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スキル『ダンジョンシェルター』  作者: わたがし名人


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第30話 デイキャンプ



 疑似ダンジョンが出現した翌日。


 朝食後。トオルとロロ、ノワールは疑似ダンジョンにいた。


「よし行くぞ!」


 ロロはオーバーオール姿に三つ編みと普段とは違い、動きやすい恰好をしている。


 トオルも同様にアウトドアに行くような装いをしていた。



 トオルたちは草原の中を歩く。


 青空はきれいで遠くまで続いている。


 とてもダンジョンの中とは思えない光景だ。まるで地上にいるかのよう。


 日光浴ではないが、やはり屋外に出て身体を動かすのは気持ちがいい。



「フンフンフン~」


 ダンジョンから外に出たことのないロロは楽しそうに歩いている。


「ワフ~」


 そしてノワールも普段とは違い、誰の目も気にせず動ける環境に喜んでいるみたいだ。


 トオルたちはただ散歩している訳ではない。とある場所を目指して歩いている。



 しばし進むと、


「あっ、見えたぞ!アレじゃないか」


 遠くに1軒の建物が見えてきた。



 到着した建物の正体はログハウス。ここが目的地だ。


 ここに来た目的はズバリ、キャンプ。トオルたちは今日、ここで1泊するのだ。


 ちなみにココ、ノノ、ブランは留守番組としてシェルターの方に残っている。


 ココとノノはなんでもやることがあると言って留守番を申し出た。ブランは出不精なのでただ動きたくないだけだろう。


 まぁダンジョンの方を誰かが見る必要があるだろうし仕方ない。その分、トオルたちがたくさん楽しむとしよう。




 このログハウスは疑似ダンジョンの機能で出したもの。


 現段階では制限があるので建物は1軒しか出せない。また種類も少なく、その中から景観に合いそうなログハウスを選んだ。


 中はキッチン風呂トイレと最低限の機能しかないが、別にずっとここで生活する訳ではないので問題ない。


 ここは本宅ではなくあくまで別荘的なものなので、これで十分だ。それに普段と違う環境で過ごすことはいい気分転換になる。



「よーし、探検だー」


「ワオーン」


 ロロとノワールは早速、疑似ダンジョンの中を探検しに行った。


 ただ広いだけで何もない場所だが、元気が有り余っている彼女たちにはそれでも十分だろう。


 遠くに行ってもこの空間内であればロロたちの居場所は感知できる。心配することはない。



「さてと、こっちも始めますか」


 トオルはいそいそとバーベキューの準備を始めた。リュックから次々と道具を取り出す。リュックは大容量のマジックバックで、見た目以上のものが入っている。


 リュックを含め、これらの道具はスキルのアイテム一覧にあった品々だ。


【ポイント交換】には何でもあり、今まではシェルター内で使い道がなかったものも、この『疑似ダンジョン』内でなら有効活用できるものも結構あった。


 無駄遣いかもしれないが、最近はシェルターのポイントが貯まる一方だったので、多少使っても問題ないとココから言われている。




 お昼になるとロロとノワールが戻ってくる。腹時計は完璧のようだ。


 すでに準備を終えているので、バーベキューを開始する。


 バーベキューの食材はメインのオーク肉、他には野菜。トオルは手際よく次々と焼いていく。


「うまーい!」


「ワフッ!」


 普段と違う環境での食事にロロとノワールはご満悦のようだ。



 バーベキューの後は再び自由時間。みんなでフリスビーで遊んだり、各々自由に過ごしたりした。



 夕食の時間が近づくと辺りは暗くなり始める。


『疑似ダンジョン』は天候を変えられ、トオルは時間に合わせて暗くように設定した。


 夜空は星はないが不思議と周囲は見えるくらいには明るい。


 夕食は魚の串焼きなど普段シェルターの中ではできない豪快な料理が並ぶ。


 ロロとノワールは気持ちのいい食べっぷりだ。


 トオル1人で上手くできるか不安だったが、成功してホッとする。



 夕食後はみんなで焚き火を囲み、のんびり。


 パチパチと心地良い音が周囲に響く。


「くぅ」


 いつの間にか寝てしまったロロを抱え、ログハウスの中へ連れていくトオル。


 再び焚き火の前に戻ってきたトオルはもう少しのんびりすることにした。



 焚き火をぼんやりと眺め地上にいた頃をふと思い出す。


 休みなど無いに等しく、日々仕事に追われる毎日。ゆっくりしようなど考える余裕もなかった。


 でも今は、あの頃では考えられない夢のようなの日々を過ごしている。


 ダンジョンに落ちた当初はどうなることかと思っていたが、こうして平和に日々を過ごせている幸運に感謝している。


 ダンジョンマスターたちとの共同生活は当初は不安に感じていたが、慣れてしまえば気にならなくなった。


 むしろ以前の会社の同僚たちよりも接しやすいまである。はっきりとモノを言ってくれるので、余計な気を使う必要はない。それにこちらの意思をちゃんと尊重してくれる。


 彼女たちの存在はトオルの荒んでいた心を癒していたのだった。


「……そろそろ寝るか。ノワール、中に入るよ」


 程よい眠気を感じたトオルはノワールを連れ、ログハウスの中へ入って行った。




※※※



 一方その頃。


「ココちゃん、例の件はどうなってるかな?」


「はい、滞りなく進んでおります」


 留守番組のココとノノは何やら怪しい話をしていた。



 次回更新日は8/25(火)午前7時予定となります。


 よろしくお願いします。

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