第35話 日本のダンジョン事情
ダンジョン発生直後の話になるが、他の国は随分とパニックになったと聞くが、日本の場合は政府関係者含め各所にその道に明るい者たちがいたおかげで初動を上手く動けた。
そして現在、ダンジョンの管理は国が一手に担い、その監視調査は自衛隊が主に中心となり行なっていた。
世界中にダンジョンが発生してから半年。
現在の日本の状況というと、ダンジョン周りを除くと多くの人々は平穏な日常を送っていた。
世間では一般に解放せよとの声も一部、聞こえるが今はその時ではない。民間に解放するには安全性、管理部署の設置など何もかも足りていない。
それにダンジョンには不思議なことが多い。
・世界各地に発生したダンジョンはその国に元々住む国民しか入ることができない。
・ダンジョンで得たアイテムやスキルはダンジョン内及び、その周囲のみで使用可能。
・国を跨いでのアイテム、スキル所持者の持ち出しはできない。
などといった制約が存在する。これらの理由は未だ判明していない。
しかしこのおかげで各国は争うことなく、それぞれ自国のダンジョン攻略に集中していた。
そんなこんなでweb小説のような誰もがダンジョンに入れる世界が実現するのはまだまだ先の話になりそうだった。
そんな中、国民の不満を解消するためかダンジョンの調査報告の一部は閲覧できるようになっている。
下記に記すのはそこに記載されている一部を抜粋したものだ。
ダンジョンは一定の地域によって特色が違うことが判明している。
北、本州、南。その特色は大きく分けてこの3つに分かれていることが調査の結果、判明した。
まずは本州にあるダンジョン。
日本全体最大数のダンジョンを有する地域で、web小説によくあるテンプレなダンジョンが多く存在する。
モンスターやダンジョンの環境の種類は多くあれど、スタンダードなタイプがほとんどで浅い階層であればモンスターもさほど強くない。
ダンジョンのイロハを学ぶのに適していることから、初心者向けとして多くの自衛隊隊員はまず本州のダンジョンに入ることになっている。
いずれ民間に解放された場合、真っ先に候補に挙がるのは本州にあるダンジョンとなるだろう。
続いて南地方。
ここは本州のスタンダードなタイプとは全く毛色が違うダンジョンとなっている。
基本的なダンジョン内の構造は本州のダンジョンと似たような感じではあるが、出てくるモンスターが異質だった。
出現するモンスターは主に『魔導ロボ』と呼ばれているゴーレムの1種。だがその多くはロボやメカに酷似した機械的な外見をしていた。
ダンジョンでは銃火器の使用ができない。モンスターもファンタジー寄りではあるが生物的なものがほとんどだ。
戦闘で得られるスキルや武器アイテムも現代的なものはなく、某ハンターゲームで見るようなものばかりだ。
そんな中、南地方に現れるモンスターはSF作品で見るような機械的な外見をしていた。
一説ではダンジョンは現代兵器の使用を拒絶しているのではないかを言われている。
しかしそんな考えを否定するかようなモンスターが存在する不思議なダンジョン。それが南地方のダンジョンの特色だった。
そんな『魔導ロボ』だが、見た目に惑わされることなく正しく対応すれば他のモンスターと同様に倒すことが可能だ。
そして『魔導ロボ』から得られるアイテム。これもまた異質なモノだった。
『魔導ロボの核』と呼ばれるアイテム。
これを鑑定スキル持ちに確認させた結果、ゴーレムの1種である『魔導ロボ』を使役できる他に、所有者がアイテム、装備品として使用できることが判明する。
『魔導ロボの核』、これは日本にとって革命をもたらすアイテムとなった。
通常、ダンジョンで手に入る武器や装備は剣や槍などの前時代的な物が多い。
魔法などの遠距離スキルがあるといっても、戦闘のほとんどはどうしても近接戦になることが多い。いくら訓練を積んでいる自衛隊隊員たちでも怖いものは怖い。
そもそもモンスターと近接戦で戦うことを想定していないのだ。
だが『魔導ロボの核』の発見により、今までの常識は覆されることになる。
研究の結果、『魔導ロボの核』は現代兵器の知識を流用できることが判明した。搭乗できるロボの他にドローンや強化装甲として使用することも可能だ。
『魔導ロボの核』だけでは搭乗できるロボや簡易な強化装甲といった最低限の機能しか持たせることできない。
しかしこの南地方のダンジョンで手に入るアイテムを使用することでカスタマイズできることが可能だ。
このアイテムは『強化パーツ』と呼ばれ、魔導ロボ専用のカスタマイズパーツとなっている。
カスタマイズは単純な機能の向上だけでなく、外見のデザインも変更することも可能。
それこそSF作品に出てくるような強化服やロボアニメの再現もできる。
この事実にとある関係各所の人間たちが狂喜乱舞し、南地方のダンジョンに殺到した事件が発生する。
理由はアレだがその道の第一人者も多くいたため、ただ追い返すわけにもいかずに名目上は調査協力として意見を求めることにした。
その結果は大成功で、『魔導ロボの核』の研究は大幅に進んで行ったのだった。
そんなこんなで現在の各地域ごとでのダンジョン管理には振り分けが存在する。
派遣される自衛隊員もそのダンジョンの特色ごとに適性のある人物を中心に管理攻略をしていた。
トオルたちのいる本州のダンジョン。
スタンダードなダンジョンなので、多くの隊員たちが訓練のため在籍しているが、攻略メンバーは主にモンスターをハントするゲームが好きなメンバー中心となっている。
ネネのいる南地方のダンジョン。
ここは出現モンスター、ドロップするアイテムもあってか、かなり濃いメンバーが集められている。ダンジョン外での協力者も多い。
そして触れられることの無かった北地方のダンジョン。
ここもまた一風変わったダンジョンとなっていた。
次回更新日は9/4(金)午前7時予定となります。
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