3話 部活動
リア撲会の処罰で騒いでいると、教室の扉が開かれ、パンツスーツにベストの黒髪ロングの女性が教室に入ってくる。
「ういー、おはよう馬鹿ども。席に座れー」
騒いでいた俺たちを、気怠そうに一瞥し、着席を促すのは担任の安住 千住先生だ。
特学は生徒全員が能力者のため、先生達もおのずと能力者しかいなくなる。先生の能力はーーー
「あ!安住ちゃん、俺課題忘れました!」
ゴスンッ
「ぐべっ!?」
馬鹿が先生に課題を忘れたことを悪びれず伝えた瞬間。イツキに見えない衝撃が襲いかかった。
「はーい、次からちゃんと出すようにー。他に忘れたお馬鹿ちゃんはいるかー?今言わないと5倍だぞー」
ススススッ
何事もなかったようにアズミ先生が教室に問いかけると、13本の腕があがった。その中には当然俺の腕もある。
ゴゴゴゴゴスッ
「「「「ぐべっ」」」」
「よーし、お前ら素直なとこは可愛いんだけどなぁ。ちゃんとやるようにしろー」
「「「「は、はい」」」」
今の時代に体罰なんてありなのか?まあ、悪いの僕たちなんですけどね。
【離れているものに触れる能力】それがアズミ先生の能力だ。触れるの度合い超えてる気がするんですけど、能力名なんていい加減なものも多い。
「す、すいません。遅れました」
「ん?白金、君はさっき職員室にいたの見ているから大丈夫だ。席につきなさい」
「はい」
白金さんが遅れて入って来て、ビクビクしながら先生に報告する。
するとアズミ先生はすんなりと着席を促した。決して理不尽な先生ではないため、E組のみんなから慕われている。
白金さんはどちらかというと、教室に入ってみんなに見られたのに緊張しているようだった。
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何も起きることなく授業が終わり、放課後の時間になる。能力者たちの学校だからといって、特に決まりはない。部活動に向かうもの、帰宅するもの、教室に残って駄弁るもの様々だ。白金さんは家庭科部に入っているため「鏑くん、また明日ね。ばいばい」と教室を後にした。それにまたリア撲会が目を血眼して迫ってくるのから逃れるのに苦労した。
「ふぅ、抜け目のない奴らだぜ」
悪態をつきながら、俺自身も部室に向かう。え?お前は帰宅部顔だろって?ははっ、○す。
部活動に関しても特学は自由だが、流石に野球部が甲子園とかには出られなかったりする。能力使えば圧勝できるし、例え使ってなくても疑念の目を向けられてしまうのだ。そういった理由からか学校側も寛容に自由な部活を作ることを許可してくれる。
「おざーす」
「遅いぞ鏑くん!君がビリだ」
部室のドアを開けて、怒られない程度に適当な挨拶をすると、教室にいた先輩から怒られた。
どうやら今日は俺が一番遅かったようだ。
「部長、ビリといってもこの部活基本俺と部長しかいないじゃないですか。あとは幽霊部員ですし」
「ふふん、何で遅くなったのかこの名探偵シカちゃんが当てて見せようか?」
「どうぞ」
「うむ、大方終業後に白金くんと話していたところをリア撲会に見つかり追いかけられていたんだろう」
「すご!何でわかるんすか?」
「普通に見てたから」
「現行犯でしたか...」
部長である深見 詩歌は、得意げに腕を組んでいた。彼女は制服を改造して、ブレザーをチェック柄のコートにしハンチング帽を被っている。何故ならーーー
「今週の名探偵コ○ンも面白かったなー、鏑くんも見たかね?まさか先週のヒントがあそこに生きるとは...」
「ネクストコ○ンズヒント活用してるの多分部長だけですよ」
探偵大好き探偵ジャンキーなのだ。推理大好きなだけでなく、浮気調査やペット探しなども好きで、ちょっと引くレベルでジャンキーだ。
そんな俺たちの部活は、【なんでも部】といって、生徒や外部の人たちから依頼があれば解決したり手伝ったりする部活だ。依頼がない日は特にすることもなく駄弁っている。
「あーあ、ペット探しとか浮気調査とかこないかなー」
「地味なの好きですもんね。良くはないですけど、探偵好きなら殺人事件とか普通望むものでは?」
部室の机にベタリと伸びて愚痴る部長に話しかけてみる。
「えー?殺人事件なんてつまんないからナシナシ。グロいし。やっぱり殺人事件は創作物に限るよ」
「あー、現実の殺人事件は部長無双ですもんね」
部長の能力は【殺人の犯人がわかる】という一点に特化したものだ。推理大好きジャンキーの部長からしてみれば、殺人が起きたとしても答えがすでに出ているから推理のしようがない。
「どうやってわかるんですか?」
「ん?それはだね、犯人の顔に『こいつが犯人』って書いてあるんだよ」
「へー、映像とかでもわかるんですか?」
「いや、私が直接その場で見ないとわからないね」
「あーだからたまに部長いなくなるんですね」
彼女は高校生ながら、警察に要請されたら現場に向かい容疑者の中に犯人がいないか見に行ったりしている。この人将来安泰だよな。ある意味使い道に困るレベルの高い能力より重宝される当たりの異能力で羨ましい。
「くそー、誰か浮気でもしてくれないもんかね。高校生なんて血気盛んなのだからあちこち発情期の猫のように盛ってればいいのに」
「最低だなあんた」
そんなこんなで今日も1日が過ぎていく。




