第二十一話 旅立ち
「カトリーヌ村を出て冒険の旅に出るって言うけど、どこに行くの?」
僕はスラナとコニシに行く先を尋ねた。
「そうですね。どこがいいでしょう。コニシちゃんの実家があるキャロライン村に行ってみるのもいいですが……」
スラナは行く先を思い浮かべて「うーん」と思案した。
「スラナ、それならばエリザベート村に行かないか? エリザベート村は今、ゴブリンの襲撃を受けて困っている。その救済に向かおう」
コニシが提案するとスラナはパッと顔を輝かせた。
「そうだね! それがいいね! エリザベート村に行きましょう!」
僕はエリザベート村がどんなところかわからなかったけど、二人がそれが良さそうだと同意しているので異存はなかった。
「しかしスラナ───忘れていないだろうな? 他のどこでもない。今から我々が目指すのはエリザベート村だからな」
行く先が決まって喜ぶスラナに、コニシが真剣な面持ちで念を押した。
そう言われてスラナも「あ……」と何かを思い出したようだった。
表情が固くなり、真剣な面持ちに変化した。
「どうしたの? エリザベート村に何かあるの?」
僕はスラナの表情が急速に変化したことに少し不安を覚えた。
「エリザベート村には聖女マリアがいる。マリアはスラナより五歳年上の聖女で、聖女学園で最もスラナの面倒を見てくれた、スラナにとっては母親代わりのような聖女だ」
「そうなんだ。そんな人がエリザベート村にいるんだね」
僕は納得したが、しかし、疑問も生じた。
何故なら、スラナにとって母親代わりのような聖女がいるなら、スラナにとっては会いたい一心で、喜ばしいだけのことではないのだろうかと思ったからだ。
「マリア姉さんに会えることが嬉しくて、ついはしゃいでしまいました。ですが……」
スラナはさらに表情が暗くなった。
そのことで僕は何か事情があるのだと確信する。
そしてそれはその通りで、その事情をコニシが説明してくれた。
「実はマリアは勇者様の召喚が上手くいかず、来月、いよいよ最後の勇者様召喚の儀式を行うのだ」
僕はコニシの言葉に耳を傾けたが「最後の」という一言が気になった。
「すでにマリア姉さんは勇者様の召喚に五回失敗しています。もし次も成功しなければ……」
スラナの表情がますます暗く沈む。
その様子に、もし次も成功しなければ、とても良くないことが起こることが容易に想像できた。
訊くべきかどうか、一瞬だけ僕は迷ったが、恐る恐る尋ねてみることにした。
「……も、もしも成功しなかったら、ど、どうなるの……?」
その答えをスラナはとても言い辛そうだったが、コニシと力を合わせ、意を決して教えてくれた。
「「もしも次も勇者様召喚の儀式に成功しなかった場合、マリアは死にます」」
第三章は「死ぬ」などと重苦しい雰囲気での始まりですみません(汗
ただ本作はライトテイストな小説(のつもり・笑)なので、ご安心いただければと思います。
しかし、どうしてマリアが死んでしまうのか?
そのことについては気にかけていただけますと幸いです。
( ᵕᴗᵕ )
そしてそしてマリアとの出会いで、レイの秘密や疑問もかなり紐解かれて参りますよ~(ニヤリ
こちらもどうかどうかお楽しみにしていただけますと幸いです♪




