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『琥珀色の記憶をほどいて ―時洲美波と消えないぬくもり―』  作者: 長月有希


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13/16

第六話『休日』(前)

 十一月の声を聞き、東京の下町にもようやく本格的な秋の深まりが訪れていた。


 高く澄み切った青空から降り注ぐ朝の光が、飴色に変色した古物商『時洲堂(ときすどう)』のガラス戸を抜け、土間に落ちて四角い光の模様を描いていた。いつもなら、この光が土間に届く頃には、店主の時洲(ときす)美波(みなみ)はとっくに起きてエプロンを身につけ、はたきを持って店内の品々の埃を払っている時間だ。


 しかし今日だけは、時洲堂のガラス戸の内側に『臨時休業』と書かれた木札が、静かに下げられたままになっていた。


 店の奥にある、こぢんまりとした四畳半の自室。

 使い慣れたふかふかの布団の中で、美波は小さく寝息を立てながら、ゆっくりとまぶたを開けた。

 寝ぼけ眼で枕元の目覚まし時計を見ると、針はすでに午前九時を回っている。普段なら大慌てで飛び起きる時間だが、今日ばかりは慌てる必要がない。美波は布団の中で思い切り両腕を伸ばして心地よい伸びをすると、口角を上げて至福の微笑みを浮かべた。


「今日は、休み。私だけの、自由な休みの日なんだ」


 美波が今日、思い切って店を閉めて休日をとることにしたのには、明確な理由があった。


 三日前、時洲堂の奥の蔵に祖父の代から長く眠っていた、幕末に作られたという和時計、いわゆる『大名時計』が、その真の価値を深く理解する熱心な時計収集家の目にとまったのだ。その細密な真鍮の歯車と、日本の四季の昼夜の長さに合わせて時間を自動調整する複雑な機構の美しさに惚れ込んだ収集家は、美波の予想をはるかに上回る高値で、喜んでその時計を買い取っていった。


 美波は布団から抜け出し、寝巻きのまま、机の引き出しからいつもより少しだけふっくらとした革の財布をそっと取り出した。


 普段の美波は、持ち込まれる依頼の解決に熱中してしまったり、身の回りの質素な生活に満足しているため、贅沢をすることは滅多にない。しかし彼女は、確かな審美眼を持つ立派な古物商でもある。正当な商いによって得た利益の一部が、今日の休日予算として、このお財布の中にしっかりと収まっているのだ。


(時計さん、あなたの価値を本当に分かってくれる良いご主人に出会えて、本当によかった。そして、こんなに素敵なご褒美をくれて、ありがとう)


 美波はその財布を胸に抱きしめ、嬉しそうに笑った。


(よし。今日は一日、自分のためだけにお金を使って、のんびりする最高の一日にしよう)


 美波の休日は、身支度から始まる。

 洗面所で丁寧に顔を洗い、肩口まであるサラサラの黒髪をブラシで梳かして、切り揃えられた前髪を整える。そして、いつか特別な日に着ようと思って大切にしまっておいた、とっておきの秋服を取り出した。


 上品な透け感のある純白のブラウスに、深みのあるボルドー色のベロア生地のロングスカート。スカートの裾は動くたびに光沢を放ち、優雅に揺れる。その上から、手触りの良いキャメル色のケープコートをふわりと羽織った。足元は、歩くたびに心地よい音を立てる焦げ茶色の革の編み上げブーツだった。

 仕上げに、彼女の日常の一部である大きめの丸眼鏡のレンズを、専用のクロスで傷一つないように磨き上げ、そっと耳にかけた。


 姿見の前に立つと、そこには、まるで古い映画から抜け出してきたような、クラシカルで可憐な女の子が立っていた。二十歳という年齢の割にどこかあどけなさを残す端正な顔立ちと、生まれ持った透明感が、このレトロな装いを綺麗に着こなしていた。


「うん、いい感じ」


 美波は鏡の中の自分に向かって微笑むと、少しだけ重くなったお財布を革の鞄に入れ、弾むような足取りで時洲堂のガラス戸を開けた。


 ***


 涼やかなベルの音と共にガラス戸が開く。


「行ってきます」


 誰もいない店内に向かって声をかけ、外の路地裏へと飛び出した、その直後のことだった。


「あっ、時洲さん、こんにちは。今日も配達、って、えええ」


 路地裏の入り口に会社の配達用トラックを停め、ちょうど荷台から段ボール箱を下ろそうとしていた近所の配達員、冬馬(とうま)が、美波の姿を見るなり素っ頓狂な声を上げた。


 冬馬は、段ボール箱を抱えたまま立ち尽くしてしまった。


 秋の日差しを浴びて輝く純白のブラウス。動くたびに揺れるボルドーのスカート。ケープコートから覗く華奢な肩。そして、丸眼鏡の奥で楽しそうに細められた、あの琥珀色の瞳。いつもは古物商として落ち着いた空気を纏っている彼女が、今日は全身から、言葉にし難い可憐さを放っているのだ。冬馬の胸の奥で、早鐘が鳴り始めた。


「あ、冬馬くん。おはようございます。いつも配達お疲れ様です」

「お、おおお、おはようございます。いや、その、今日の時洲さん、すごく綺麗というか、その、お、お出かけですか」


 冬馬は、美波の眩しさを直視できず、目を泳がせながら尋ねた。

 彼の頭の中では、すでに焦燥の鐘が鳴り響いていた。この気合の入り方。間違いない。男性と出かけるのだ。どこかの誰かと会う約束なのだ。いや、まさか、あの顔が良くて隙のない男、桐生とだろうか。だとしたら勝ち目などあるはずもない。


 誰と出かけるのか、どこへ行くのか。それを喉から手が出るほど聞きたかったが、ただの近所の配達員に過ぎない彼には、そのような私事に踏み込む勇気は微塵もなかった。

 そんな冬馬の心中など露知らず、美波はいつもと変わらない丁寧な口調のまま、丸眼鏡のブリッジをそっと押し上げ、花が咲くような満面の笑みを浮かべて答えた。


「はい。今日は私にとって、とっても特別な日なので。美味しいものをたくさん食べてこようと思います」


 冬馬の心の中で、何かが音を立てて崩れる音がした。

 特別な日。

 しかも美味しいものを食べてくる。終わった。高級な店で、きっとあの男と待ち合わせて食事をするのだ。


「そ、そうですか。それは、最高ですね。楽しんできてください。俺は、仕事に戻るので」


 冬馬は泣きそうな顔でそれだけを絞り出すと、配達の段ボールをトラックの荷台に戻し、運転席に飛び乗るなり、エンジンを鳴らして走り去っていった。そのトラックの排気ガスからは、哀愁という名の煙が立ち上っているようだった。


「あれ。冬馬くん、あの荷物、お隣の小林さんのお宅への配達ではなかったのかな。急にお腹でも痛くなっちゃったのかな」


 青年の勘違いと焦燥のドラマに一切気づくことなく、美波は小首を傾げると、さて、私も行かなくてはと、軽やかな足取りで駅へと向かっていった。


 ***


 都心のターミナル駅で電車を降りた美波がまず向かったのは、賑やかな大通りから一本路地に入った場所にある、蔦の絡まる古いレンガ造りの建物だった。

 真鍮の重厚なドアノブを引き下げて中に入ると、深く低いドアベルの音が響く。そこは、昭和初期から営業を続けているという、知る人ぞ知る老舗の純喫茶だった。


 店内は、外の喧騒が嘘のように静まり返っていた。


 床には幾何学模様の古いタイルが敷き詰められ、天井からはステンドグラスの照明が琥珀色の温かい光を落としていた。壁際には、座面が深く沈み込む赤いベルベットのソファ席が並び、店内には自家焙煎のコーヒー豆が放つ、香ばしくて深い香りが満ちていた。


 普段の美波であれば、店先の看板に書かれたコーヒーの値段を見た瞬間に、もやしが何袋買えるだろうかと諦めて引き返してしまうような、高級な大人の空間だ。しかし、今日の美波のお財布は頼もしい。


「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ」


 蝶ネクタイに真っ白なシャツ、黒いベストという正装に身を包んだ白髪の店主が、穏やかな声で迎えてくれた。


「ありがとうございます」


 美波は一番奥の、ステンドグラスの光が美しく落ちる赤いベルベットのソファ席に腰を下ろした。革張りの重厚な品書きを開き、今日のこの日のためにずっと前から決めていた、夢の品を指差す。


「あの、この特製だし巻き卵のサンドイッチと、琥珀のウインナーコーヒーをお願いします」

「かしこまりました」


 注文を終えると、美波はケープコートを脱いで脇に置き、両手を膝の上で重ね合わせて、今か今かと待ち構えた。厨房の奥から、卵をかき混ぜる小気味良い音と、フライパンでバターが溶ける音が聞こえてくる。その音だけで、美波の胸は期待に膨らんだ。


 やがて、銀色の盆に乗せられて、美波の待っていたものが運ばれてきた。


「お待たせいたしました」

「わあ」


 美波の琥珀色の瞳が、丸眼鏡の奥で丸く見開かれた。


 純白の陶器のお皿に乗っていたのは、耳を綺麗に切り落とされた、きめの細かい真っ白な食パン。そしてそのパンの間に挟まれているのは、パンの厚みの三倍はあろうかという、焼きたてで分厚い、黄金色に輝くだし巻き卵だった。湯気と共に、出汁の香りと、パンに塗られた辛子マヨネーズのほのかな香りが鼻腔をくすぐる。

 そしてその隣には、カットガラスのような美しい模様が入った透明な耐熱グラスに注がれた、深い琥珀色の熱いコーヒー。その上には、まるで雪山のように真っ白で滑らかな冷たいホイップクリームが、たっぷりと絞られていた。


「いただきます」


 美波は両手を合わせて小さくお辞儀をすると、おしぼりで手を拭き、分厚い卵サンドの一切れを、両手で壊れものを扱うようにそっと持ち上げる。

 指先に伝わってくる、焼きたての卵のずっしりとした重みと、ふかふかのパンの感触。

 美波はそれを顔の前に持っていき、小さな口を開けて、迷うことなく齧り付いた。

 ふんわりとした食パンを噛み切った直後、中から溢れ出してきたのは、出汁をたっぷりと含んだ、熱々のだし巻き卵の圧倒的な旨味だった。

 口いっぱいに広がる上品な和風出汁の香りを、パンに薄く塗られた辛子マヨネーズの控えめな酸味と刺激が引き締めている。和と洋が口の中で見事な調和を果たし、咀嚼するたびに幸せの味が広がる。


「んん」


 美波はあまりの美味しさに声にならない感嘆を漏らし、目を細めて、頬をほころばせた。

 リスが木の実を頬張るような愛らしい様子で咀嚼を続ける。彼女の顔には、一切の作り物ではない、心からの食に対する幸福感が満ち溢れていた。


 一口目を飲み込むと、大きく息を吐き出して、美味しい、卵が口の中でとろけてしまうと呟き、すぐさま二口目へと向かう。

 サンドイッチの熱さを和らげるように、今度は琥珀色のウインナーコーヒーのグラスを両手で包み込むようにして持ち上げた。

 冷たくて甘いホイップクリームの層の隙間から、熱くてほろ苦い深いコクのコーヒーが流れ込んでくる。甘さと苦さ、冷たさと熱さの絶妙な味わいが、卵サンドの塩気を洗い流し、次の一口への気持ちをさらに高めてくれる。


 グラスから口を離した美波の上唇には、真っ白なホイップクリームが少しだけついてしまっていた。

 しかし美波は、誰の目も気にすることなく、そのクリームを舐めとり、極上の笑顔を浮かべた。普段の探偵としての凛とした姿からは想像もつかない、完全に無防備で、ただ純粋に美味しいものを楽しむ一人の女の子の姿がそこにあった。


 カウンターの奥でコーヒーカップを磨いていた初老の店主は、そんな美波のあまりにも美味しそうに食べる姿を見て、思わず顔をほころばせ、優しく微笑んでいた。自分が作った料理を、これほどまでに全身で喜んで、幸せそうに食べてくれる客を見るのは、料理人にとって何よりの喜びだからだ。


 最後のひと欠片まで卵サンドを愛おしそうに食べ尽くし、ウインナーコーヒーの底に残ったクリームまで綺麗に飲み干した美波は、ふうと満足げなため息をついた。


「ごちそうさまでした。世界で一番美味しい朝ごはんでした」


 美波はお会計を済ませ、店主に満面の笑みでお礼を言うと、身も心もすっかり満たされた状態で、秋の風が吹く表通りへと再び歩き出した。


 ***


 至福の朝食でお腹を満たした美波が次に向かったのは、世界最大級の古書店街として知られる神保町だった。

 大通り沿いに並ぶ古書店の数々。店先に張り出された日除けのテントの下には、ワゴンに積まれた古い文庫本や専門書が所狭しと並べられ、街全体が、古い紙とインクが発する独特の香りに包まれている。

 古いモノをこよなく愛する美波にとって、この神保町はまるで巨大な宝箱のような街だ。

 普段ここを訪れるときは、依頼された失くしモノの手がかりを探すためであったり、古物の鑑定に必要な資料を探し回るための仕事の延長であることが多い。


 しかし今日は、探し物も鑑定も一切お休みだ。ただ純粋に、古い本やモノが積み重ねてきた静かな佇まいを、一人の本好きの女の子として楽しむだけの贅沢な時間である。


(あ、この本、背表紙の革の装丁がすごく素敵)


 美波はワゴンに並べられた本を眺めながら、ゆっくりと歩を進める。

 洋書の専門店に入ると、高い天井まで届く本棚に、金箔押しの装丁が施された百年前の古書が並んでいた。美波は純白のブラウスの袖を少し引き上げ、その背表紙を指の腹でそっと撫でる。


 かつて誰かがこの本を読み、ページをめくり、大切に本棚にしまっていたという遠い過去の温もりが、指先から伝わってくるような気がして、美波は丸眼鏡の奥の瞳を優しく細めた。


 何軒かの古書店を巡り、美術書や歴史書の専門店へと足を踏み入れた時のことだ。

 ガラス張りのショーケースの中に、美波はずっと前から憧れていたある一冊の本を見つけた。


(これ、十九世紀に出版された西洋アンティーク図鑑の初版だ)


 美波はショーケースのガラスに顔がくっつきそうなほど近づき、目を輝かせた。

 それは、分厚い黒革の表紙に銀色の文字で題名が刻まれた、レンガのように巨大で重厚な図鑑だった。中には、ヨーロッパ中のアンティーク家具や時計、陶磁器の細密な絵が、当時の最高技術で何百ページにもわたって収録されているという、古物商にとっては喉から手が出るほど欲しい指南書のような本だ。


 しかし、その希少性と保存状態の良さから、値札に書かれた金額は、普段の美波の生活費数ヶ月分に匹敵するような数字だった。


(いつもなら、絶対に諦めるところだけれど)


 美波は鞄の上から、その中に入っている頼もしいお財布の存在を確かめるように軽く叩いた。


(今日は、特別な休日だから)


 美波は意を決して店員を呼び、「この本をいただけますか」と、丁寧な声で告げた。

 鍵が開けられ、ショーケースから取り出されたその図鑑は、美波の両手にずっしりとした、途方もない知識と歴史の重みを感じさせた。


 お会計を済ませ、その図鑑が入った大きな紙袋を胸にしっかりと抱きかかえて店を出た美波の顔は、先ほど美味しい卵サンドを食べた時と同じくらい、至福の笑顔に包まれていた。


(買っちゃった。これをお店のカウンターで読むのが、今からすっごく楽しみ)


 自分のためだけに、自分が一番欲しいものを買うという最高の贅沢。


 秋の涼しい風が、神保町の並木道を吹き抜けていく。美波は重い紙袋をまったく苦にすることなく、ケープコートの裾を揺らしながら、次なる休日の目的地であるデパートへと向かって、軽やかな足取りで歩き出した。


 神保町の古書店街で手に入れた、十九世紀の重厚な図鑑。そのずっしりとした知識と歴史の重みが詰まった紙袋を胸にしっかりと抱え、美波は都内でも有数の規模と伝統を誇る老舗のデパートへとやってきた。


 重厚な真鍮の装飾が施された回転扉を抜けると、そこは下町ののんびりとした空気とは切り離された、煌びやかで洗練された別世界だった。大理石が敷き詰められた一階の売り場には、高級な化粧品や香水が放つ、華やかで少しだけ背伸びをしたくなるような香りが満ちている。


(やっぱり、デパートっていつ来ても胸が高鳴るな)


 普段の美波であれば、洋服を買うとしても手頃な店舗や、下町にあるこぢんまりとした個人経営の洋服屋の催事で十分満足している。古いモノにはいくらでも価値を見出すが、自分自身の装飾にはそこまで執着がなかった。


 しかし、今日の彼女の鞄の中には、あの大名時計が残してくれた特別な恩恵がしっかりと収まっている。たまには自分のために、仕立ての良い、本当に心からときめくような真新しい洋服を一着くらいお迎えしてもいいのではないか。美波はそんなふうに考えていた。


 上層階の婦人服売り場へと向かうと、ふかふかの絨毯が敷かれた通路をゆっくりと歩き回りながら、美波はいくつもの店舗の展示を眺めた。やがて、美波の足が一つの店舗の前で止まった。


 そこは、上質な素材を使いながらも、どこかクラシカルで品のある、流行に左右されない普遍的な意匠を得意とする衣服の店舗だった。飾られている洋服はどれも仕立ての良さが遠目からでも分かり、控えめでありながらも確かな存在感と美しさを放っていた。


 少しだけ緊張しながら、美波はそっと足を踏み入れた。

 すると、すぐに落ち着いた雰囲気の女性店員が、美波の姿を見るなり目を輝かせ、柔らかい笑顔を浮かべて声をかけてくれた。


「いらっしゃいませ。何かお探しのものはございますか。お客様、今お召しになっているケープコートとボルドーのスカートの組み合わせ、本当に素敵ですね。クラシカルで上品な雰囲気が、お客様に実によくお似合いです」

「あ、ありがとうございます。その、今日は、少し特別な日のお出かけに着られるような、秋から冬にかけて長く着られるワンピースを探しているんです。でも、こんなに素敵なお洋服がたくさんあると、どれが自分に合うのか分からなくて、迷ってしまって」


 美波が素直に相談すると、店員の女性はお任せくださいと頼もしく微笑んだ。そして、美波の骨格、全体の均衡、肌の透き通るような白さ、そして身に纏っている純粋で可憐な雰囲気を、瞬時に見抜いた。


「お客様のその透き通るような白いお肌と、可愛らしい髪型、そして知的な丸眼鏡の組み合わせには、どんなお洋服もきっとよく映えると思います。よろしければ、私がお客様の魅力を引き出せるお洋服をいくつかお選びいたしますので、ぜひすべてご試着なさってみてください」


 促されるままに、美波は広々とした、照明の明るい試着室へと案内された。

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