第10話 ロロの提案
ダンジョンにはランクというものが存在する。
攻略難易度、つまり危険度が高いほどランクは高くなる。
それはダンジョンの階層の深さ。出現するモンスターの強さ。そしてダンジョンマスターの存在。それらがダンジョンのランクを決定する基準となっていた。
そもそもダンジョンマスターは全てのダンジョンに必ず存在する訳ではない。ほとんどの場合はダンジョンマスターのいない無人のダンジョンなのだ。
つまりダンジョンマスターがいるダンジョンは希少で、ダンジョンマスターが存在すればどんなダンジョンでも最高ランクのダンジョンになるのだった。
そんな最高ランクの当ダンジョンは今、エネルギー枯渇の危機を迎えようとしていた。
たとえ最高ランクのダンジョンであっても、人間が来なければエネルギー不足となる。このままではダンジョンの維持も危ない。
トオルがロロに相談すると、
「他のダンジョンを潰そうか」
笑顔でそう答えるのだった。
他のダンジョンを潰す?それはどんな意味があるのだろうか。
「ロロ様、それはどういう事でしょうか?」
トオルはロロに説明を求めた。
ダンジョンマスターはその名の通り、ダンジョンを支配する力を持つ。その影響力は他のダンジョンにも及ぶ。
条件を満たせば対象のダンジョンを丸ごと奪い、自身の支配下に置くことができる。
しかしロロは支配するのではなく、自分のダンジョンの糧にすることを選んだ。
ダンジョンには多くの情報が詰まっており、他のダンジョンを取り込むことでダンジョンは成長する。成長した分、ダンジョンのエネルギー総量は増える。
更にダンジョンは進化し、新たな階層やモンスターを生み出すことが可能となる。そうすれば変化に気付いた人間が集まって来るだろう。
人間が集まればエネルギーが得られる。つまりエネルギー枯渇の問題は解決となる。
これがロロの考えだった。
ん?ダンジョン同士で潰し合いをしていいものなのか?
トオルはロロに確認する。
回答は問題ないとのこと。
どうやらダンジョンを管理する上で、そのようなルールは決まってないという。
それに今回狙うダンジョンはダンジョンマスターのいない無人のダンジョンを狙うので心配はいらないとのこと。
「つまりランクの低いダンジョンを攻略するということですか」
「そういうことになるな」
いくらダンジョンマスターといっても無条件に他のダンジョンを支配できる訳ではない。当然、条件がある。
その条件は単純で対象のダンジョンを攻略すること。
ここで新たな疑問が生まれる。
誰がそのダンジョンを攻略するのか。
まずダンジョンマスターであるロロはダンジョンから出ることが出来ない。トオルもシェルターの維持のため、シェルターから出ることが出来ない。
残る候補は、
「ワンッ!」
ノワールだけとなる。
確かにノワールであればダンジョンの外に出られるし、攻略も可能だ。しかし、
「ロロ様、ノワールだけで大丈夫でしょうか?」
「問題ない」
ロロは自信満々に答える。
曰く、ノワールは特別なモンスターだから死ぬことはない。
トオルにはわからないがノワールには特別な何かがあるらしい。ロロが太鼓判を押すので信用することにした。
「ところで、攻略するダンジョンの目星は付いているのでしょうか?」
「ああ」
ダンジョンマスターには近くにあるダンジョンの場所がわかる感知能力というものがあるらしい。
おそらくだがダンジョン同士が付近に密集すれば食い合いが起こり、その分実入りが減るからその対策でもあるのだろう。
ちょうどおあつらえ向きに近くに無人のダンジョンがあるという。
もしかしたら強いダンジョンを成長させるための糧として弱いダンジョンが近くに生まれるのかもしれない。
今回はノワールが出撃することになったが、ダンジョンマスターの支配下にいる者であれば誰でもいいらしい。それはモンスターでも人間でも構わないという。
ノワールは現在トオルの契約モンスターであるが、元はロロの保有するモンスターだ。それにトオルはロロの庇護下にいる。なので判定的には問題ないとのこと。
「ノワールやれるな」
「ワンッ!」
ロロの言葉に元気よく返事するノワール。
「ノワール気を付けて行ってくるんだよ」
ノワールはトオルの生命線なのだが、ダンジョンを失ってしまっては元も子もない。
正直不安だがこうなったらもう信じるしかないだろう。
「ワンッ!」
ノワールはシェルターの外へ飛び出していった。




