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スキル『ダンジョンシェルター』  作者: わたがし名人


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第40話 先輩と後輩



 その後、モモのダンジョンをアピールする計画は無事成功し、北にあるダンジョンに人が集まるようになった。


 まだ民間への解放はしていないが反応は上々。やはり死の危険がないというのは大きいようだ。



 そんなこともあり、モモはすっかりトオルに懐いていた。何もなくてもトオルにベッタリだ。


 ココたちは微笑ましく見ていたが、それを快く思っていない人物が1人だけいた。ロロだ。


 この中で1番の新参者であるモモがトオルにベッタリなのがどうやら面白くないらしい。



「おい、モモ!トオルはボクのだぞ!」


 ロロはついにモモに突っかかる。


「先輩は今までお兄さんと一緒だったじゃないですか。少しくらい、いいじゃないですか」


 一方、モモも一歩も譲らない。


「うるさい、後輩なら先輩に譲れ!」



 2人の言い争いが始まる。


 なんだか親戚のお兄さんを取り合う小さな子供の争いのようで微笑ましいなとトオルは見守っていたが、だんだん言い争いはヒートアップしていく。


 どうしたものかとトオルが思っているとココが仲裁に入る。


「お2人方、それなら1つ勝負をしてみてはいかがでしょうか?」



 こうしてロロとモモの2人が勝負をし、どちらがトオルにふさわしいかを決めることになった。



※※※



 翌日。


 場所は変わって、疑似ダンジョンに全員集合していた。


 ロロとモモの2人はそれぞれジャージ姿でやる気満々で立っている。


「僭越ながら司会進行はワタクシ、天才完璧美少女和風メイドのココが務めさせていただきます」



 勝負の内容は3つ。


 テスト対決、尻相撲対決、そしてパフォーマンス対決。


 ココ、ノノ、ネネは司会者席のような場所におり、トオルは少し離れた場所で王様っぽい椅子に座っていた。


 勝負に勝った者がトオルを得ることができる。つまり景品だ。


 そんなことを気にせずトオルはロロたちの様子を眺め、まるでテレビで見るアイドルのスポーツ大会みたいだなとのん気に思っていた。




「まず最初はテスト対決でございます」


 机と椅子が用意され、ロロとモモがそこに座る。


 テストの内容はダンジョンに関するもので、ダンジョンマスターなら知っている一般常識らしい。



「結果発表でございます。勝者はモモ様」


 テストの結果は満点回答でモモの勝利。ロロはいくつかミスをしていた。


「そしてロロ様。後日、補習授業がございますのでお覚悟を」


「ひ、ひぃ……」


 ココからの圧に怯むロロ。ココからダンジョンのイロハを学んでいたはずのロロだったが結果はこの有様。後日補習を行なうことが確定した。




「気を取り直して、続いては尻相撲対決でございます」


 言葉通り尻相撲を2人にやってもらう。


 円形状のステージが用意され、ロロとモモがその上に立つ。


「うわ~、楽しみッス」


 どうやらこの尻相撲を提案したのはネネらしい。キラキラした目でステージを見ている。



「はっけよーい、このった!」


 ココの掛け声で始まる。


 ちなみに今の2人の身体能力は一般的な人間と同等に制限されている。


「ふんっ!」


「あっ」


 しばらく接戦が続いたが、ロロの押し出しで勝負が決まる。


「勝者、ロロ様」


 尻相撲対決はロロの勝利。


「いやー、凄かったッスね。トオルセンパイ、今度ウチと尻相撲して欲しいッス」


 ネネはしれっとトオルと遊ぶ約束を取り付けるのだった。




「現在どちらも1勝ずつ。これが最後で勝負が決まります」


 最後の対決はパフォーマンス対決。


「2人とも頑張ってね~」


 対決の内容を決めたのはノノ。


 肝心のパフォーマンスの内容だが、それはダンスを披露するというもの。完全にノノの趣味だ。


 だが2人は当然そんな経験はない。なので練習時間が設けられた。



 練習時間は1時間。覚えるパートはサビ部分。どこからか用意されたモニターからお手本の映像が流れる。

 お題となる曲は2人組のアイドルの曲。アイドルに疎いトオルでも知っている有名な曲だ。



 練習が開始される。


「えと、こうか?」


「ちょっと違うかも」


 ダンスなんて初めてのことなので当然うまくいかない。試行錯誤で練習する2人。


 しかしやっていく内に、


「わかった、こうか」


「そうそう、ロロちゃんいい調子」


 いつの間にか2人でフォローし合うようになり、だんだん上達していく。




 そして練習時間は終わり、いよいよ本番。


 ロロとモモはフリフリのアイドル衣装に着替えていた。2人の容姿も相まって、そこらのアイドルに見劣りしない。


「や~ん、2人ともかわいい~♪」


 ノノはアイドル衣装に身を包んだ2人の姿を見て喜んでいる。やはり自分の趣味で内容を決めたっぽい。



 そしてまたいつの間にかライブステージが用意され、ロロとモモはステージに立つ。


 曲が流れパフォーマンスが始まる。


 息の合った動きの2人。ついさっきまで初心者だったとは思えないほどだ。


「キャー、ロロちゃんー。モモちゃんー」


 ステージの近くまで移動したノノがペンライトを振って応援している。




 パフォーマンスが終わる。ロロとモモは満足そうにトオルを見つめる。


 今回の勝負を決めるのはトオルだ。


「パフォーマンス対決の結果ですが、引き分けです」


 トオルが出した答えは引き分け。


「私には2人の優劣を決めらません。ロロ様とモモさん、どちらも素敵でした」



 最終的な結果はロロ、モモ共に1勝1引き分け。


「どうする後輩?」


「仕方ないですね。先輩、こうしませんか?」




 話し合いの結果、トオルと一緒に過ごすのは当番制になった。


 トオルの意見は考慮されていないがそれは別に構わない。みんな仲良く過ごせればそれでいい。



 なんとか上手くいって良かったとホッとするトオル。


 視線をココたちの方へ向けるとココたちは微笑む。


 実は今回の勝負はトオルたちが画策してロロとモモが仲良くなれるように仕組んだものだった。


 結果は成功。2人の関係は近づき仲良くなった。



 ちなみにこの時の様子はこっそり撮影されており、ノノが夜な夜な1人で楽しんで見ていた。



 次回更新日は9/14(月)午前7時予定となります。


 よろしくお願いします。

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