テルの想い
中村輝明sideです。勇者再びを読んでからお読み頂ければ幸い(・∀・)ゞテ゛シッ!!
「中村くんってさー自分で限界決めてない?」
中学2年の部活の時
今まであまり話した事がなかった大野先輩から何気に言われた言葉だった
それまでの俺は適当に何でもこなしてソコソコ優等生でソコソコモテている普通の無気力な子供だった
陸上部の高飛びの記録だって、市内で5位ぐらい
まあ、こんなもんかと思っていた
ひとつ上の先輩、大野りおは高飛びで何度も1位をとる実力の持ち主だったが容姿も対してパッとしない、あまり目立たない先輩
コーチの指導でたまたま今日は二人で練習だった
「別に・・・・・そんなつもりない」
俺は自分が出来るからって偉そうに説教かと思い不機嫌になった
大野先輩はふーんっといった感じて俺の不機嫌な態度を相手にしないでマットの上に落ちているバーを元の位置に戻す
「跳べないと思っているとそれ以上跳べる訳がないよ?足の踏み込む位置を微妙のズラしたり、腕を上げるタイミングを変えたり・・・・・何より・・・・・」
マットの上で不貞腐れてる俺を大野先輩は真っ直ぐな瞳で見つめ
「空を見なきゃーリミッターは解除されないよ?」
と屈託の無い笑みで俺を見た
空を?
俺は小春日和の空を見上げ自分がこの位でいいと諦めている事に気付いた
「おーい!跳ぶから退いてー!」
大野先輩は俺が跳べなかった記録を背面飛びで背中ギリギリで跳んだ
マットから起き上がり
「悔しいだろー?」
と、意地が悪い笑顔で俺をカラかった
俺は顔を赤くして夢中になって練習した
大野先輩に追い付きたい。追い抜きたい!!
この気持ちが初恋だと気が付いた時は秋の県大会強化合宿の時だった
あれから必死に練習した俺はその頃には男子高飛びの上位になっていて記録も大野先輩を追い抜いていた。まあ、女子と男子の差があるから当たり前だが
2泊3日の合宿は厳しく、クタクタだった
男女別々の部屋で泊まる様になっていたが、あろう事か大野先輩は疲れきって休憩室のベンチでうたた寝をしていた
この人は、どこでも寝れるのか?
「先輩、起きて・・・・・」
寝顔を覗き込むとあまりに気持ち良さそうに眠っている
寝息をたてて、少し開いた唇に視線が釘付けになった
今、キスしてもバレない
今まで思った事がない考えが頭に浮かぶ
心臓をドキドキさせながら顔を近づけ
そっと、唇に触れるか触れないかのキスをした
もっとしていたい・・・・・
そう思っていると
「うー・・・・・ん・・・・・」
大野先輩が目を覚まし俺は急いで離れた
ドキドキドキドキ
寝ぼけた顔で大野先輩は俺に気が付く
「せ、先輩こんな所で寝てないで部屋で寝ろよ」
動揺している俺は一生懸命平然を装った
「んー?わかったーおやすみー」
何事もなかった様に欠伸をしながら部屋に向かう大野先輩
俺は右手を唇に当て赤面してもがいた
「ーっ、なにやってんだよ俺・・・・・」
それからというもの、大野先輩を意識する様になった俺は無意識に避ける様になってしまった
結構、大野先輩が卒業するまで俺は何も出来なかった
そんな自分が情けなく後悔したのだ
中学を卒業し、成績と内申が良かった俺は一流の進学高に進学、大学も一流大学を卒業して親が経営している会社の関係会社に就職
周りからは将来社長だとチヤホヤされ、会社からは期待され、異性からは嫌気が刺す程アピールされた
いつの間にか、俺の心にまたリミッターが付いていた
こんなもんでいいか・・・・・
つまらない毎日に刺激を求め、オンラインゲームにハマっていった
自由に冒険出来る勇者になりたかった
『夢の中なら好きな事が出来る。ねえ、君何がしたい?』
赤い光玉が夢に現れる様になった
仕事に疲れ、人間関係に疲れ、ゲームに逃避し、ただつまらない毎日繰り返していた
「自由に冒険がしたい・・・・・」
夢の中の冒険は楽しかった
ワクワクした
可愛い魔法使い(ヒカリ)にキュンキュンした
りおと夢で出会った時は最悪だった
しかし、後ほどヒカリに事情を聞いて、いい奴なんだなと思った
〈りお〉という名前を聞いて一瞬、大野先輩を思い出した
『りおを欲しくない?』
赤い光玉が突拍子のない事を言った
「別に要らないっていうか、男に興味ないし」
俺はホモじゃない
『りおは女性だよ?テル、君が知ってる人』
「え?」
『もし、彼女がテルのモノになるとしたら・・・・・会いたい?』
「・・・・・会いたい」
そして、あの時の気持ちを伝えたい
俺は半信半疑でカルロイヤに協力する事にした
会って話をすると、直ぐに大野先輩だと思った
見た目、俺と同じぐらいの男だけど
ちょっとした仕草や口癖、雰囲気は間違いなく大野先輩だ
苗字を聞いた時、違う名前が出て結婚してる事に気付き胸が張り裂けそうになる
俺のモノに・・・・・
俺のモノにしたい!
欲望のリミッターが壊れた
俺はもう、夢から覚めなくてもいい
りおが居れば、それでいい
初恋て何時まで経っても忘れられなく、後悔ばかりが残るものです。あの人、今どこで何をしてるのかなー




