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スキル『ダンジョンシェルター』  作者: わたがし名人


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第12話 ダンジョン拡張



 ダンジョン攻略のアナウンスが流れた数時間後。


 時間は早朝。


「ワンッ」


 ノワールが無事シェルターに帰ってきた。


「お帰りノワール。シャワーを浴びようか」


 まずは全身の汚れをシャワーで洗い流そう。



「ワフッ!」


 キレイになったノワールはニコニコ上機嫌だ。


「はい、頑張ったノワールにご褒美だよ」


 トオルは山盛りになったフルーツの盛り合わせをノワールの前に置く。


「ワンッ!」


 キラキラした目で目の前のフルーツの山を見つめるノワール。


 ノワールはドロップした肉以外でも食事もする。その中でも特に興味を示したのが果物だった。


 トオルは普段、1日2回ノワールの散歩後にフルーツを1つ2つ与えている。


 今回は大仕事を無事こなしてくれたので、特別にフルーツの盛り合わせを用意したのだ。



 ノワールがガツガツとフルーツの盛り合わせを食べていると、


「う~ん、うるさい……」


 モコモコの部屋着を着たロロが部屋から出てくる。普段ならまだ寝ている時間なのだが、どうやら起こしてしまったようだ。


「ロロ様おはようございます。すみません、起こしてしまいましたか」


「ん、大丈夫だ。あ、ノワール帰って来たんだ」


 フルーツの盛り合わせに夢中のノワールはロロに気付いていない。


「ええ、無事ダンジョンを攻略してきましたよ」


 トオルはノワールが無事ダンジョンを攻略してきたことを伝える。


「ダンジョンコアを確認しますか?」


「先にご飯食べたい」


「わかりました。すぐに準備しますので、その間に着替えてきてください」




※※※



「ごちそうさま!」


 少し早い朝食を終えると、


「ノワール、戦利品を出してくれ」


「ワンッ」


 ノワールが影から回収したドロップアイテムを出していく。


 主に回収してきたものは魔石ばかりのようだが、動物の牙や毛皮が時々出てくる。どうやら獣系のモンスターが出るダンジョンだったらしい。



「あっ、あった」


 ロロが見つけたのは赤いビー玉みたいなもの。


「それがダンジョンコアですか?」


「うん、そうだ!」


 お目当てのダンジョンコアを手に取り嬉しそうにするロロ。


「あーん」


 ロロは手に取った赤いビー玉ことダンジョンコアを飲み込んだ。


 すると、


「……、んぐっ!?」


「ロロ様!大丈夫ですか?」


 ロロが一瞬苦しそうな顔をしてうずくまる。心配したトオルが駆け寄ろうとすると、


ビクンッ


 ロロの身体が跳ね上がり、


「あハ、アハハハ……」


 壊れた人形のように言葉を発しながら虚ろな目でトオルを見つめる。


 今日着ている服が黒ゴスなのも相まって、妙に様になっている。その様子はまるでホラー映画のワンシーンのようだ。


「あの、ロロ様……」


 トオルが声をかけようとしたその時、


「うわっ!?」


 シェルターの外から大きな衝撃音が響く。


 と同時にダンジョン全体が大きく揺れ始めた。


 幸いシェルターの中は影響がないみたいで全く揺れていない。

 流石はダンジョンシェルター、頼りになる。



ジー……


 しかし目の前には依然様子のおかしいロロがトオルを見つめていた。助けを求めようとノワールを見たがスヤスヤと眠っている。


 幸いここはシェルターの中、攻撃することはできない。危険な目に合うことはないと思いたい。


 トオルに今できるのはこの視線に耐え続け、ロロとダンジョンが落ち着くのを待つことだった。




※※※



 様子のおかしいロロに見つめられることしばらく。


 外の音が止む。ダンジョンの揺れが収まったようだ。それと同じく、


「あれ?ボクは一体……」


 ロロが正常に戻る。


 ホッとするトオル。


「ロロ様、大丈夫ですか?」


「ん?ああ、問題ない。あっ!」


「どうかしましたか?」


 やはり何かあったのだろうか。


「ダンジョンが大きくなってる!」



 どうやら先程の音と揺れはダンジョンの拡張作業だったらしい。


 ロロのダンジョンは取り込んだダンジョンの分だけ新たに階層が増えたとのこと。

 そして肝心のダンジョンのエネルギー総量も増えた。


 ひとまず当初の目的は達成されたようで安心する。



 取り込んだダンジョンは草原ダンジョンと呼ばれる草原を主体としたダンジョンで、出現するモンスターは獣系、ラビット、ウルフ、ボアなど。


 拡張した後のダンジョンの構成は、入口から15階層までは取り込んだ草原ダンジョン、そこから下が元あったロロのダンジョンと変化した。


 構造としては増えた階層をそのまま上に持ってきた形となる。


 新たに入口となった階層は草原エリアとなり、モンスターも獣系になった。以前のゴブリン、オークしか出ない洞窟エリアと比べると大分入りやすくなったはず。


 これならこのダンジョンにも人が集まるようになるだろう。



 一時は様子のおかしかったロロだが今はもう大丈夫そうだ。しかし食べたダンジョンコアの味が大変おいしかったらしく、


「次のダンジョンはどこにしようかな~」


 と、楽しそうに他のダンジョンの物色をしていた。トオルはまたあの何とも言えない時間を過ごすことになるらしい。




 一時はどうなることやらと思ったが、無事ダンジョンのエネルギー問題諸々は解決したのだった。




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