第24話 ブランとノワール
ロロのダンジョンの第15階層が突破された。
1つの壁として用意してあったタイラントベアは倒された。それに関しては特に問題はない。ロロのダンジョンは層が厚い。攻略される心配はない。
しかし懸念が1つ。自衛隊パーティが強くなったことで、他のダンジョンの攻略に乗り出してしまうかもしれない可能性が出てきた。
このことは他のダンジョンの吸収を狙うトオルたちにとっては看過できない問題だ。
そこでトオルたちは他のダンジョンの攻略のペースを速めることに決めた。
しかしここで1つ問題が。
現在、トオルたちの中でダンジョンの外に出られるのはブランとノワールだけ。
ノワールは元気いっぱいハリキリワンコなので問題ない。しかし、ブランはのんびり屋の怠け者ワンコでダンジョンの外に出たがらないのだ。
現状は小さいダンジョンを中心に回っているのでノワールだけでこと足りてるが、自衛隊が強くなったことで、人間が監視しているダンジョンにも踏み込まないといけない事態になった。
ダンジョン攻略もだが、人間たちに見つかる確率も増えてくるのでノワールだけでは心配だ。ブランの力も必要となる。
かといって嫌がるブランを無理矢理働かせてもいい結果にはならないだろう。妥協案が必要だ。
そこで活躍したのがトオルの持つ腕輪。
腕輪には合体、解除の他にも機能が存在する。
その1つに召喚、送還という機能があった。召喚、送還はその名の通り、モンスターを呼び出したり、送ったりできる。トオルはこれを利用することにした。
使い方はこうだ。
まずノワールだけで目的地のダンジョンに行ってもらう。
そしてノワールが到着したタイミングでブランをノワールのいる場所へと送還する。
そうすればブランはダンジョンの外に出ることなく、移動できる。
そして現地で合体してダンジョンを攻略する。
その後、ダンジョンの攻略が終わればトオルの元に召喚する。召喚を使用すればブランとノワールは一瞬でトオルの元へ戻ってこれるのだ。
ダンジョン消滅後は場合によっては人が集まり危険な状況になるかもしれないので、すぐに帰還できるのはありがたい。
それに帰りの移動時間の短縮にもなるから、ブランとノワールの負担も減らせる。
ちなみにノワールだけに負担がかかるが、このことに関してノワールは特に不満はないらしい。たくさん走るのが好きだから嬉しいとのこと。アクティブワンコで助かった。
ブランもこの方法であれば問題ないと了承してくれた。
こうして新たな移動手段を確立したブランとノワールはダンジョンをどんどん攻略していく。
その中には人間たちが監視しているダンジョンも含まれる。だがブランとノワールは気付かれることなく侵入し、次々とダンジョンを攻略していった。
地上では自衛隊が監視していた複数のダンジョンが突如消滅し、その跡地に新たなダンジョンが続々と誕生したと、大きなニュースになっていた。
※※※
ところで順調に他のダンジョンを消滅させていくのはいいのだが、トオルたちが一連の騒動に関与していることがバレるのだけは避けたい。
周囲のダンジョンが消滅している中で、このダンジョンだけポツンと残り続けているのは不自然だろう。このままだと怪しまれるかもしれない。
そこで何かアリバイ工作をしたいと話し合う。するとココから提案があった。
「このダンジョンの入口を増やしましょう」
ココによるとロロのダンジョンは階層が増え、大きくなったことで新たな入口を設置できるという。
その入口候補として、ブランとノワールが攻略したダンジョン跡地に入口を設置するという案があがった。
入口はダンジョンマスター関係者が訪れたことのある場所にしか設置できないらしいのでその案を採用した。
ちなみに繋ぐ階層は自由に設定できるとのこと。それなら自衛隊が訪れていない階層にしよう。そうすれば同じダンジョンだとバレる心配もない。
多くのダンジョンを吸収しているのでバリエーションは豊富だ。
最終的にはダンジョンはここだけになるのだ。入口はたくさんあった方がいいだろう。
事前準備として今からこういうことを試していくのはアリだと思う。
それにメリットもある。ダンジョンに入る人間が増えればもっと多くのエネルギーを得ることができるのだ。
表向きは新たなダンジョンが増えたと認識され、多くの人間が調査にダンジョンに訪れるようになる。結果、このダンジョンにエネルギーが入り成長にも繋がる。いいこと尽くしだ。
しかし警戒すべき点もある。
それはまだ見ぬ野良の強者だ。自衛隊以外にダンジョンに立ち入っている存在がいないとは限らない。そしてその者たちの実力は未知数だ。
ただの杞憂で済めばいいが、最悪を想定しておくに越したことはない。
今後は入ってくる人間の動向にはより一層、注意が必要だろう。
そうしてトオルたちはダンジョンの入口を増やしていくのだった。




