Ⅰ
「なあ、ホントにそれでいいのか?」
朝のSHR後、前の席に座る親友に問う。
「え~? 何がですか~?」
「とぼけるなよ。昨日のメール」
「あ~それですかぁ~」
軽くイライラ。いや、今に始まったことじゃないんだけどさ。妙にピリピリしている自分がいる。
そうですね、と碧人。
「情報は確かですよ。方法こそは自分で考えてもらうことになりましたが、方針だけははっきりしています。メールでも言ったように、彩歌ちゃんを満足させることが解決の道です」
信じてくれと言わんばかりに、口調を変えて真剣に話す碧人。
「たぶん、彩歌ちゃんも知らないことなのですが、〈言霊〉のチカラは、たとえ願いが叶わなくとも、使用者が、納得できる、満足できると心の底から思えればそこで終えることもできるそうなんです」
碧人はこの話を津紀から聞いたそうだ。
生前、彩歌と同じように〈言霊〉を操れる少年のカウンセリングをしたときにわかったことらしい。
……アイツはいったい何者なんだろうか。一度じっくり聞いてみたいものだ。
「てか、満足させるったってな……なにすりゃいいんだか」
「ですから~、それを自分で考えてくださ~い」
なんだよ……一緒に考えてくれたっていいじゃんか。
「ん~、これはアニキが考えなきゃダメなんじゃないかと思う……なんか……そんな気がする」
そう口をはさむ麻衣。きっと、僕の考えじゃないと彩歌は満足できないと、自分の意見を述べた。
碧人も頷き、その意見に同調した。
「一つヒントをあげましょう。どう満足させるか、それは、彩歌ちゃん願いに隠された本当の想いを叶えさせてあげることです」
……。
ふぅ、と息をつき、
「しょうがない。とにかく手さぐりで行動してみるか」
席から立ち上がる。
キーンコーンカーンコーン
教室の扉が開き、現国の女教師が入ってくる。
「おーい授業始まるぞ~。おい古渡、座れ~」
現実に引き戻されたわけだが……
「だがしか~し! ここで引き下がるような新太君ではないのだ! 行くぞぉ碧人ぉ! ……と言おうと思ったがまた変な疑惑が立ちそうだからお前は残れ」
「え~、僕も行きたいですよ~」
「いや、ホントにやめてくれ」
「いや、じゃなくて座れ」
突如繰り出されるボディブロー。
「えっ……ちょっと……腹パンは……きつ……い……かなぁ……」
と、僕は椅子に崩れ落ちた。……燃え尽きたぜ。
「はっ!」
気が付くと放課後だった。
うん、我ながら思うぞ。都合がいいな。
というか、いくらなんでも長すぎだろ。いつまで気を失ってたんだよ。しかも誰も起こさないんか。
「あ~新太君やっと起きたんですか~」
教室を出ていたらしい碧人が戻ってきた。
「起こしてくれよ……」
「いや~ぼくも起こそうとはしたんですよ~? 棒でつんつんしたりですね~」
「どこぞのペンギン村のウンチョみたいな扱いしてんじゃねぇよ」
どこから棒持ってきたんだって話は愚問なのだろか。
いやそれよりも、今朝の事を実行しなければ。
彩歌を満足させる。正直、どうしたらいいものかさっぱり見当つかないのだが……とりあえずやってみるか。
「案はあるんですか~?」
「まぁ、いろいろな」
よし。
「まずはプレゼント作戦でも実行してみるか」
定番だし。
おーっ! という掛け声に合わせて三人はこぶしを突き上げる。




