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スキル『ダンジョンシェルター』  作者: わたがし名人


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第21話 オルトロス



 ブランとノワールがいた場所には1匹の灰色の双頭の犬が立っていた。


 そしてトオルのステータスには、


____________


☆NEW☆


契約モンスター:オルトロス


____________


 と表示されていた。



「ブランとノワール、なのか?」


トオルは双頭の犬に問いかける。


「アオン」

「ワンッ」


 返事をする顔をそれぞれよく見ると、元気いっぱいな顔としなびた顔をしている。

 よかった。中身はトオルの知っているブランとノワールのままのようだ。


 双頭の犬はトオルのイメージするオルトロスとは違い、少し奇妙な姿をしていた。


 2つの頭を持つ灰色のポメラニアンの姿。サイズは元のブランとノワールの頃と変わらず小さい。



 何故この姿なのか。その理由を聞いてみたが、ココにもわからないそうだ。


「カワイイから問題ないかと思いますわ」


「……カワイイ?」


 トオルはこういった女性のセンスには疎い。カワイイかは置いといて、問題

ないのならいいか。


 それに当の本犬たち?も特に気にしていない様子だ。



 とりあえずこの姿での名前を決めることにしよう。


 命名:アッシュ


 見た目通りの名前だがアッシュは嬉しそうにしているので問題ないだろう。




「トオル様。このような愛らしい姿をしておりますが、アッシュはもの凄く強いのですよ」


 ココはオルトロスとなったことでアッシュが強くなったという。


「アオン」

「ワフッ」


 アッシュの方も自信あり気な顔をしている。



「ちょうどいい相手もいますのでここは1つ、力試しをさせてみてはいかがでしょうか?」


「力試しですか?」


 ココはトオルにアッシュの力試しを提案する。


 ココが提案した相手は、ロロのダンジョンの最下層の1つ上にあるボス部屋にいた。


 そのモンスターの名はオークキング。3ケタを越える配下を持ち、このダンジョンの最後の砦を担うモンスターだ。



 ダンジョンは下の階層に行くほどモンスターが強くなる。


 このダンジョンも階層が増えたことにより下の階層に位置するオークキングも強化されていた。

 更にココが自ら手を加えたことでより強化がされているという。


「アッシュの実力を見るにはちょうどいい相手かと思われますわ」


 とココは涼し気な顔でそう言った。




※※※



「うん。カメラは問題なさそうだね」


 アッシュの大きさは以前と変わらないのでアクションカメラをそのまま装備できた。


 これで戦闘の様子が見れる。



 アッシュはシェルターを出発しボス部屋へと向かった。


 すぐにボス部屋へ到着したアッシュは中へ躊躇なく入る。



 ボス部屋の中は荒野がどこまでも広がる空間で、遠くにオークキングの軍勢が見える。


「ん?なんか数多くない?」


 これ本当に勝てるのか?トオルは不安そうにテレビの画面いっぱいに映し出されるオークキングの軍勢を見つめる。




 戦闘が始まる。


 まず先に動き出したのはアッシュ。


「「ワオーン」」


 咆哮がダンジョン内に響くと画面が大きく揺れた。


 迎え撃とうと動き出したオークキングの軍勢の動きが止まる。



 アッシュはすかさずブレスを放つ。


 ブランとノワールのそれぞれの口から黒い炎が放たれ、オークキングの軍勢に迫る。


 黒い炎はオークキングの軍勢を包み込み、オークキングの軍勢がいた場所は塗りつぶされたように真っ黒に染まる。テレビからはオークたちの悲鳴が聞こえる。



 しばらくして黒い炎が消えると地面を埋め尽くす程いたオークキングの軍勢は、その大半が消滅していた。



 残ったのはオークキングと数匹の配下だけとなっていた。

 鎧や武器を装備しているがかなりボロボロだ。


 ココに聞くと、配下のモンスターはオークジェネラルやオークナイトらしい。


 かなり消耗しているようだが、それでも凄く強そうに見える。オークキングたちの目にはまだ闘志の炎が宿っている。



「「バウッ」」


 アッシュが吠えるとオークキングたちの足元に黒い鎖が出現し、オークキングたちを拘束する。


 オークキングたちは黒い鎖を解こうとするが、拘束は強固で振り解くことができない。



「「アオーン」」


 アッシュが間髪入れずに吠えると、真っ黒な球体がオークキングたちの頭上に出現した。


 真っ黒な球体はゆっくりと下に降り、そのままオークキングたちに直撃する。



 真っ黒な球体が消え、残ったのは大きな穴。そこにはオークキングたちの姿は一切なかった。


 戦いはアッシュの圧勝で終わった。




※※※



「トオル様、いかがでしたか?」


「……」


 トオルは言葉を失っていた。


 アッシュの力は想像以上だった。あんなにいたオークキングの軍勢は手も足も出ず、あっさりと倒されてしまった。


 アッシュの力には正直恐怖を感じたが、でも同時にこれならどんなダンジョンに行っても大丈夫そうだと安心もした。



「アオン」

「ワフッ」


 シェルターへと戻ってきたアッシュ。


「アッシュおかえり。凄かったよ」


 トオルはアッシュを褒める。ご褒美を用意しようとしたところでふと気づく。


 アッシュには頭が2つある。食事はどうするのか。


 そもそもずっとこのままなのか?戻れたりしないのか?



「ココさん。アッシュってこのままなんですか?」


 ココに聞くと、


「いえ戻れますよ。トオル様、こちらを」


 トオルはココに丸い石のようなものが付いた腕輪を渡される。


「そちらを使えば合体、解除、それぞれの指示が可能になりますわ」


 どうやらこの腕輪があれば自由に合体、解除できるらしい。



 早速試してみる。


 アッシュの体が光る。そして、


「アオン」

「ワフッ」


 アッシュは再びブランとノワールにそれぞれ戻っていた。



 合体、解除には1日の使用制限はあるものの、腕輪の使用条件や使用回数の限度などはないらしい。



 トオルには戦闘適性はなかったが、その代わりにアッシュという新たな力を手に入れたのだった。



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