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スキル『ダンジョンシェルター』  作者: わたがし名人


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第8話 ダンジョンマスターのとある1日



 地上では朝日が昇り始める頃。


「ん~」


 ふかふかのベッドの中で、もぞもぞしながら起き上がる1人の少女。


「おはよう、くまお」


 ベッドから出た少女は部屋の真ん中に鎮座する大きなクマのぬいぐるみにあいさつをする。


 ここはシェルターの一室。


 入口のドアから見て部屋の左側には天蓋付きベッド、そのすぐそばにはアンティーク調のドレッサー。

 部屋の右側には同じくアンティーク調のクローゼット、姿見と本棚が並ぶ。そして天井にはシャンデリア。


 家具含め、部屋全体は白とピンクで統一されており、まるでお姫様の部屋のようだ。


 少女はこの部屋をとても気に入っていた。



 少女はドレッサーに向かいブラシで髪をとかすと、クローゼットから服を選ぶ。ピンクのセーラーワンピースに着替ると姿見で身だしなみを確認する。


「うん、今日もバッチリだ!」


 満足そうに確認を終えると部屋をあとにした。




「ロロ様、おはようございます」


「おはようトオル。ご飯は?」


「できてますよ。お持ちしますね」




 この男の名はトオル。


 ダンジョンの中に住み着いている変わった人間だ。人間はダンジョンに害をなす存在だと認識していたが、どうやらトオルは違うらしい。


 目覚めた時にいきなり近くに変な建物があったのには驚いたが、トオルが無害で良かった。ダンジョンができた直後はどうしても無防備になってしまう。このタイミングで攻撃されていたら終わりだった。


 トオルはダンジョン攻略には興味がない上に地上に戻りたくないという。むしろダンジョンにいさせて欲しいと懇願してきた。

 そのメリットは世界の食事を提供すること。


 はじめて食べたカレーというものはとてもおいしかった。


 ダンジョンマスターは睡眠や食事を必要としない。しかし興味が無い訳ではない。

トオルがいればこの世界の食べ物がいつでも食べられる。それだけでここに置いておくには十分な理由となった。


 そしてロロが今いる建物は『ダンジョンシェルター』というスキルによるもの。説明を聞いた限りだとただの避難所的なものだと思っていたが、どうやら違ったらしい。スキルレベルが上がるごとにシェルターの中はどんどん快適になっていった。


 何もないロロの拠点とは大違いだ。


 ロロが目覚めた場所は殺風景な場所に椅子がポツンとあるのみ。やろうと思えば城の1つや2つ作ることも容易だが、『あの部屋』以上のものは作れないだろう。


 ロロが現在暮らしている部屋は【プリンセスルーム】というコーデセットの1つから生まれた部屋。トオルにコーデセットの一覧を見せてもらった時に一目で気に入り即決した。


 うれしいことにこの【プリンセスルーム】にはおまけがたくさんあった。今着ている服もその1つ。クローゼットの中にはこのようなかわいい服がズラリと入っていた。


 ロロの持つ知識やセンスはこちらでいう中世ヨーロッパに近い。なのでセンスがどうしても古臭くなってしまう。


 一方、スキル『ダンジョンシェルター』は現代人のトオルの知識がインストールされている。なので提供されるアイテムは最新のものばかりになる。


 そんな自分にはないものを持つトオルを少し羨ましく思ったりしている。




「ワンッ!」


「ノワール、おはよう」


 黒ポメことノワールがやってくる。


 ノワールはこのダンジョンで唯一、ロロの命令に従うモンスター。


 ヘルハウンドは本来、このような姿ではない。何故かノワールだけトオルの世界でいうポメラニアンという犬の姿をしていた。

 よくわからないがちゃんと言うこと聞くので気にしないことにした。



「ロロ様、どうぞ」


「いただきます!」


 テーブルに食事が並ぶ。


 今日の朝食はパン、スクランブルエッグ、ベーコン、牛乳。


 うん、おいしい。


 食事を必要としないダンジョンマスターでも、この世界の食べ物はいいものだと思う。見た目がきれいだし、色んな味がする。とても楽しい。



 朝食を終えたロロは部屋に戻る。


 お楽しみタイムその1だ。


「えと、昨日の続きはどれだっけ?」


 本棚に並ぶたくさんのマンガの中から目当てのものを探す。このマンガたちもおまけでついてきたものだ。


 クマのぬいぐるみ、くまおを背もたれにしてマンガを読み始めるロロ。


 文字だらけの本しか知らなかったロロにとって、物語がかわいい絵で描いてあるマンガは見ていてワクワクする。続きが気になりどんどん読み進めていく。



 夢中で読みふけっていると、


 チーン


 ベルが鳴る。


 昼食の時間だ。



「いただきます!」


 昼食はナポリタン。


 まだ数回しか食べてないが大好きなメニューの1つだ。


 おっと危ない。食べる前に紙エプロンをつける。せっかくの服が汚れないようにしないと。



 昼食後。部屋に戻らず留まるロロ。


 お目当ては、


「ロロ様、昨日の続きでいいですか?」


「うん、頼む」


 トオルがテレビをつけるとアニメが流れる。流れるのは人気女児アニメのシリーズ。


 お楽しみタイムその2はアニメ鑑賞だ。


 マンガと違いアニメは映像が動き、声や音楽が流れる。一時も目を離すことなく真剣な眼差しでアニメを鑑賞するロロ。


 途中でおやつ休憩をはさみつつ、夕食の時間までアニメを楽しんだ。


 ちなみに今日のおやつはプリンだった。



 夕食の時間になるとテレビの時間はおしまい。続きはまた明日。


 今日の夕食はオムライス。これも好きなメニューだ。



 その後はお風呂と歯磨きをしっかりする。やる必要はないのだがトオルの圧が凄いので仕方なくやっている。他のことは何も言ってこないのに何故かこれだけは一歩も引かなかった。



 寝巻に着替えてベッドに入る。このベッドもお気に入りだ。ここで眠るとなんだか自分がお姫様になった気分になれるからだ。

 睡眠は本来必要ないがこうした気分になれるのなら眠るのも悪くない。



 トオルと出会ってから毎日が楽しいことがいっぱいだ。


 明日はどんな日になるだろうか。


 胸を膨らませて眠りにつく。




 ところでダンジョンマスターの仕事はしてるのかって?してるよ、たまにね。




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