第20話 トオルの潜在能力
とある日。
いつものようにノワールのアクションカメラで撮影された映像を見ているトオル。
テレビには自衛隊の人々の戦闘がモンスターと戦う様子が映し出していた。
魔法が飛び交い、まるで映画のようなワンシーンのような迫力ある姿はとてもカッコイイ。
その様子を見ていて改めて思うことがあった。
自分も何か戦闘スキルの1つ、せめて魔法スキルでも新しく覚えたりすることはできないだろうか。
ココのおかげでトオルは自由に過ごせる時間が増えた。訓練などで習得できるのならやってみたいと思うようになった。
自分も一応ダンジョンに関わる人間の1人だ。シェルターの中に引きこもっているとはいえ、そういうのに憧れがない訳ではない。
何かスキルの習得方法はないものか。
ココに相談してみることにした。
ココは天才完璧美少女和風メイドだ。ダンジョンのことなら何でも知ってる。
ならばダンジョンに関連するスキルのことも何か知っているはず。
早速聞いてみると、
「それならトオル様の潜在能力をお調べいたしましょう」
ココの話によると、ステータスとは別に人間の潜在能力的なものが存在するという。それを見れば新たなスキルを覚えたり、習得できるかどうかもわかるとのこと。
要するに育成ゲームのモンスターの個体値の確認みたいなものらしい。
「では失礼して」
トオルの手をにぎにぎするココ。
こうすることでトオルの生体情報が確認できるらしい。
「ふむふむ」
「なるほどなるほど」
トオルの手をぐにぐにするココ。優しい手つきに心地良い気分になる。なんだかハンドマッサージを受けているみたいだ。
そして数分後、
「トオル様の潜在能力の結果ですか……」
トオルはドキドキしてココの言葉を待つ。
「……残念ながらこれ以上、他のスキルを習得することはございませんわ」
「え」
トオルは戦闘スキル、魔法スキルはおろか、他のスキルも覚えられないという結果だった。
「それともう1つ」
更に追い打ちをかけるようにステータス自体も戦闘向きではないことが判明する。
現在、トオルはノワールのおかげでレベルはカンストしている状態なのだが、ステータスは戦闘向きの人間に比べたら弱いという。
それでもダンジョンに入らない一般人より数値は高いが、あくまで気休め程度。ダンジョン攻略には適していないという。
「そうですか……」
少なからずショックを受けるトオル。
自分が戦闘向きではないと薄々思っていたが、まさかここまで一貫しているとは。
スキルは『ダンジョンシェルター』以外習得できず、戦闘能力はなし。
確かに『ダンジョンシェルター』の性能を考えれば、それくらいのデメリットがあってもおかしくはない。
結果は残念ではあるが、ある意味早めに事実を知ることができてよかった。
「トオル様」
ココがトオルの手を優しく握る。
「トオル様にはワタクシたちがおります」
「ですのでご安心くださいまし」
そう言ってニコリと微笑んだ。
「そう、ですね」
そうだ。どうせシェルターからは出られないのだ。
戦えなくても別に問題ない。
それにここには頼りになる仲間がいる。
ダンジョンマスターであるロロとココ。そして契約モンスターのブランとノワール。
それに今の生活にも不満はない。むしろ理想の日々を送っている。
なんだ、十分恵まれているじゃないか。トオルの気分は少し晴れやかになった。
「……いい機会ですし、アレを試してみましょうか」
ココが独り言を呟く。
「トオル様。ブランとノワールを呼んでくださいまし」
「?わかりました」
ココに言われ、ダンジョンに出ているブランとノワールを呼び戻すトオル。
「アオン」
「ワフッ」
ブランとノワールがトオルの前にやってくる。
「トオル様、実はブランとノワールには特別な能力がございますの」
そういえば以前、ココはブランとノワールは特別なモンスターだと言っていた。
どうやらトオルの知らない能力があるらしい。
「その1つを今、お見せいたしましょう。ブラン、ノワール。準備はよろしいですわね?」
「アオン」
「ワンッ」
ココがブランとノワールに問いかけると、2匹は返事する。
そしてブランとノワールの体は光に包まれた。
2つの光は合わさり、大きな1つの光になる。
しばらくして光が収まる。
そしてそこにいたのは、
「え、これって……」
ブランとノワールがいた場所には1匹の灰色の双頭の犬が立っていた。
そしてステータスには、
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☆NEW☆
契約モンスター:オルトロス
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新たなモンスターの名が表示されていた。




