第9話 不人気ダンジョン
◇ダンジョン生活1ヶ月◇
トオルがダンジョンに落ちてから1ヶ月が経過した。
新たに増えた同居人。ダンジョンマスター、ロロ。そしてトオルの契約モンスター、ノワール。彼女らとの生活は順調だ。
ロロは現在、コーデセット【プリンセスルーム】の部屋での生活を満喫している。
この【プリンセスルーム】は女の子の夢が詰まったような部屋で、ロロは一目で気に入り即決で選んだ。ダンジョンマスターといっても女の子。やっぱりカワイイものが好きなんだなと思った。
【プリンセス】という名が付く位なので、利用ポイントは他よりも高かった。他のコーデセットは大体10000~15000前後の利用ポイントに対して、【プリンセスルーム】は20000ポイント以上。その時所持していたポイントの大半を使用することになった。
だがその分、サービスが充実していた。備え付きのクローゼットには服、本棚にマンガ、部屋の中央には大きなぬいぐるみが最初からセットされていた。
内容の好みが合うか不安だったが、ロロのお気に召したようで良かった。
魔石で得たポイントのほとんどはロロに吸われたが、それでも残っていた分で交換できたアイテムは多い。
主に交換したアイテムは、
・テーブル、イスのセット
・ソファ
・電子レンジ
・テレビ
・犬用ベッド
他にも細々としたものはあるが大きなものはこの辺りだろう。
主に生活に最低限必要な家具家電とノワール用のベッドを手に入れた。
ノワールは今のトオルにとって生命線ともいえる存在だ。契約モンスターといってもちゃんとねぎらうことは大事だ。ランクの高いベッドを用意した。
テレビはもしかしたらニュースなど地上の情報が見れるかもと思ったがダメだった。その代わり、サブスクみたいにたくさんの映画、ドラマ、アニメが見れるので無駄ではなかった。
現在はロロのアニメ視聴専用機になっている。
トオル個人のものがほとんどないが、それは仕方のないこと。ダンジョンで過ごす以上、ロロとノワールを優先するのは当たり前のことだ。
トオル自身のことは後回しでいい。といってもトオルは元々物欲がない。なので今の生活でも満足できていた。
トオルは現在、家計の管理もといポイントのやりくりや、料理の勉強をする日々を送っている。
今はポイントが安定して手に入っているがこの先、何が起こるかわからない。ポイントの収支はマメに確認している。
料理の勉強はロロのリクエストに応えるため。毎日のメニューを考えるのは大変だが、これが意外と楽しい。誰かのために作っているからかもしれない。
そんなこんなで楽しいシェルター生活を過ごしていた。
※※※
最近、レベルの上がり具合が悪いような気がする。現在のトオルのレベルは50。スキルレベルは25。
レベルの上昇による経験値の入りが悪くなったのならいいが少し気になる。
それともう1つ。ノワールが持ち帰る魔石の量が少なくなっていた。
ノワールは現在、散歩代わりに午前と午後の2回、ダンジョンを回りモンスターを倒している。
ノワールがモンスターを倒すことでトオルのレベルが上がり、ドロップした魔石でポイントを稼いでいた。
この稼ぎが減ると少々困る。シェルターに住む人数が増えたので、その分ポイントの消費も増えているのだ。
ノワールに確認してみるとやはりモンスターの数が減ってきているらしい。
原因を知るにはダンジョンマスターに直接聞くのが早いだろう。早速ロロに聞きに行く。すると、
「そういえばダンジョンのエネルギーが少なくなってきたかもしれない」
そう答えた。
モンスターはダンジョンのエネルギーを使用して生み出されている。そしてダンジョンのエネルギーはダンジョンに入ってきた人間から得ることで増やしている。
しかしこのダンジョンにはほとんど人間が来ない。原因はわかっている。理由は多分アレだろう。
ロロが管理するこのダンジョンにはゴブリンとオークしか出現しない。
ゴブリン、オークはといえばモンスターの中でも不人気の部類にあたる。見た目もそうだし、ドロップアイテムもしょぼい。
こういうダンジョンは不人気ダンジョンと呼ばれているのはweb小説で見たことがある。
確かにゴブリンの腰布、オークのこん棒なんて正直いらない。トオルもシェルターの中に汚いものを入れたくなかった。ノワールには魔石しか回収させておらず、ほとんどのドロップアイテムは放置だ。
唯一まともなドロップアイテム、オーク肉だけはノワールのお腹の中に入っていた。
そう考えるとノワールは特別なモンスターなのだろう。このダンジョンで唯一のヘルハウンド。ロロがオススメしたのも納得だ。
さて、現状このままだとシェルター生活に影響が出るのは確実だろう。この問題はポイントの回収もそうだが、ダンジョンの維持にも関わる話だ。
このままエネルギーが枯渇し続ければ、モンスターはおろかダンジョンの維持もできなくなってしまうだろう。
ダンジョンが無くなればトオルは地上に放り出されてしまう。それだけは避けたい。もうあの頃の生活には戻りたくない。
「ロロ様、何か策はないのでしょうか?」
ロロはこんな状況の中でも余裕そうにしている。きっといい考えがあるに違いない。
「あるぞ」
流石ダンジョンマスター、ただの居候ではないようだ。そして次の一言。
「他のダンジョンを潰そうか」
ロロは笑顔でそう答えた。




