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スキル『ダンジョンシェルター』  作者: わたがし名人


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第44話 マジカルステッキとロボ



 ロロとモモが『マジカルステッキ』で変身を披露してから数週間後。


「トオルセンパイ、ちょっと来て欲しいッス」


 ネネに呼ばれ、トオルはネネのシェルターに向かう。するとそこには同じく呼ばれたノノとココもいた。


「ネネさん、私たちを呼んだ理由は何でしょうか?」


「これを見て欲しいッス」


 ネネはそう言ってモニターを指差す。そこにはネネのダンジョンの様子が映し出されていた。



 モニターには魔導ロボ同士が戦闘している様子が流れている。


 現在のネネのダンジョンでは人間側も魔導ロボで戦うのが主流になっており、人間より大きな魔導ロボ同士の戦闘は迫力のある映像となっていた。


「えと、見せたいのはこれですか?いつもと同じように見えますが……」


 確かに迫力のある映像だが、これはネネのダンジョンではすでに日常となっている光景だ。別に珍しいものでもない。


「もっとよく見るッス。ほら、ロボの後ろの方ッス」


 ネネに言われ、魔導ロボの後ろの方を見ると、人間側の魔導ロボの後方に場違いな存在を見つける。


「え、ライブしてる?」


 2人組のアイドルがライブをしていた。


 よく見ると彼女たちはトオルでも知っている有名女性アイドルだ。そして手にはマジカルステッキが握られており、衣装もマジカルステッキで変身した姿となっていた。



「最近、後ろにいるようになったッス」


 ネネが言うには数日前から彼女たちが魔導ロボの後方で歌うようになったらしい。


 おそらく原因はマジカルステッキなのだろうが、どうしてこうなったのか。トオルにはその理由がさっぱりわからなかった。


「あの魔導ロボ、強化魔法がかかっていますね」


 ココが人間側の魔導ロボの変化に気付く。どうやら魔導ロボに強化魔法がかかっているらしい。


「あっ、ホントだ~。後ろにいるあの子たちのスキルなのかなぁ?」


 ノノが魔導ロボに強化魔法をかけているのはアイドルだと見抜く。


「でしたら状況から見るに歌スキル、といったところでしょうか」


 ココとノノの説明からトオルは彼女たちが歌スキルを使用していると推測する。


 支援職には色々存在する。歌を歌うアイドルなんかもゲームによっては存在していたはず。



「ノノ姉、マジカルステッキからも何やら力が流れているようにも見えます」


 ココがアイドルがマイク代わりに使っているマジカルステッキからも何か効果を発揮していることを発見する。


 どうやらマジカルステッキが歌スキルの増幅器として作用しているみたいだ。


「えっ、何よそれ~。お姉ちゃんそんなの知らないわよ~」


 これには製作者のノノもびっくりしていた。


 なんとその機能はマジカルステッキの製作者でも知らないものだったのだ。



 元々、マジカルステッキにはロロのリクエストである変身機能しか付与していない。

 だが実際には歌スキルと反応し、支援魔法の増幅器として作用していた。



 マジカルステッキが発見されてまだ数週間ほど。この短期間で製作者も知らない機能を南地方の人間たちは見つけたのだった。



 でも何故、南地方にマジカルステッキがあるのか?


 南地方に集まっているのはロボに対して並々ならぬ情熱を燃やす人物ばかり。ロボに試せそうなものであれば何でも取り寄せていたのだろう。


 確かロボ作品にはアイドルが密接に関わる作品も存在する。おそらくそこからヒントを得たと思われる。


 だからこそ現実のアイドルを呼び寄せ、魔導ロボの後方で歌わせているのだろう。


 ちなみにネネのダンジョンでは非戦闘員も多く出入りするため、攻撃してこない限りはモンスターは襲ってこない設定になっている。


 ネネが相談したいのは後ろにいるアイドルたちを攻撃対象とすべきかどうかという話だった。


 多分だがこの歌スキル、ロボ以外でも効果はあるはずだ。でも他のダンジョンで使うには難しいと思われる。

 ネネのダンジョンでは攻撃されていないから成立しているが、他のダンジョンでは悠長に歌っている余裕はない。



 話し合いの結果、ひとまず様子見ということになった。現状、これが成立するのはネネのダンジョンだけだ。なのでこのままにしておこうという話になった。


 それに南地方のダンジョン研究はある意味、最も進んでいる。期待を込めてなるべく自由にやらせることにしたのだ。



 それにしてもあの女児向けおもちゃみたいなアイテムをこのような使い方をするのは流石というか。


 何にでもロボに絡めようとする発想は凄い。


 やはり南地方のダンジョン研究施設には頭がおかしい人間たちが集まっているようだ。(いい意味で)




 モニターには魔導ロボ同士の戦闘、そして後方ではアイドルがライブをしている様子が流れている。


 モニターを見ていたノノは何かを決める。


「ココちゃん、ダンジョンでも撮影できるようにしよっか」


 ダンジョン内で人間たちも撮影できるようにしよう。


 そう提案するのだった。



 次回更新日は9/22(火)午前7時予定となります。


 よろしくお願いします。

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