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叩けば直る、そんな能力  作者: ちぐい


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4話 放課後ランデブー

本日も依頼がないまま部活が終わり、肩を落とす部長を見送り俺も学校を後にする。

しかし帰路にはつかず学校の近くにある商店街へ向かう。普段は寄り道はあまりしないが、今日はある人物からの緊急要請があったため指定の場所に向かう。


田舎の商店街とはいえ、夕方の時刻になると少し活気付いているようだ。

俺は明るい商店街の大通りから一本外れた路地に足を運ぶ、すると先ほどの喧騒が無くなり鬱屈とした雰囲気を感じる。

迷わず足を進めると、暗い路地で一際輝くネオンが目に入る。ここが指定された場所ーーー


「ふ、まさかのこのこと来るとはな。驚きだぜ」


急に後ろから声がかかり、振り向く前に背中に銃口のような物を突きつけられる。


「...俺としたことが、迂闊だったかな。こんな不意打ちで得意げになる奴が相手だったとは」


「何だと、では別の決着をつけようではないか。そこのゲーセンで路上決闘2でな」


「ほう?お前もただの腰抜けではなさそうだな。乗ったよ」


言葉を交わし終えると、相手は背中から銃口のようなものを外した。振り返るとそこには、俺の胸元ぐらいの身長で、ウルフカットに紫のインナーカラー、口にチュパチャプスを咥えたコテコテのサブカルダウナー女子がいた。


「やっほーカブカブ、今日はわざわざありがとね」


「おいデン、最近はマフィア映画にハマってるのか?」


波賀野 電(はかの でん)は俺と同じ特学の2年A組に所属している。なんで俺がA組様とつるんでいるかというと、中学生の頃FPSをやっている際にたまたまオンラインでボコボコにして煽った相手がデンだった。

彼女はあまりにも悔しかったため、俺のPCにハッキングして住所特定しリア凸してきたのが始まりだ。

それから何回か外で遊んでいるうちに、当時引き篭もり不登校だったデンが学校にちょいちょい通うようになったため、彼女の親からはものすごく感謝された。


...重度の引き篭もりが外に出るくらい悔しかったんだな。そんなこんなで今でも彼女が登校してタイミングがあった時はいろんなゲーセンに遊びに行ってる。


「さて、今日もボコすかぁ」


「ふ、甘いよカブカブ。わたしは今日朝からウォーミングアップをしてたからね」


「お前今日学校行ってないんかい...」


話しながらゲーセンに入っていく。

あ、ちなみに銃口のような物は銃口でした。デンちゃん、それ本物?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「あー楽しかった。なあデン?」


「ふん、ふん」


あの後軽く3タテして、ボコした俺は負けて悔しそうにポスポス肩パンしてくるデンと店を出ようとしていた。ふ、リアルでもひ弱だな。あ、コラ腰捻って角度つけて殴ってくるな。


「あ、カブカブこれ...」


「あん?どした?」


殴る手を止めて、UFOキャッチャーの景品を指差すデン。見てみると、目つきの悪い犬のぬいぐるみがあった。


「...なにこれ?」


「知らない?目つきの悪いポチくんってキャラ」


「へえ、流行ってるの?」


「うん、同じクラスの女子も話してた」


「デン友達できたのか」


「いや?寝たふりしてる時に聞こえてただけ」


誰か早くこの子と話してあげて!悪い子じゃないんです!


「...そうか、デンもこれ好きなの?」


「うん、なんかヌボーってしててカブカブに似ててウケる」


「え、俺そんな目つき悪い?」


話しながら筐体に近づき、100円を入れる俺。それを不思議そうに見てるデン。なんでだよ、普通あんな可哀想なエピソード聞いたら取る流れだろ。


ポス


「お、すごいねカブカブ」


「へへっ、まあな。ほらよ」


「へ?わ、わたしにくれるの?」


珍しく動揺して聞いてくるデン。だからなんでだよ、会話の流れ的にそうだろ。


「デンがやって取れなそうだからな」


「うん、ありがと」


あー、これはいけませんね。皮肉を言ったのに言い返さずに、大事そうにぬいぐるみを両腕で抱えて顔半分隠すの。これはいけませんねえ。


「イチャイチャしてんじゃねーよ!僕ちゃんたちさあ」


下品な笑い声と共に集団が近づいてくる。

げっ、私立夜武鬼(ヤンキー)高校じゃん。こいつら特学の制服とかわかんねーのか?


「すいません、お邪魔でしたら帰ります」


「ああん!?おちょくってんのかガキ!誠心誠意謝れや!」


グイッと襟首を掴まれる。

ちっ、あんま舐めるのも大概にしろよ?人が下手に出てりゃいい気になりやがって。

そんな態度ならこっちにも考えがあるぞ。


ゴンッ


「まっじですみませんでした!許してください!」


「「「...」」」


俺の土下座が火を吹き、周囲が静まり返る。

プライド?何それ?あーあれね、サラダにかけるとおいしいやつ。


「...俺が言うのも何だけど、男はもっとシャキッとしろや?まあ今回はお前の勇気に免じて許してやる。二度と調子のるなや」


「はい!ありがとうございます!!!」


夜武鬼高校の奴らはゲラゲラと笑いながら出ていった。ふ、あいつらめ俺の土下座に恐れをなしたか。


「カブカブ、情けない」


「へへっ、まあな」

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