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叩けば直る、そんな能力  作者: ちぐい


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2話 俺たち最強E組

妹と登校し、国立特異能力育成学園ーー通称特学の門をくぐり今日も今日とて勉学に励む日々だ。


「じゃあねお兄、知らない人についてっちゃ駄目だよ?」


「スミレは俺をなんだと思ってんだよ...」


「ば...抜けてる人」


「ははっ」


妹の愛を一身に浴びながら、昇降口で別れ自分の教室へと向かう。ちなみにスミレのクラスは1年A組で、俺は2年E組だ。入学時に「身体力テスト」「学力テスト」「異能力テスト」で総合的にクラスを分けられ、卒業するまで能力の進化とか無ければほとんどクラスは変わらずに進むらしい。

何が言いたいかわかるな?何も言うなよ?


ガラリと教室のドアを開けると中には生徒が多くいて、すでに8割がた登校しているとわかる。

別に遅刻ではないが、なんかもう皆んなが集まってると気まずいよな。俺だけ?


「おースマク、おはよ」


自分の席につき、カバンから筆記用具を出していると、クラスメイトが話しかけてくる


「ういー、おはようイツキ」


右前の席から茶髪をかき上げたイケメンが声をかけてきた。石神 一樹(いしがみ いつき)は、中等部からの知り合いで馬が合うのかずっとつるみ続けている。こいつはーーー


「聞いてくれよスマク!昨日夜のおかずに悩みすぎて気づいたら朝5時よ?課題終わってねーよ、やべーよまた安住ちゃんに怒られちゃう!スマク課題見してよ」


アホだ。

顔ばかりいいからか、女子人気は高いが彼を知れば知るほど女子は遠ざかっていくのだ。


「相変わらずアホだなイツキ、俺が課題やってるわけねーだろ?」


「だよな!安心したぜ相棒!」


きゃっきゃと笑い合うアホ2人、しかし俺らがこのクラスの問題児かと聞かれたらそうでもない。

周りには金髪やら赤髪など派手な奴らもいるし、ピアスや刺青をいれてる奴もいる。別に全員がヤンキーというわけではない、比較的能力も低くて学力が低いだけの楽しいクラスだ。俺たちE組はよくEND組なんて馬鹿にされるが、「別に能力なんてなくたって死なないし、イジメがあるお前らの方がきしょいわ」と開き直っている平和主義者の集まりだ。ある一点を除いて。


「か、鏑くん、おはよう」


左隣から鈴のような綺麗な音が聞こえる。


「あ、おはよう白金」


返事をしながら振り返ると、左の席には常に特学女子ランキング(※門外不出、出したら即処)の上位に入り続けている白金 真白(しろがね ましろ)がいた。

容姿端麗で、背が小さく保護欲をかき立てると数多くの男子生徒を虜にしている。

そもそも【白金家】と聞けば日本人ならほとんど知っているレベルの家柄なのだ。何やら第一次異能戦争に戦果を上げまくったとかなんとか。家系的に能力は有名で【何でも切れる斬撃】らしい。


「白金は課題やったか?」


「う、うん!やったよ。数Bが難しかったけど...鏑くんはわからないところあった?」


「ははっ全部」


「そっか。わからないとこがあったら私が教えてあげるね?あ、鏑くんが嫌じゃなかったらだけど!」


「ありがとな」


少し伺うように、下から見上げるように話してくれる白金。

うーん、これは惚れますね(惚れる)


最初は能力もよくて、運動もできる白金が何故E組なのかは学力のせいだと思っていたが(失礼)、勉強もできるとなると本当になんでうちの組にいるんだろ?


「あ、それでねこの間話していたうちのプーがね、芸覚えたんだよ」


「へー、生まれたって聞いたばかりだけど頭いいな」


「うん!すっごいかわいいんだよ!」


可愛いのはお前だよ(キレ)


どうやら、白金にとって俺は数少ない話し相手なようだ。もともと本人は引っ込み思案で、そこに家柄が拍車をかけて今まで男の友達なんていなかったらしい。

だから話せる俺がいると、話したい欲がバグって声が大きくなったり早口になったりする。


え?なんで俺が普通に話してるんだって?たぶん馬鹿だと思われてるから気兼ねなく話せるんじゃね。

妹のスミレちゃんも言ってたもん『お兄って何も考えてないから、気楽に話せるんだよね』って、スミレちゃん、何も考えてないって確定させないで。


「あ、先生から始業前に呼ばれてるんだった。今度プーの芸の写真見せてあげるね?」


「おー、ありがとう」


小さな手をひらひらとさせて小走りで教室を出ていく白金。ああいう所が人気の理由でもあるのだろうか。


『殺す』


「へあっ!?」


急に体を拘束され、身動きが取れなくなる。周りを見渡すと目出し帽を被った集団に取り囲まれていた。

しまった!こいつらはーーー


『我々【リア充撲滅委員会】の条例により、被告人鏑を処する』


E組の連中でした。


「ま、待てお前ら!俺はただ白金と話していただけだ!」


『うるせー!』『気に入らねーんだよ!』『真白ちゃんと私だって話したいのに!』『スマク死!スマク死!』『必ず罪を償わせてやる』『俺なんて話しかけられたいから毎日白金より早く登校しているのに』


目出し帽を被った男女から批判の声を浴びせられる。

【リア撲会】は男女平等の団体なのだ。もちろん所属は自由意志で、教室には「またやってるよ」と頬付きで観戦しているものもいる。助けろや。


「くそっ、憂鬱な月曜の朝から女子と話すだけでこれかよ」


『遺言はそれでいいのか?』


「...はっ!?相棒は?俺の相棒なら助けてくれるはずだ!」


『貴様の相棒などーー』


『あいやまたれーい!』


「その声はイツキ!イツキなのか!?」


『ふっ、スマクよ...待たせたな』


「ったくぅ!お前ってやつはいつも遅れて来やがるぜ!」


リア撲会の間を掻い潜って、目出し帽を被ったイツキが出てきた。


『被告人スマクの処刑、執行人Iが一番槍を務めさせていただきたい』


「ふざけるな!薄情者!何が相棒だ恥を知れ恥を!」


『黙れ裏切り者!天誅ーーー!!!』


「ぐああああああっ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ふースッキリした」

「今日1時間目なんだっけ」

「やべっ弁当忘れた」


一通りボコられたあと俺は解放された。

E組は能力こそないが、リア充だけは決して許さないノリを冗談にならないレベルで一致団結するところが唯一の欠点で、普段はそれとなく見下されているがそこだけは他の組も恐れているらしい。


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