プレゼントというのは選ぶのに苦労する物なのかもしれない。
お久日振りです。
金髪ツインテールのほのこの件が落ち着き、とりあいず我が東堂家の一大イベントがま直に迫ってきた。
何を隠そう、幸の誕生日である。
今日の日付、五月十三日。幸の誕生日、五月十四日。つまり明日。
前回買ったプレゼント用のブラなんだが、結局佐奈のやつから取り返すことはかなわなかった。
どうしよう………。
「はあ」
俺は今日も溜息を漏らす。時刻は六時半。絶賛停学中のみには少し早起きに思うかもしれないが一応これが普通だ。
俺は寝室からリビングに移動する。
「あ、おはようお兄ちゃん」
幸はすでに座ってテレビを見ていた。
「おう幸、飯は何が良い?」
「たまたま」
通訳、目玉焼き黄身二つのことだ。決して男性についているバベルの塔などではない。
「いい加減そういうのやめろ。ここにあいつらがいたら言い訳が難しい」
俺はちゃっちゃと調理を済まし、幸と一緒にさっさと飯を食い終わる。
「幸、誕生日何がほしい?」
「おっぱいがほしい」
「ブっ!!お、お前な………そりゃあ無理だ諦めてくれ」
吹いてしまったじゃないか。
お前の乳は永遠に大きくならん。
「だったら愛がほしいよ、お兄ちゃん!」
「おっさんに電話すれば飛んで来ると思うぞ?」
俺は冗談百パーセントで言う。
「もしもしトセおじさん?あのね………」
真実百パーセントになった。幸はおっさんに電話しているらしい。
「おい幸何電話してんだよ!あいつはそん所そこらのやつらより危ないんだから気をつけろよ!?」
俺はあわてて電話を取り上げる。
「もうすぐ来るって」
っく、遅かったか。俺はドアのすぐ近くにある電気ボタンの少し大きいぐらいのスイッチを押す。
「―――第一級非常事態宣言を発令!すべての外界に通じる通路を遮断――――」
家の中にサイレンにも似た警報が鳴り響く。最近つけた防犯機の一つで、スイッチ一つであり一匹の侵入も許さないという出来だ。
「優一氏!幸氏との結婚を承諾してくれ絶対に彼女を幸せにしてみせる!!!」
「どっから入ってきた!?」
おっさんには効かないようだけどな。
「あのような障害などへでもない!世界中すべての女を我が手中にせんと鍛え上げた我が肉体の前にはあのような障害なぞへでもない!!」
「真面目な顔でかっこいいこと言ってるつもりかもしれないけど、ただの最低のクサレ変態だからな!?」
しばらくして、何故かもう二匹増えた。
「で、佐奈はまだ良い。今日金曜日で普通に学校あるはずだけどまだ良い。それよりも………なんであんたがここにいるんだよ!?」
俺はソファーに我が物顔でふんぞり返ってる岬先生に声を上げる。
「何を言う。今まで散々私の出番がなかったのだぞ!?プロローグから一回もだぞ!?お前ら停学だから教師である私はぜんぜん話に入ること出来ないじゃないか!だから私もしばらく休暇届を出してきた」
いっそのこと学校辞めちまえ!
「で、何で佐奈はここにいるんだ?」
「だって、学校に先生までいなくなっちゃったんだもん」
「子供か!?」
「ああ、だから私が一緒にお前のところに行こうと誘ったんだ」
「あんたの所為か!?学生に学校サボらせるとかそこんところどうなんだ!?」
「学生の不安を和らげるのは教師の仕事だろう?」
「学校を休ませることは不安を和らげることにはなりません!!」
幸がキッチンから戻ってくる。
「お茶が入りましたよ」
おっさんはその冷たい麦茶を見て、ぶるぶると震えながら言った。
「幸氏よ、このお茶はキャロライナ入りと言う罠はないだろうな?」
「あはは、ちがうよー」
「おいおっさん幸がそんなことをするようなやつに見えるのか?」
「前科がなければかわいい天子なのだが、今は小悪魔にしか見えないんだ!!」
「大丈夫がキャロライナは入ってない。残念ながら在庫が切れていてな」
代わりの物はモチのロンで入っているがな。
「残念でもなんでもないからな!!」
三十分後。
「ああ、ああああ………あ……」
「ね、ねえ優一……」
「ん?どうした佐奈?」
「何かトセさん痙攣してるんだけどどうして?」
「飲んでみれば分る」
俺は「さあ」と言いながら器を向ける。
「いやいやいや、嫌だよこわいもん!」
「ん?初めての味だな、何だこれ?」
岬先生は平気で口にしていた。
「あれ?岬先生は大丈夫なんですか?」
幸は不思議そうに首をかしげながら聞いた。
「ん、嫌、大丈夫と言うわけではないな。手と舌に嫌な痺れがあって、頭にもやが懸かったような感覚がある。だがこの世に存在している医薬品なんかではこのような症状は出ないはずだから、このような即効性があるものなら青酸系の毒物かと思ったがそれの類の味ではないし………テトロドトキシンと言ったところか」
あんた青酸系の毒物の味って知ってるの?
「テトロドトキシンって、ふぐの毒の?」
「うん。そのふぐの毒なんだけど、ちょっと興味本位でしばらくの間意識だけ奪えるような薬がほしくて、身近にあったこれを改良して作ってみたの」
その毒が何故か先日俺の飯に盛られていたのは言うまでもないことかもしれない。
「普通に意識だけ奪うやつっていっぱい世の中に出回ってるんだけど、なかなか手に入らなくて」
「だったら今度私の家に来るといい。いろんな薬があるぞ。主に拷問用の」
「だからなんであんた教育者なんかになってんだよ!!??」
「で、せっかくだからみんなに聞きたい。幸の誕生日が明日なんだが………何がいいと思う?」
「遊園地」
佐奈の意見。
選択の余地あり。
「三角木馬とロープのセット」
岬先生の意見。
選択の余地なし。
「○●○」
おっさんの意見。
心の洗濯の余地あり。
「ごめんお前らに聞いたのが間違いだった」
「優一、私たちに聞くのはいいことかもしれないけど、幸ちゃんがここにいる常態で良いの?」
「ああ、幸に聞いても愛がほしいだの何だので答えてくれないしな」
「幸氏よ、私のあふれんばかりの愛を受け取ってほしい!!」
「私はお兄ちゃん物のだから、その言葉はお兄ちゃんに言ってあげて」
「私の愛を受け取ってほしい!!!」
「気色悪いわ!!」
「第一に一番良い意見で遊園地か……幸、どこか行きたいとことかあるか?」
「夢のお城に行きたい!」
幸は子供のように叫んだ。
「そうか病院にいきたいのか。そうだなじゃあお兄ちゃんもついていってやるから一緒に病院行こうな」
「幸氏よ俺は良いところを知っている。遊園地に行って帰りにでも寄っていくといい」
「おっさんには冥土の土産でも買ってきてやるよ。三途の川でも渡ってこいや!!」
「第二に………幸、何かほしいものあるか?」
「おっぱい大きくなりたい!!」
幸と言う子供が叫んだ。
「ぶっ」
佐奈が吹きだす。
「佐奈、この前取り上げられたブラ、そろそろ返してもらえないか?」
「ダメ!あういう物はダメ!」
ふうむ、お誕生日のプレゼントと言うのは難しいものだ………。
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