第11話 がんばれノワール
◇がんばれノワール◇
「ワンッ!」
シェルターから元気よく飛び出し、ダンジョンの中を駆け出したのは黒ポメラニアンのノワール君
このダンジョンはノワール君にとって勝手知ったる庭のようなもの。迷うことなく一直線でダンジョンの入口を目指します。
ノワール君の速さに道中現れるモンスターたちは誰もついてこれません。
あっという間にダンジョンの入口まで到着しました。
今日はダンジョンの外でのはじめてのお仕事です。上手にできるかな?
「ワンッ」
元気よくダンジョンの外に飛び出すノワール君。
今の時間は夜、周囲は真っ暗です。
ダンジョンの周囲はバリケードで覆われ、コンクリートの地面にはところどころ亀裂が走っています。周りに人は誰1人いません。
静かな月明かりの下をトコトコ歩くノワール君。
はじめて見る外の世界にノワール君はワクワクしている様子。
遠くに煌びやかな光が見え、楽しそうな声が聞こえてきます。
とっても気になるけどガマンです。
ご主人様との約束を守らないといけません。
・人間には近づかない。
・物を壊さない。
・寄り道しない。
ノワール君はいい子なのできちんと約束を守ります。
誰にも気付かれるなく人のいない夜道を走るノワール君。
夜の光を浴びるとなんだかいつもより力が湧いてきます。
2、3時間ほど走り続けたノワール君は緑豊かな大きな公園に到着しました。
どうやらここに目的のダンジョンがあるみたい。
2つ以上離れた遠い街までやってきましたが、ノワール君に疲れた様子はありません。
まだまだ元気いっぱいです。
公園には誰1人いません。ノワール君は静かな夜の公園を歩き始めました。
フンフン鼻を鳴らし進んでいくと、茂みの奥に大きな穴があるのを見つけました。
「ワフッ」
やった。目的のダンジョンを見つけたみたい。
大きな穴の周りは踏み荒らされた形跡はありません。まだ誰にも見つかっていないようです。
これはラッキー。ダンジョンが無くなっても誰にも気づかれることはありません。
「ワフ~」
ダンジョンの中は草原が広がるキレイな場所でした。普段過ごしている薄暗い洞窟とは大違いの光景にノワール君の目はキラキラしています。
お散歩気分でダンジョンを歩くノワール君。
すると、物陰から1匹のウサギが現れました。
どうやらこのダンジョンのモンスターのようです。
「ワンッ!」
ノワール君は慌てることなく対処します。
ウサギを倒すとウサギ肉がドロップしたので食べました。おいしいけどオーク肉に比べると少し物足りないみたい。
あっ、魔石も忘れずにちゃんと回収してるね。えらい。
その後もオオカミやイノシシといったモンスターに出会いますが、ノワール君は危なげなく対処していきます。
ダンジョンを順調に進んでいき、ついに最下層に到着しました。
ノワール君は大きな扉の前に立っています。
この中にいるボスモンスターを倒せばダンジョン攻略完了です。
「ワフッ!」
気合十分のノワール君。躊躇することなく扉の中へと入っていきました。
がんばれノワール君。
※※※
一方、その頃。
トオルはというとソワソワしていた。
ノワールの状況を知る術がなく、心配でたまらない様子。不安そうに寝ずの番を過ごしていた。
ちなみにロロはさっさと寝てしまった。
ダンジョンマスターには睡眠は必要ないのでトオルに付き合ってもいいはずなのだが、つまらないと部屋に戻ってしまった。
トオルがうつらうつらし始める頃、
『レベルが上がりました』
アナウンスが流れる。
どうやらノワールは無事ダンジョンを見つけたようだ。ホッとするトオル。
その後もレベルアップのアナウンスは度々流れる。
そして、
『ダンジョンを攻略しました』
ダンジョン攻略完了を知らせるアナウンスが流れた。
ノワールは無事、仕事を終えたようだ。あとは帰りを待つだけ。
いっぱい頑張ってくれたノワールのためにご褒美をたくさん用意しておかないと。
トオルはノワールの初仕事達成のお祝いの準備を始めた。




