているが、『目的』のものが見つからない。なんだこれ。








──ゴーン。ゴーン。ゴーン。







鐘が鳴る。


幾重にも重なって響く音色は空から鳴り響いていた。

除夜の鐘のような響きに似ているが、それよりも遥かに高い音。


「まこっちゃん!あれ見て!」

「!」


空にあった雲が渦巻き、円のようになっていく。

光の環(リング)が空一杯に出現した。


その中心にある空は、青ではなく深い紺色で色鮮やかなラメが散っていた。いや、あれは宇宙空間だ。

その中心のリングの内部から、無機質な正方形の立方体が下りてくる。










その様子を、世界各地で人々が見守っていた。


ある人は怯え、ある人は歓喜し、ある人は敵意を向けた。




立方体は輝きつつゆっくりと制止すると、ヴォンと音を立てて水色の帯を立方体の回りに出現させた。それはゆっくりと回転しながら文字を表示させている。


『第五次聖戦開始のお知らせ』


と、書かれていた。


それを当然男鹿とジキルも見上げていた。

ジキルはおっかなびっくりという様子で、男鹿は何となく見に覚えのあるその気配に、猛獣のような殺気を放っていた。











《はぁーい!!お待たせしましたー!!》


どっかのウグイス嬢が面白おかしく話すような口調で声が話した。

女の声だ。

俺の知っているくそ女神とは違うが、この声もまた気に障る声だ。


《ちょっとちょっとー??今回のファムルスのみなさーん?準備時間ちょーっと時間掛かりすぎじゃないですか?半年ですよ?半年!最長記録更新してもなんのプレゼントもありませんよ??》


「……準備時間?」


なんだそれ。


《今回新規のファムルスは仕方ないとして、前回から引き続きのファムルスの方々!勝手がわかるからと言ってバディをコロコロ変えすぎです!ステータスを誰よりも有利にするためとはいえ、消耗品ではありますけど、数の限られている適応者を飴の包み紙のようにぽいぽいグラーテスするの禁止です!!これから一定期間内に三人連続でグラーテスした人にはペナルティ与えますよ!?》


頭の中に源本の顔が浮かぶ。

多分あいつだろうな。


《まぁ、それでもキチンとファムルスの皆さんが脱落者ゼロで条件を揃えた事に安心しました。褒美はないですけどね。


さて!では本題に移りましょう!


第五次聖杯争奪戦のルールを説明いたします!!》


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