第26話 みんなのお姉ちゃん
シェルター内に侵入者。
その侵入者はしれっとトオルたちの会話に参加していた。
そんな軽い感じだったので、どうせココみたいなダンジョンマスターだろうと、トオルは気楽に考えていたが事態は思ったよりヤバい状況らしい。
ロロ、ココの顔は青ざめていた。
ダンジョンマスターである2人がこんなに怯える相手とは一体何者なのだろうか。
侵入者は自己紹介を始める。
「はじめまして~。みんなのお姉ちゃん、ノノだゾ♪」
白髪碧眼のセーラ服の美少女は一昔前のアイドルポーズをビシッと決めた。
何やらポンコツ臭がするが、2人のダンジョンマスターの様子から見るに只者ではないらしい。
しかしトオルにはそういった雰囲気はさっぱり感じられない。古臭い言動をするただの女の子にしか見えないのだ。
何故なのか?もしかしてシェルター内にいるからだろうか。
シェルター内は非戦闘エリアとなっている。
なので、ノノがプレッシャー的な圧や殺気を放っていてもトオルには効いていないのだろうか。
もしかしたらトオルが気付いていないだけで、今までもロロやココから似たようなことをされていたかもしれない。
改めてこのスキルの有用性を実感するのだった。
それはさておき、ひとまずこの状況を何とかしたいところだが、ロロとココは固まってしまっているのであてにならない。
トオルが代表してノノからここにやってきた理由を聞くことになった。
「えと、ノノ様。どうしてこちらへいらしたのでしょうか?」
「んもう。そんな堅苦しい話し方はメッだゾ♪あとノノお姉ちゃんって呼んで欲しいゾ♪」
ノノから話し方をフランクにするように言われる。
「それじゃあ、ノノ姉。どうしてここに来たの?」
「はい、よくできました。キミ、名前は?」
「トオルです」
「トオル君かぁ~。いい名前だね」
上手くグッドコミュニケーションを引き当てたトオルはその後、ノノから色々と話を聞き出していった。
ノノはロロたちのようなダンジョンマスターではなく、その上に位置するいわゆる上位存在的なものらしい。
その仕事はダンジョン、もといダンジョンマスターの監督、統括が主で、ノノが担当する区域は日本全域。
特に手を出したりするつもりはないらしいのだが、1つだけ気になるダンジョンを見つけた。
それがここ、ロロのダンジョン。
次々と他のダンジョンを吸収して大きくなっていくだけでなく、ダンジョンマスターが複数いるのにトラブルが起きていない。それどころか人間とも共存している。
どんな人物が取り仕切っているのだろう。
そんなわけで様子を見にここへやって来たのだった。
ダンジョンマスターの上位存在。
トオルはそんな話を一度も聞いたことがなかった。
だがロロたちの反応を見るからにダンジョンマスターはノノの存在は知っているようだ。
今まで話に出てこなかったのは、おそらく自分たちに姿を見せることがないだろうと思っていたからだろう。
改めて今の状況を戻る。えと、ヤバくね?
ノノにはおそらくロロたちの攻撃はおろか、トオルのスキルも通用しないだろう。
何とか穏便に乗り切る必要があった。
「ノノ姉、実際に見てみて、このダンジョンの感想はどうかな?」
トオルはノノにこのダンジョンの印象を聞く。好印象であれば良いのだが。
「そうね~、中々良いダンジョンなんじゃないかしら」
「しっかり管理されてて、ちゃんとダンジョンとしての義務を果たしてる。お姉ちゃん百点満点あげちゃうゾ♪」
どうやらダンジョンの印象は悪くないようだ。少なくともいきなり消されることはなさそうだ。
「それとダンジョンを大きくしてるのもいいわね~。最終的にダンジョンをここだけにするつもりなのかしら?」
トオルは冷や汗を流す。ノノにはトオルたちの思惑がバレているようだ。
「心配しなくて大丈夫よ~。お姉ちゃん怒ってないから」
ノノ曰く、日本にあるダンジョンの数は多すぎる。見るのがとても大変。
だが、ここに1つに纏まればラクになる。
トオルたちのやっていることはノノにとって有益だと説明された。
その話を聞きようやく、トオルだけでなくロロとココの緊張がほぐれた。
「それにしてもこのシェルター?中々素敵ね~。お姉ちゃんも一緒に住みたいナ♪」
ホッとしていたトオルたちに爆弾が投げ込まれる。
「えと、その……」
ノノからの突然の提案に戸惑うトオル。
助けを求めるようにココの方に視線を向けると、
断るな。承諾しろ。
目力で力強く訴えている。
隣のロロもコクコクと頷いている。
どうやら断る選択肢はないみたいだ。
「みんな、よろしくネ♪」
こうしてまたシェルターに新たな住人が増えたのだった。
次回更新日は8/17(月)午前7時予定となります。
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