第45話 ダンジョン配信
◇ダンジョン生活9ヶ月◇
南地方のダンジョンにて。
ここで世界初の試みが始まろうとしていた。
※※※
話は少し前に遡る。
ノノの提案により人間たちもダンジョン内で撮影できるようにしようという話になった。
さて、その方法とは?
それは宝箱にダンジョン配信が可能となるアイテムを入れることだった。
ノノが用意したアイテムは一見ただのカメラのように見えるが、ダンジョン内でも使用できる特別製だ。
そしてこのカメラは魔導ロボに組み込むことで撮影ドローンとして、簡単にダンジョン内でも撮影可能となるのだった。
宝箱からカメラを発見した人間たちはノノの目論見通り、カメラを組み込んだ魔導ロボを改造し撮影ドローンを誕生させた。
カメラの入った宝箱が設置されたのは南地方のダンジョンで、撮影ドローンを生み出したのはもちろん南地方のイカしたメンバーたちだ。
南地方のダンジョンに選定した理由は魔導ロボの原産地というのもあるが、やはり1番の決め手は技術が最も進んでいるということだろう。
そして何よりも大事なことは、ダンジョンマスターの想像を超える発想を生み出すことのできる力。
南地方のダンジョン研究施設はその発想力がどこよりも群を抜いている。
そんなこんなですっかり南地方のダンジョン研究施設はノノたちダンジョンマスターのおもちゃ箱、もとい実験場になっていた。
※※※
再び場面は南地方のダンジョンに戻る。
ダンジョン内では魔導ロボとその後方にはマジカルステッキで変身したアイドルたちが歩を進めている。
そして更にアイドルの頭上にはドローンが飛んでいた。これが件の撮影ドローンの
ようだが、まだカメラは回していないようだ。
しばらく進むとモンスターの魔導ロボが現れた。戦闘準備と共に撮影ドローンが全景を映すべく天井近くまで上昇する。
世界初のダンジョン内での撮影がいよいよ始まる。
その様子をトオルたちはシェルター内のモニターで見守っていた。
「あっ、映ったぞ」
撮影ドローンの映像がシェルター内のモニターに映し出される。
「どうやら成功のようですね」
人間たちが生み出した撮影ドローン。そのほとんどはダンジョン由来のアイテムを使用しており、更にカメラにはノノが細工を施されていた。
なのでこうして映像をハックすることができるのだ。
「うんうん、上手くいってるみたいだネ」
撮影ドローンの動作は問題なさそうだ。
そして気になることはもう1つ。撮影ドローンの映像が地上にも届いているかということ。
シェルターは地上のテレビはおろかインターネット回線に繋がっていない。なので無事に地上にもこの映像が送られているのかわからない。
しかし確認する方法はある。
以前、研究施設に送り込んだ超小型ドローンから地上の様子を確認できるのだ。
超小型ドローンから送られた映像を確認してみると人々は皆、歓喜している様子。どうやら成功したようだ。
元々ダンジョン内では現代機器をはじめとする電子機器の利用はできなかった。それなのに何故今このタイミングで撮影できるようにしたのか。
ノノにはある狙いがあった。
現在日本ではダンジョンに関する情報のそのほとんどは秘匿されており、一般人に公開されている情報は極僅か。
それに加え地上で確認できるのはアイテムや一部のスキルのみ。
ダンジョンに関する研究は進んでいるものの、ダンジョンに人を呼び込みたいノノたちとしてはあまりよろしくない状況だ。
なのでテコ入れすることにしたのだ。
幸いにも大衆受けしそうなネタもちょうどあるだし、タイミング的にも悪くはない。
そのノノの目論見は上手くいき、世界初のダンジョン内の撮影成功のニュースは世間を大きく賑わせる。そしてその映像は日本だけでなく全世界に公開された。
世間の話題はダンジョン一色となる。今まで誰も撮ることのできなかったダンジョン内の映像。
しかも公開されたのは迫力のある魔導ロボ同士の戦闘シーン。そして戦場を華やかに彩る魔法少女のアイドルのライブ。
その映像を見た各国からは『流石ジャパン。イカれてるぜ』と高い評価を得ていた。
ちなみに元々撮影は本州のダンジョンで行われるはずだった。が、製作者である南地方のダンジョン研究施設の人間たちの暴走により独断で決行された。
なので本来の想定とは違う映像を流すことになってしまったのだが、インパクトは絶大でマスコミはアニメゲームの世界が現実になったとニュースで囃し立てた。
その結果、ノノの狙い通りにダンジョンの民間解放の声は大きく広がりを見せたのだった。
次回更新日は9/24(木)午前7時予定となります。
よろしくお願いします。




