第二十話 お姫様抱っこ
ひとしきり抱擁を交わしたスラナとコニシは、最後にコニシがスラナに「スラナもレイにお姫様抱っこをしてもらったらどうだ?」と提案をした。
スラナは目を輝かせた。
しかし、意味もなく「そんな行為=(お姫様抱っこ)」をお願いするのはいかがなものかとスラナは遠慮したが、結局、僕がスラナをカトリーヌ村までお姫様抱っこで運ぶことになった。
スラナはとても喜んだ。
そして、そうした僕とスラナの姿を見て、村の皆が集まってきた。
「わぁッ! スラナがお姫様抱っこされているッ! いいな~ッ!」
「お~お~。二人のそうした姿は微笑ましいのう。仲睦まじいことはよきかなじゃな」
「あたしもお姫様抱っこされたい。ねえ、お母さん。あたしもお願いしていい?」
「こらこら。勇者様にそんなことをお願いできるわけがないじゃないかい。……勇者様、そうですよね?」
おかしな話の流れから僕は村の子どもたちや、お母さん、そしてお婆さんを順番にお姫様抱っこすることになった。
まさか異世界に来て、こんなにたくさんの人をお姫様抱っこすることになるなんて思わなかった……。
……おかしいな……。異世界ってこんな所だっけ……?
しかもその後、僕は自分のステータスを見て驚く。
なんと『お姫様抱っこ』というスキルが増えていたのだ。
─────
【名前】:レイ
【職業】:勇者
【レベル】:5
【パラメータ】
・HP:57/57
・MP:40/40
・攻撃:28
・防御:24
・知力:21
・魔力:20
・幸運:ランダム(-9949~9999)
【スキル】
『モテモテ』
『勇敢LV1』
『お姫様抱っこ LV7』
─────
しかもLV7だった。
モテモテにお姫様抱っこ。僕はなんだか自分のステータスが少し好きでなくなってしまったような感覚を覚えた。
* * *
「お姫様抱っこ騒動」の後、僕とスラナ、そしてコニシは草原で鹿兎の討伐に精を出していた。
今日は少し足を伸ばして草原の先まで行ってみたが、そこでさらに猪鼠と猫狼とも遭遇し、見事に討伐することに成功した。
僕はレベルがグングン上がり、ついにレベルが15にまで達した。
─────
【名前】:レイ
【職業】:勇者
【レベル】:5→ 15
【パラメータ】
・HP:57/57→112
・MP:40/40→71
・攻撃:28→42
・防御:24→44
・知力:21→36
・魔力:20→30
・幸運:ランダム(-9849~9999)
【スキル】
『モテモテ』
『勇敢LV3』
『お姫様抱っこ LV36』
『刺突LV1』
『斬撃LV2』
─────
『刺突』や『斬撃』といったスキルも習得し、ステータスが充実しつつあったが、僕は『お姫様抱っこ』のスキルが突出してレベルが上がることに「玉に瑕」感が否めなかった。
「『刺突』と『斬撃』のスキルを習得したな。『刺突』と『勇敢』で【組み合わせ】をすると『一点突破』になるぞ。そして『斬撃』と『勇敢』を【組み合わせ】すると『会心の一撃』ができる。『会心の一撃』は『斬撃』と『勇敢』のレベルが高ければ高いほど成功する確率が上がるので意識してレベルを上げていこう」
コニシに教えられた通り『一点突破』で猪鼠を仕留めたり、『会心の一撃』で猫狼を一撃で倒したりと、まさに僕は向かう所敵なしといった状態で快進撃を続けた。
そうしてさらにレベルを上げ続けたが、レベルが16を過ぎたあたりから、徐々にレベルアップの勢いが鈍化し始めた。
「同じ敵や自分より弱い敵との戦いだとレベルは上がり辛いんです。そろそろレイはカトリーヌ村の周辺から卒業して、別の場所に旅立つ時かもしれませんね」
スラナの見立てにはコニシも同意した。
「そうだな。本格的に勇者様としての旅に出る機は十分に熟しているな」
僕は自分が勇者だという自覚はなかった。重ねて言うが僕が勇者であるはずなんて絶対にないからだ。
しかし僕は、今の自分の成長を嬉しく思い、ゲーム感覚でさらにレベルを上げてみたいと思い始めていた。
その為、カトリーヌ村を出て、冒険の旅に出ることを了承した。
レイは重ねて「自分が勇者であるはずなど絶対にない」と申しますが、これには深い意味があります。
どんな意味が隠されているのかお楽しみにしていただけますと幸いです。
( ᵕᴗᵕ )
ご期待にそえるよう頑張ります!
୧(˃◡˂)୨
さあそして、ここで第二章は完結です。
次話よりいよいよ第三章に突入します~!
第三章ではレイがカトリーヌ村を飛び出し、ハルバードウェールズ王国を冒険します。
どんな冒険になるのか、お楽しみにしていただけますと幸いです。
そしてそしてなんとなんと第三章では「三人目の聖女」も登場しますので、どうかどうかご期待くださいませ~!
୧(˃◡˂)୨




