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ガドネア歴 九九八年 七月二四日 ラミア・スナー
タルファームを出発して、旅は順調に進んでいる。
昨夜宿泊した町はセントバレイ。大聖堂のある大きな町で、古代語表記の『聖なる谷』、という意味がぴったりくる町だった。
私たちは大聖堂脇で開かれていたバザーを覗き、古本を何冊か購入した。内訳は、今は閉鎖されているユニス王立学園の、初等科用教科書三冊、料理の本が一冊、そして小説。内容は、ディトリア・クレール大陸で起こったとされる悲劇を題材にして書かれたラブロマンスもの、題名は『黒き龍の恋』。ガドネア歴が制定される少し前の物語らしいけど、この時代って確か龍族と人間たちとの接点が全くなくて、伝説の生物扱いだったはず。とりあえず、少し興味があったので買っちゃった。道中の暇つぶしに、読んでみようと思う。……酔わない程度にね。
そうそう、暇つぶしといえば。
ユニスを出発して五日目。車窓の景色も森だ草原だ、たまに石橋だ、とほとんど変わらないので、三日目にして飽きた。町の雰囲気もほとんど変わらず。タルファームの温泉と、セントバレイの大聖堂がアクセントになったかな、という感じ。
で、そんな旅路になっているのだけど、ここで思わぬトラブル? に巻き込まれることになった。




