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第十四話 初戦闘

 冒険者ギルドで登録を済ませて依頼を受けると、宿の女将さん(ギルドマスター)が初心者用の装備一式を支給してくれた。


 革の胸当て(レザーベスト)、革の長靴(レザーブーツ)、革の腕当て(レザーブレイス)など、防具はいずれも軽量で動きやすく、また武器として渡された幅広の剣(ブロードソード)も扱い易く、駆け出しの僕にはぴったりだった。


「鹿兎(バンビラビット)は村を出て草原に行けばすぐにでも見つかりますよ」


「散歩に行く程度の距離だ。特に食料などの準備もいらないだろう。早速、行くぞ」


 そうして僕はカトリーヌ村を出て、スラナとコニシと一緒に草原に向かった。


 草原に出ると、確かにすぐに一匹の鹿兎(バンビラビット)と遭遇した。

 どうやら鹿兎(バンビラビット)は本当にそこら中にたくさんいるモンスターのようだった。

 鹿兎(バンビラビット)は子鹿のような姿に大きな兎耳が特徴的で、瞳もつぶらで可愛らしかった。

 しかし、そんな見た目とは裏腹に気性が荒く、作物を食い荒らす厄介者とのことだった。


 緊張しつつ僕は剣を抜いて構えた。


「幸い相手は一匹です。防具もしっかり装備していますし、私の【加護(ブレス)】も必要なさそうです」


「レイ、落ち着いて相手をよく見るんだ。鹿兎(バンビラビット)は近づくと突進してくるが動きは速くない。横に躱(かわ)して一撃を加えるんだ」


 僕は助言に従い、慎重に鹿兎(バンビラビット)と間合いを詰めた。

 そして鹿兎(バンビラビット)が後ろ脚を蹴って突進してくると横に身を引いて躱(かわ)し、すれ違い様に剣を振り下ろした。


 幸い鹿兎(バンビラビット)は、その一撃で仕留めることができた。


「レイ、お見事です!」


 スラナは嬉しそうにパチパチと拍手をしてくれた。


「なかなか筋が良いな。見事な一撃だったぞ」


 コニシも満足そうにうんうんと頷いてくれた。


 倒した鹿兎(バンビラビット)を解体すると「鹿兎(バンビラビット)の肉」「鹿兎(バンビラビット)の毛皮」が手に入った。

 鹿兎(バンビラビット)の肉はカトリーヌ村の村人のご馳走で、鹿兎(バンビラビット)の毛皮も衣類を作る素材として重宝するとのことだった。

 いずれも冒険者ギルドで買い取ってもらえるとのことで、僕たちは余すところなく採取した。


 さらにこの後、五匹の鹿兎(バンビラビット)を倒し、僕の背負い袋は一杯になった。


「とても順調でしたね。背負い袋も一杯になりましたし、一度、村に帰りましょう」


「そうだな。レイもそうはいっても初めての戦闘だ。疲れただろう」


 確かに疲れはあったし、荷物も重くなったので僕も村に戻りたいと思った。

 そうして帰路に就いたが、少し進むとコニシが異変に気付いた。


「レイ、スラナ、ちょっとまて。何かがおかしい。様子が変だ」


 コニシは緊張しているようだった。

 僕とスラナもコニシの様子に不安を感じ、身を寄せ合って身構えると周囲を警戒した。


「どうしたの、コニシちゃん?」


「うむ。静かすぎる。さっきまであんなにいた鹿兎(バンビラビット)も一匹もいなくなってしまった。近くに何かいるぞ」


「何かって……何がいるの?」


 僕は少し不安になった。


「レイ、大丈夫です。カトリーヌ村の近くには凶暴なモンスターはいません。いるとしてもせいぜい猪鼠(ウリボウラット)か猫狼(キャットウルフ)くらいです」


 そう言いつつもスラナも緊張しているようだった。

 僕たちは周囲の警戒を続けたが、しかし何も見つけられなかった。


「おかしいな……。特に何もみつからないな……」


 コニシは怪訝そうだった。


「そうだね。でも絶対に何かいるね。どこにいるんだろう」


 スラナはさらに周囲に目を凝らした。

 僕も周囲に目を配り、警戒をしていたが、ふと、上空を何かが横切るような気配を感じた。

 空を仰ぐと脅威(それ)はもう目の前まで迫っていた。


「蜥蜴鷲(リザードイーグル)かッ!」


 コニシが舌打ちをした。

 地上ばかりを警戒していた僕たちは上空から襲い掛かる脅威に対し、反応が一瞬遅れてしまった。

 全身をうろこで覆われた蜥蜴(トカゲ)のような蜥蜴鷲(リザードイーグル)は鋭い鉤爪を振りかざしていた。


「レイッ! 危ないッ!」


 そう叫んで僕を庇ってくれたのはコニシだった。

 蜥蜴鷲(リザードイーグル)の一撃をまともに受けたコニシは大きく弾き飛ばされた。


「コニシちゃんッ!」


 咄嗟にスラナが駆け寄ろうとしたが「来るなッ! スラナッ! 私は大丈夫だッ! 幸い背負っていた大剣が盾になってくれたッ! それより【加護(ブレス)】だッ! レイに【加護(ブレス)】を差し上げるんだッ!」とコニシに制された。


 スラナはコニシを心配したが、コニシの指示がもっともだと理解したようで、僕の手を取ると胸の前で両手を包み、【加護(ブレス)】を授けてくれた。


「私の【加護(ブレス)】があれば蜥蜴鷲(リザードイーグル)にレイが傷つけられることはありません。レイ、どうかご武運を」


 僕は蜥蜴鷲(リザードイーグル)の強襲に怖さを感じていたけど、スラナの自信に満ちた顔に安心感をもらえた。

 それに、蜥蜴鷲(リザードイーグル)よりもスラナに岩を投げつけられた時の方が何倍も怖かったので、それに比べたらマシだと余裕も持てた。


「レイッ! 蜥蜴鷲(リザードイーグル)の倒し方のコツを教えるッ! 怯まないことだッ! 襲ってくる蜥蜴鷲(リザードイーグル)を真(・)正(・)面(・)か(・)ら(・)迎(・)え(・)撃(・)て(・)ッ(・)!」


 コニシにそう言われて僕は再び急降下を開始した蜥蜴鷲(リザードイーグル)に対して真っ直ぐに剣を構えた。


 翼と鉤爪を大きく広げて蜥蜴鷲(リザードイーグル)は、まるで覆いかぶさるように襲ってきた。

 僕は逃げ出したくなったが、なんとか踏み止まると剣を前に突き出した。


 僕と蜥蜴鷲(リザードイーグル)は、お互いに真正面からぶつかり合った。

 衝撃で絡み合って転がる。

 スラナが心配して僕の名前を叫ぶ声が聞こえた。

 スラナがさぞ心配しただろうということは想像に難(かた)くなかった。

 でも僕はスラナに「心配いらないよ」といってあげたかった。


 何故なら僕の突き出した剣が、深々と蜥蜴鷲(リザードイーグル)を貫いていたからだ。

やりました~! レイは鹿兎(バンビラビット)の他に、蜥蜴鷲(リザードイーグル)も倒すことができました~!

すごい! えらい! レイは本人は認めていませんが、やっぱり勇者です!

これは大幅なレベルアップが期待できそうです♪

皆さま、どうかどうかお楽しみにしていただけますと幸いです♪


そしてカトリーヌ村には、他にも猪鼠(ウリボウラット)や猫狼(キャットウルフ)というモンスターがいます。

このモンスターたちもとても可愛いので、どうかどうかお楽しみにしていただけますと幸いです୧(˃◡˂)୨

……まあ、倒しちゃうんですが(笑

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